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マトリョシカの犯罪

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「実際に、調査に来て、果たしてどれだけのことが分かるのだろうか?」
 ということであるが、
「何も分からない」
 ということは、作戦上の確認ということだったのだ。
「分からないのであれば、このまま計画を実行してもいいだろう」
 ということであった。
 これが、管理会社の作戦であったが、それを知っている人は誰もいないかのように思えた。
 しかし、それを知っていたのは、森山だけだった。
 彼がなぜ知ってたということなのか?
 ということは誰にも分からなかった。
(特殊な方法で知ったのだが、ここでは大きな問題ではない)
 それよりも、彼の死体は上がらなかった。
「燃えつきてしまったとしても、骨くらいは残るはず」
 ということであったが、まったく火災跡から見つからなかった。
「どこかで生きているだろうか?」
 と、管理会社はびくびくしたが、確かに生きていたのだ。
 彼は、火傷の痕があり、身動きできる状態ではなかった。
「もし、生きているということが分かれば、管理会社の方は、何としてでも、俺を葬りに来るだろうからな」
 ということを考えた。
 このあたりは、それぞれが、
「自分の生きる道を模索し、それぞれに葛藤している」
 といってもいいだろう。
「さすが、元プログラマー」
 ということで、理論立てることは難しくないので、
「プログラマーという意識を持ち、さらに、絵を描く時の感性を兼ね備えていることで、さらに、相手の身になって考える」
 ということから、
「管理会社の悪だくみ」
 というものに気が付いたのだろう。
 それも、さらに、彼の感性の元になっているのが、
「勧善懲悪」
 だということで、
「その考えが、自分の中で辻褄を合せる結果になった」
 といってもいいだろう。
 モスキート音というものと、警備会社を巻き込んでの計画も、
「一人のプログラマーによって、阻まれることになる」
 とは管理会社も考えていなかっただろう」
「警察に通報するか、それとも、一生揺すってやろうかな?」
 とほくそえんでいたが、その森山も、その計画が、まったく性格が反対であると思っていた男、山田に見抜かれているなどと、想像もしていなかったのだ……。

             (  完  )
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作品名:マトリョシカの犯罪 作家名:森本晃次