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マトリョシカの犯罪

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「上下関係のなせるわざ」
 といってもいいだろう。
 逆に、九州の会社とすれば、
「仕方がないこととはいえ、自分たちのシステム、実に画期的で、社員もやっとついてこれるところまで来ている」
 と自負するときにもいた。
 ということであった。
「これが会社というものの難しいところか?」
 と考え、
「いくら、素晴らしいシステムだった」
 と思っていても、
「結局、会社の力関係には、従うしかないのか?」
 と思いながらも、
「システムはこっちに合わせてほしかった」
 と思うのだ。
 実際に運用してみると、
「十年くらいまで、うちでやっていたシステムじゃないか?」
 ということで、
「愕然とする」
 あるいは、
「驚嘆してしまう」
 ということが実際にあったりするのだった。
 この運用に関しての説明は、営業から選抜された人が説明にいくということになっている。
 この話は、今に始まったことではなく、移行が始まった頃から、
「業務にどう説明すればいいか?」
 という、
「インストラクタ―チーム」
 というものを形成していた。
 それは、システム統合作業の中で行われ、その一ステム部員からも、失敗であったり、苦労した部分を聞くことで、
「それが運用にいかに関わってくるのか?」
 ということを考えての、インストラクター講座ということになった。
 しかし、実際にやってもみると、今までの運用に比べ、
「時代の逆行もある」
 ということで、かなりの説明を困難に巻き込まれるということがあるに違いない。
 そんな期間を数か月過ごす形で、結局は、
「システム移行」
 というものを行ってから、滞りなく業務が進行するまでに、約1年弱くらいを要することになった。
「会社側の完全移行までの見積もりは、システム移行から、約数か月」
 ということだったので、実際に終わってみると、移行へのプロジェクト発足から、
「2年近く遅れた」
 ということになるだろう。
 つまりは、
「5か年計画というものの柱であったが、その期間を飛び越してしまい、当初の成果をす数年越しになってしまったということだった」
 それを考えると、
「他のグループ会社の統一というのも、もう少しやり方を見直さないと」
 という意見も出てきて、
「最初から、慎重に行うべきだ」
 という意見も出てきた。
 そこで、
「移行が成功し、何とか軌道にシステムを載せることができた子会社のシステム日から、新たな移行プロジェクトというものの、専任として、引き抜く」
 ということになった。
「やっと移行も終わってやれやれだ」
 と思っていた。
 さらには、
「もう、こんなシステム移行など、まっぴらごめんだ」
 と皆が思っていたところに、この無慈悲な異動命令。
「さすがに溜まらないわ」
 ということで、
「こんなのまたやらされるんだったら、会社を辞める」
 という人も結構いるので、
「じゃあ、俺も」
 ということで、森山も心機一転で辞めることにしたのだ。
 ちょうど、この会社に10年ちょっといたことになるのだが、最後は、
「もういやだ」
 という気持ちと一緒に、
「他の会社を見るのもいいな」
 と思うようになっていた。
 そして、
「大企業になりそうなところはまっぴらごめんだ」
 ということを考えるようになったのだった。
 そして、いよいよ、会社を辞めて、転職することになったのだ

                 再度の警報事件

 転職するには、少し困難な時期でもあった。職安には、たくさんの人が溢れ、
「求人をする企業側は、少し増えては来ているようだが、実際に、就職できるという人は、数がそれほどでもない」
 という。
「理由はいろいろ考えられるが、少なくとも、求人が増えているのは、それだけたくさんの人が辞めてしまったということを示しているということだろう」
 しかし、
「辞めた連中も、ここで焦って、また変な会社に入社することになったら、元も子もないだろう」
 ということであった。
 実際に会社に行ってみると、面接の段階で、その会社がどういう会社なのか、分かるというのも難しいだろう、
 何といっても、求人があるということは、
「辞めた人の補充」
 を考えているからで、企業側も、最初から印象が悪いと、
「あそこは、ブラックだ」
 というような、変なウワサを流されると溜まったものではない。
 ということになるのだろう。
 それでも、何とかなるというもので、
「次第に、節目節目で、ハードルを下げていくことで、見えてくるものもあるというもので、失業してから、約半年くらいで、次の職を見つけることができたのだ」
 まぁ、決まったのはよかったことだ。
 と思っていたが、実際にどんな会社なのか、
「行ってみないと分からない」
 というもので、
 実際に入社してみると、
「一度辞めてしまうと、今よりも必ずレベルが落ちる」
 と再就職では言われていた。
 この、
「レベル」
 というのも、曖昧なもので、
「どう表現していいのか分からないから、レベルという言葉でお茶を濁し、いかに求職側の方が歩み寄れるか?」
 ということを考えないと、いつまで経っても、
「就職難」
 というものは変わらない。
 というものであった。
「求人も、求職者の数だけあるのに、どうして決まらないんだ?」
 ということである。
 これも、考え方ではあるが、
「求職側がわがままだからではないか?」
 と言われる。
 いわゆる、
「きつい、汚い」
 などという会社よりも、今では気を付けなければいけないのは、社会問題になっている、
「ハラスメント」
 であったり、
「コンプライアンス違反」
 という問題を象徴する言葉としてよくあるのが、
「ブラック企業問題」
 というものである。
「パワハラ」
「モラハラ」
 などが、今だに行われている企業も少なくはない。
「間違ってそんな会社に就職したら」
 と思うと、
「もうどうしようもない」
 という状態になってしまうのだった。
 要するに、そんなところにまた入ってしまうと、
「どこに行っても、そんな企業しか残っていない」
 ということになると、
「もう就職などしたくない」
 ということで、
「アルバイトで食いつなぐ方がいい」
 と思う人も出てくるだろう。
 そもそも、企業側も、
「そんな会社だから、社員が辞めていって、求人に走るのだから、当たり前だというものだ」
 それらの理屈を分からない、職安で探してもなかなか難しいだろう。
 そういう意味では。そんなに多失業期間が長くなかったという意味では、森山としても、問題ではなかっただろう。
 それを考えると、ある意味。
「ラッキーだった」
 といえるかも知れない。
 今度の会社は、地元大手に近いというところは変わりはないが、昔からの、
「同族会社」
 ということで、
「大きな親会社から、あれこれ言われることはないだろう」
 と思っていた。
 しかし、それもつかの間のことで、次第に、業績悪化ということから、
「この会社のスポンサーになろう」
 というところが増えてきた。
作品名:マトリョシカの犯罪 作家名:森本晃次