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サナトリウムの記憶

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 それを分かっていて、自国の利益のために、輸出するというのは、日本において、
「麻薬が、暴力団の資金源」
 といってもいいだろう。
 つまり、
「貿易の対価的に、儲かる」
 ということ、さらには、
「相手を、薬漬けにすることで、売りつける側が圧倒的な立場的にも優位になれる」
 ということで、
「薬漬けにすることで、植民地にする」
 という、同じ植民地政策としては、あまりにもひどい状況で、明らかに、
「禁じ手を使った。人道的に許されることではない」
 と言えるに違いないのだった。
 それが、当時の帝国主義における、植民地政策の、真実だったということである。
 植民地というと、日本という国も、一歩阿違えれば、
「アメリカの植民地」
 となっていたかも知れない。
 鎖国というものはしていても、海外からの情報は入ってくる。江戸時代においては、
「国学」
 と同様に、
「儒学」、「朱子学」
 さらには、
「蘭学」
 と呼ばれるものが入ってきた。
 蘭学には、化学、物理学だけではなく、医学、天文学なども入ってきて、それにより、日本においての科学力というのは、かなりのものだったという。
 特に、
「日本のエジソン」
 といっても過言ではない、
「平賀源内」
 などの活躍は目覚ましいものがあり、海外に匹敵するだけのものを有していたといってもいい。
 それが、明治以降にも受け継がれ、軍事の面でも、実は、アンテナなどの技術も世界最先端を行っていたのだ。
 日本が、
「大東亜戦争」
 に負けた理由の一つとしてあげられる、
「レーダーなどの技術」
 であったり、その解読術に劣っていたと言われているが、実際の技術はすごいものだったのだ。
 逆にいえば、それだけの科学力を有しながら、活用できなかったというのは、戦争指導者であったり、国家首脳などの頭が硬かったのではないかと言えるであろう。
 それだけ、日本という国は、最初から、
「アメリカ、イギリスなど、欧米列強に戦争を挑むこと自体が、無謀だった」
 ということなのだ。
 しかし、実際には軍も政府も、
「それくらいのことは分かっている」
 ということで、
「いかにすれば、一番いい形で戦争を終わらせることができるか?」
 という問題と、
「いかにすれば、戦争に突入せずにすむか?」
 という問題の両面から入ったのである。
 しかも、戦争遂行に当たっては、
「先制攻撃で、相手の出鼻をくじき、そこから電光石火のごとくの作戦で、太平洋を席巻し。最終的には、インドネシアの油田を確保する」
 というのが目的であり、戦争開始の同意語のように言われている、
「真珠湾攻撃」
 も大切であったが、それよりも、陸軍における、
「マレー上陸作戦」
 の方が、重要だったといってもいいだろう。
 マレー半島に上陸し、第一目標として、イギリスのアジア進出の拠点であり、要塞化されているシンガポールの攻略が最初だったのである。その後に、インドネシアに入り、油田の確保をすることで、まずは、大きな軍事作戦は、成功を収めたといってもいいだろう。
 しかし、誤算があったのは、真珠湾攻撃において、アメリカが、
「騙し討ち」
 ということを言い出して、戦意喪失させるどころか、相手に火をつけてしまったということであった。
「そもそもが、アメリカに引っ張り出されたものであり、しかも、宣戦布告がほんのちょっと遅れたから、騙し討ちというのは、おかしいのだ。なぜかというと、宣戦布告というのは、国際法上では、最後通牒であっても、宣戦布告に値するということを考えれば、ハルノートが提示された時点で、すでに、アメリカから宣戦布告を受けているといってもいい」
 と言えることだった。
 しょせん、
「勝てば官軍」
 とは、まさにこのことなのであろう。
 実際に、その時に戦争を辞めておけば、
「勝てないまでも、まだ取り返しがつくだけの、休戦に持ち込めたのかも知れない」
 ということだった。
 そもそも、あの戦争への突入は、日本が、仏印北部。つまり、
「フランス領インドシナ北部への侵攻」
 によって、アメリカを始め、欧米列強から、石油の全面的輸出禁止などという、
「経済制裁」
 を受けたことと、最後通牒であった、
「ハルノート」
 によって、
「経済制裁解除は、満州を中心とした、中国大陸からの全面撤退。ここには、すでに併合済みであった朝鮮も含まれていた」
 のだった。
 これは、明治維新当時の日本に戻ることを意味して、絶対に譲れない路線であった。
 そんなことは欧米にも分かっているはずだ。
 何といっても、日本における。
「朝鮮半島の統治」
 は、
「アメリカのフィリピン支配」
「イギリスによるインド支配」
 と相互で認めさせる打開案だったはずなのに、それをいまさら、反故にするといっているようなものであり、
「日本が飲めるわけはない」
 ということは、当然分かっているはずのことだったのだ。
 それを思うと、最初から、
「イギリス、アメリカは、日本を戦争に引きずりだすためのものだ」
 ということは一目瞭然であった、
 そもそも、イギリスはおろか、アメリカは、
「イギリスから、対ドイツ戦への参戦を何度も促されていたが、アメリカにはいくら大統領がいるからといって、戦争を行う場合は、議会の承認がいるのだった」
 つまりは、
「世論が反対している以上、議会が賛成するわけなどない」
 ということで、当時のアメリカは、
「モンロー主義」
 というものがあり、
「アメリカに直接影響のない、ヨーロッパにおける戦争に関わらない」
 ということがスローガンでもあった。
 それを思うと、
「ドイツと同盟を結んでいる日本を怒らせて、追い詰めることで、日本に宣戦布告をさせ、その同盟国のドイツもアメリカに宣戦布告することで、戦争ができるようになる」
 と考えたのだ。
 アメリカが、いわれている、
「日本を戦争に巻き込み、アメリカの国民感情を煽るために、真珠湾を犠牲にした」
 ということは、どこまでが本当のことなのか分からないが、結果的にはそうなったわけで、そういうことであると、
「リメンバーパールハーバー」
 というのは、アメリカ政府お陽動にすぎないのだ。
 そもそも、前述のように、宣戦布告というものは、国際法上では、
「最後通牒でもいい」
 ということになっている。
 今回の最後通牒としては、日本が飲めない要求を突き付けてきた時点で、決まったも同然と言われる、
「ハルノート」
 というものではないのだろうか。
 戦争において、宣戦布告同様なものとして言われている、
「海上封鎖」
 なども、同じことだろう。
 だから、アメリカは、
「キューバ危機」
 において、
「海上封鎖」
 というものを、大きな問題としたのだった。
 今が、そんな時代を超えて存在しているとすれば、大きな問題が潜んでいたりするというのも、ありがちなことである。
 ここに、一人の男性として、
「秋元何某」
 と言われる人がいる。
作品名:サナトリウムの記憶 作家名:森本晃次