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力の均衡による殺人計画

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「少なくとも、三つくらいのどこかの学園を自治体の認可に関して、ソーリが、金で口利きした」
 などという疑惑があった。
 確かに、
「宗教団体から、金や票を買うことで、悪徳宗教団体を支援してきた」
 という経緯もあることから、
「地方の学園を支援するくらいのことは朝飯前」
 だと思っていたのだろう。
 しかし、それが、暴露されてしまった。
「ソーリは、マスゴミを甘く見ていたのか」
 それとも、
「善意の第三者」
 なる人物がいて、その人が、新聞社などにリークしたのか。
 どちらにしても、
「ソーリの悪行」
 あるいは、
「ソーリの横暴」
 が明るみに出たのだ。
 野党は追及したが、どこか歯切れはよくない。
「それはそうだろう。自分たちだって、叩けば埃が出るくらいだ」
 と言えるのではないだろうか?
 そんなソーリ、いや、政党だから、野党ともなれば、そのスローガンは、
「清廉潔白」
 というのが、一番の言葉となるのだ。
 しかし、彼らも、
「党の存続」
 を考えると、
「賄賂くらいはしょうがない」
 と思っていて、
「これが、政治家だ」
 というくらいに思っていたのかも知れない。
 しかも、遠い昔のことではあるが、
「裏切りで成り上がってきた」
 という過去があることから、
「裏切りには敏感だ」
 と言えるだろう。
 しかし、彼らの党は、皆が皆同じ方向を向いているわけではなく、一種の、
「烏合の衆」
 であった。
「政権与党を潰すまでは、どうしても、烏合の衆では仕方がない」
 ということで、過去の裏切りの事実を、表に出せないという事情を抱え込んでしまったのだった。
「もし、政権を奪取することができれば、すぐに空中分解する」
 という懸念はあった。
 実際に、政権を取ると、彼らは自分たちの主張から、閣議の決定にも、どうしても時間が掛かったのである。
 実際になりかかったこともあったが、それが目立たないくらいに、最後は壮絶だった。
 世間からは、
「こんなはずではなかった」
 と思われ、災害があった時の対応を間違えてしまったことで、余計に窮地に追い込まれることになるのだ、
 しかも、それをソーリが口にしたのだ。
「被災者には絶対に言ってはいけないことを言ってしまった」
 しかも、
「罵声であるか」
 のようにであった。
 もし、それが、愚痴が嵩じての、開き直りのようなものであれば、
「政治家失格以前に、人間失格だ」
 と言われても仕方がないことではないだろうか?
 そんなこんなで、結局、
「空中分解してしまった」
 ということであったが、ちょうどその頃には、前の政権が、少し持ち直してきたのだ。
 総裁も、前のソーリに変わった。
 その人は、以前、病院に逃げ込んだということで、
「卑怯者あつかい」
 をされたが、今回の野党第一党による政権交代からの、政府としては、あまりにも情けなかったということになれば、ちょうど、衆院選が迫っていることで、リセットされたかのようになった政権の座は、すでに、
「再度の政権交代」
 によって、結局、
「徳川慶喜が、企んだ、大政奉還が、約150年越しにうまくいった」
 といってもよかっただろうか。
 疑惑がアリながらでも、交代した政権は、
「曲がりなりにも、結果として、長寿記録を更新することになるというのは、実に皮肉なことだった」
 といってもいいだろう。
「今の世の中を動かすものは、清廉潔白だと言ってみたり、公約をまったく守れなかったりということもあるが、ある意味一番悪いのは、烏合の衆だったということになるのではないだろうか?」
 ということであった。
 時代の背景には、何が関わっているかというと、
「歴史は繰り返す」
 ということになるのではないだろうか?
 彼の選挙事務所は、自宅の奥にある
「昔は蔵だった」
 という場所を改造して作られたものだった。
 当初はプレハブのようなところであったが、今は、きちっとした建物になった。それは、数十年前に起こった、
「大地震」
 にことを発するのだった。
 そもそも、このあたりは、
「地震被害というのは、比較的なところだ」
 と言われていた。
 それが、いきなりの大地震が襲った。近くの木造建築のところは、倒壊するところもあった。それは、下町のようなところで、マンション地区や、ちょうどこの当たアリになる、
「平成の住宅地」
 と言われるところは、比較的、被害は少なかった。
 ただ、選挙事務所として作ってから、数年が経ったプレハブは、見事に崩れていて、
「このまま使うには、あまりにも損傷がひどい」
 ということで、建て替えることにしたのだった。
 震度6強というから、木造住宅であれば、全壊であっても不思議もないくらいで、特に、「余震が続いている間に倒壊した」
 というところが、その後に結構あったということだ。
 最初のひどい地震だけで安心できないのが、地震による被害というもので、実際にそのひどさに驚嘆したのは、地震の瞬間よりも、ライフラインが壊滅したことの方が大きかった。
 建物は何とか大丈夫だったが、停電と、断水とには、かなり苦しめられた。
 時候的に、比較的過ごしやすい時期だったから、まだマシだったが、これが、真冬や真夏だったらと思うとゾッとする。
 冬は凍えるような寒さで凍てつく状態。夏になれば、暑さと、水分補給ができないことでの熱中症などが恐ろしいところであった。
 実際に、この間も、
「給水車などが回ってきたが、それによって、十分な水分が補給できるか?」
 ということが難しいのであった。
 水分補給は、何とか給水車で賄えたが、それ以外の電気、ガスなどはそうもいかなかった。まだ、避難所に避難するほどではなかったのが、
「不幸中の幸い」
 であったが、やはり、パイプラインと食料だけは、どうにもならなかったのだ。
 電気は、数日で復旧したが、元の生活に戻れるまでは、それから一週間はかかった。
「選挙の時期でなくてよかった」
 ということである。
 当然、選挙の日にちは延期されるだろうし、計画がすべて、水の泡になるので、再度計画を立て直す必要があるということであった。
 だから、プレハブも。
「耐震構造のしっかりした形として、事務所としての機能を装備する形としての建築」
 を行ったのだ。
 母屋の方も耐震構造を見直したが、そこまでひどくはなかった。ちょっとした改修で済んだのだ。
 何しろ震度6強でも、ビクともしなかったのだから、それも当然のことだった。
 おかげで、
「選挙事務所」
 の方だけの改修だったので、そちらに手を掛けられるということだ。
 しかも、支援者からも、寄付という形で得られたので、キチンと耐震構造だけではなく、多目的に使える事務所にしたのだった。
 家が昔からの、財閥が使っていたような豪邸なので、蔵を改造したというだけでも、かなりの敷地が得られる。
「この場所を二階建ての事務所にしたとしても、公民館くらいの設備は作れる」
 ということで、
「選挙事務所兼公民館」
 としての装備にしようと思ったのだった。