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ゆずは

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 だが、何も言わなかった。
「おかしいな。こういうことに気付けば、いつも真っ先に言わないと気が済まないタイプなのに」
 と思った。
 普段から、あまりまわりに気を遣う方ではなく、
「お前は、KYだ」
 とよく言われていたやつが、気付いているはずなのに、何も言わないのだ、
 気づいているのは間違いないだろう。露骨に嫌な顔をしたのだから。
 ただ、その顔も一瞬だった。
「あいつが、一瞬で寸止めできるほど、器用なやつではないはずなのに」
 と感じた。
 そんなことを感じていると、一人の女の子が、さすがにヤバイと思ったのか、
「ごめん。一回中断してくれるかな?」
 と、タイミングをうまく見計らって、そういうと、一人の女の子を連れて、校舎の方に入っていった。
 そういえば、相当悪い顔色になっていたのを、連れていかれる時に気付いていた。
 それが、普段から、
「集中してしまうと、まわりが見えなくなる子」
 であり、実際に、ちょっと前までは楽しそうにしていたのは分かっていたはずだった。
 板倉は、彼女の様子をじっと見ていた。
 自覚はなかったが、好きだったということなのだろう。そのことに気付いたのは、実にこの時であり、
「一瞬の違いに気付けなかったことを、必要以上に後悔している」
 というのを感じたからであった。
 好きだったということを自覚したことで、彼女の様子が余計に気になっていた。
 だが、その時、頭の中でその時の状況がハッキリと分かった気がした。
「彼女は、自分でも気づかないうちに生理になっていた。しかし、楽しく遊んでいたので、気付かなかったが、動きがあるので、その血が身体から漏れる形になって、脚の方に流れていったのかも知れない。しかも、汗を掻いているので、その臭いが、それぞれ混じりあうことで、何ともいえない、悪臭を放つことになったのだおる」
 と思った。
 さらに、
「友達もそのことを分かっていたが、気を遣ってなのか、指摘できなかった。指摘してしまうと、必要以上なことを言わなければならず、最初の指摘で自己満足する男に、言い訳や、理屈を言わないといけない状況に陥ることは、決してあってはならないことだ」
 と思っていたのだった。
 そんな状況になって、初めて、友達の女の子が皆を制して、校舎に連れていったのだ。
 行き先がトイレなのか、保健室なのか分からないが、ここから先は、女性しか立ち入ることのできない
「禁断の場所」
 だったに違いない。
 さて、その場で男性陣と、他の女の子たちは、取り残された気になったが、事情が事情だけに、
「男の子が男同士」
「女の子は女同士」
 という形に別れるしかなかった。
 お互いに、会話が聞こえないくらいのところまで離れて、輪を作っている。
 それでも聞こえてはいけないということで、なるべく、輪を小さくして、完全に、相手からは遮断したという、明らかにおかしな雰囲気だった。
 男の方は、、丸くなった波いいが、何を言っていいのか分からない。
 会話になっていないのに、なぜか会話のようにしていた。
 それは、会話をしていない方が、違和感があるように感じるからだった。
 だが、どんな言い方をしても、男には女の身体は分からない。本をいくら読んでいたとしても、自分の身体には、絶対に起こりえないことなのだから、何を言っても同じなのだ。
「せめて、状況説明くらいしかできないだろう」
 つまりは、まったく分かっていない人に、
「最低限のことを教える」
 ということである。
 さすがに、まったく分かっていない人はいたが、
「教えてもらっているのだから、真面目に聞こう」
 という態度は取るが、どこまで分かっているのか分からないものだ。
 あの状況で、まったく分かっていないことは、今の状況を順を追って話をしたとしても、しょせん分かるはずなどないからであった。
「あれって、生理なに?」
 と、板倉が聞くと、若干のメンバーが意外そうな表情をした。
 それはきっと、
「板倉くらいのやつが生理というものを知らなかったのか?」
 ということであった。
 板倉は、まわりが、意外そうな顔をするのを見て、自分もビックリしていた、
「俺って、皆から、どんな目で見られていたのだろう?」
 ということであった。
 今はここに、男子しかいないので、この反応は致し方ないかな?
 と思ったが、
「女性の中に、自分というものがいたら、どう感じるだろう?」
 ということを考えると、
「そんなにませて見えたということだろうか?」
 と感じると、恥ずかしい気持ちになったのだ。
 恥じらいというよりも、知らなかった方が恥ずかしいと思う。その方が今の時代は、正義なのかも知れない」
 と感じるのだった。
 知らなかったことを知ってしまうと、そこに恥じらい。いわゆる、、
「羞恥」
 という感情が浮かんでくる。
 それは、女の子が感じなければいけないはずなのに、彼女は、無邪気と言えばいいのか、感情が、破天荒で、
「天真爛漫」
 なところが、
「彼女のいいところなのだが、たまに、こうやって、まわりを巻き込む形になってしまうと、それでも、彼女の肩を持つ人が、男側にも女側にもいるということで、何とも、役得なところがある」
 と感じられるのだった。
 しばらくすると、抱きかかえるようにして、校舎の方に連れていった女の子が一人で戻ってきた。
 二人で戻っていると思っていたその場は、暗い空気に包まれて、皆おかしな気分になっていた。
「苦虫を噛み潰したような」
 というのは、まさしくその通りなのだろう。
 一人で帰ってくる時、彼女は、下を向いていた。
 普段から、いつも前を向いて、ハッキリと自分の態度はまわりに示すような人だったが、そんな女の子が、顔を下に向けているのだ。
 その様子を見ていると、
「顔を上げて、表情を見られるのが嫌なのかな?」
 と感じた。
 とすると、どんな表情をしていて、いや、していると思っているから、見られたくないと思っているのだろう?
 そんなことを考えていると、やはり、
「男性と女性の身体の違いは、まったくもっていかんともしがたい」
 と言えるのではないだろうか?
 どんなに説明しても分かってもらえない。
「あるものがなくて、ないものがある」
 というのが、男と女の違いだからだ。
 と言えるだろう。
 つまり、それは、男女の間の、
「禁断の会話」
 というもので、お互いに恥じらうという感覚は、聖書の、最初の方にある、
「イブが、禁断の果実を食べたからだ」
 ということで、その様子は、完全に、
「太古の昔の、さらに、創生に近いところだったのだ」
 と言ってもいいだろう。
 女の子たちが、小学生の時、学校の先生からどのように教わったのかということを聞いてみたい。
 学校によっては、
「男女一緒に教える」
 というところもあるようで、
「どこまでが、禁断で、どこからが許されるのか?」
 と考えてしまう。
「ひょっとすると逆なのでは?」
 と考えるが、それがどう違うのかを理解できているというのだろうか?
作品名:ゆずは 作家名:森本晃次