ゆずは
また、地域によって、特化する部分があるということもあり、
さらに、コスチュームの充実もあったりするのだ。
そんな店の中で、板倉が考えていたのは、
「老舗」
と言われるような高級店だったのだ。
ただ、それも、無料案内所において、女の子のパネルと、案内所の人の話を聴いて決めようと思っていた。
店の方も、
「利用するかどうか迷っている」
という人よりも、
「利用は決まっているが、店の選択が分からない」
と思っている人の方が、案内しようがあるというものではないだろうか?
特に、話も早いだろうし、条件も最初から決まっているのだから、話は早いだろう。
風俗街を入って少し行ったところにある案内所に入ってみたが、そこで聞いてみることにした。
案内所の人は、さすが毎日、風俗を利用しようとする男性を見てきたのだから、雰囲気だけで、何を求めているかということが分かっていたりするのだろう。
「この店にしよう」
と、すぐに決まった。
老舗として、以前から名前は知っていたというのと、案内所の人が聞いてくれた好みの女の子と、ちょうどパネル写真で一致し。その子がちょうど空いているということだったので、ちょうどよかったのだ。
その時、案内所から店に直接連絡が行き、その情報に間違いないということだったので、
「交渉成立」
ということで、
「今から、店のスタッフが迎えに来るということなので、少々お待ちください」
と言っていると、その喉の乾かぬうちに、
「こちらのお客さんです」
と、案内所の人が、店のスタッフらしき人に挨拶をした。
そのスタッフは、燕尾服を来ていて、まるで、バーテンダーのような雰囲気があった。
「こんなにきちっとしているんだ」
と少しビックリするくらいに、正装として、パリッとしていた。
「こちらにどうぞ」
と言って、スタッフの後についていくと、他の店の前にいる人はこちらを見ても、当然のことながら、何も声を掛けてこない。
「これだけの人が声を掛けてきたら、結構緊張するだろうな」
というほどであった。
執拗な勧誘はないとはいえ、やはり声を掛けられて、断るというのは、気を遣うというものだ。
店は、大きなビルの三階にあった。エレベーターで向かったが、隣にも同じような店があり、そこも聞いたことがあるような名前の店だった。
店に入ると、まず、受付が行われ、待合室に通された。
ソファーもフカフカで、まるで、大きな会社の応接室のような感じだった。
「何かお飲み物は?」
と言われ、よく見ると、テーブルの上にメニューが置かれていた、どうやら、ドリンクサービスのようだった、
「さすが高級店」
と思ったが、それくらい当たり前といってもいい。
さすがに、受動喫煙禁止法が施行されたので、室内の喫煙は禁止なのが嬉しかったが、昔であれば、テーブルの上に、シュガレットケースがあり、高級タバコや、葉巻が置かれていたのではないかと思うのだ。
待合室には、誰もいなかった。結構暗めであったが、その調度の感じからいくと、
「昔は、バーカスナックだったんだろうな?」
と思うようなところだった。
さすがに酒は飲むわけにはいかないので、コーヒーを頂くことにした、
緊張が残っているので、コーヒーはちょうどよかったのだ。
待合室では、スマホをいじっていると、時間的にはちょうどよかった。
今頃、スマホに誰かから連絡がくるはずもなく、ネット検索をするくらいだったが、昔のように、マンガやテレビを見ているような待合室に比べると、時間的には、そんなに待ち遠しくて、苦痛なくらいになることはなかった。
「番号札は、3番だった」
しかし、他に誰も客もいないのに。3番というのは?
と思ったが、
ひょっとすると、時間帯で区切っていて。ちょうど自分が三人目で、前の客はちょうど自分が来店する前に、お部屋の方に入ったのではないかと感じたのだ。
その感覚がほとんど当たっているというのは、その後何度か通った時に分かったのだった。
「3番の番号札お客様」
と、スタッフは、他に客が誰もいないにも関わらず、そういって、待合室の前で声をかけた。
そんな当たり前のことであっても、礼儀正しく行わなければいけないということで、
「従業員教育が行き届いている」
といっていいのではないだろうか。
それを思うと、
「はい」
と言って、こちらも、形式に沿って、番号札を渡すことで、礼儀を示したのだ。
すると、
「お待たせいたしました。こちらにどうぞ」
と言って、廊下に出させた。
そして、
「ご指名は、○○さんで間違いございませんね?」
と言われ、さらに、その場で、禁止事項を読み上げ、確認を促しているのだった。
それを聴いていると、もうすでに、興奮状態は、マックスに近づきつつあった。
「それでは、カーテンの向こうに女の子がいます。どうぞ、お時間まで、ごゆっくりお過ごしください」
と言われたのだ。
「ごゆっくりというのも、おかしなものだ」
と思ったが、基本的には。
「お風呂屋さん」
なのだ。
こちらも、癒しを求めてきているのだから、
「ごゆっくり」
というのも、ありがたい言葉だった。
カーテンが開き、女の子と対面すると。
「ああ、想像以上の美しさ」
というものを感じたのだ。
元々、今までの経験から、美しさよりも、可愛さという方が好きだという板倉だったが、その日は、高級店という意識もあってか、かわいらしさよりもきれいな雰囲気を感じる人がよかったのだ。
その子は、源氏名を、
「つかさ」
と言った。
つかさは、可愛い系というよりもキレイ系の女性で、今までであれば、
「俺の好みは可愛い系だ」
とずっと言い続けてきたのに、どうした風の吹き回しなのか、今回は、
「キレイ系のオンナの子」
である、
「つかささん」
を指名したのだった。
実際にあったつかささんは、想像していたよりも、さらにスリムだった。
そもそも、スリム系よりも、まだぽっちゃり系の方が好きだった。
「健康的な女性が好きだ」
ということで、どちらかというと、つかさという女の子は、見た目としては、
「不健康」
に見えたのだ、
しかし、それは、あくまでも、勝手な思い込みであって、
「はじめまして」
と、ニッコリと笑ってくれた笑顔を見ると、
「ああ、結構健康的じゃないか」
と、最初のイメージが、勘違いであったことを悟った。
それなのに、どうして彼女を指名したかというと、
「自分が、風俗経験もない男なので、いろいろ教えてくれそうな、お姉さんタイプがいい」
と感じたからであった。
実際に、プレイに入ると、さすが高級店。そのサービスはさすがと言えるほどであり、とても体力のない人には務まらないだろう。
それくらいのことは、知識としては知っていたので、見た目、か細そうな、
「つかさ」
で大丈夫なのだろうか?
と考えはしたが、実際には、
「ここまで体力が持つとは」
と思っていたのである。
実際に、お相手をしてもらうと、
「マットのようなところで崩れ落ちたりしないだろうか?」
と思ったがそんなことはなかった。
彼女を見ていると、