小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ゆずは

INDEX|10ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

 などと言って、誘い込んだりする。
 まず、間違いなく、
「後悔することになる」
 と言ってもいいだろう。
 一度、キャッチに引っかかって、
「ひどい目にあった」
 という話を聴いたことがあった。
「せめて、無料案内所がいい」
 ということだったので、その日は、本当は、
「風俗街に立ち寄るつもりではなかった」
 のであるが、ちょうど知り合いとの待ち合わせで、相手が急に用事ができたということで、時間が空いてしまった。
 もう、繁華街まで出てきていたので、一人寂しく、
「どこかで、飲んで帰るかな?」
 と思っていたところ、ちょうど正面にある。風俗街が目に付いたのだ。
 もちろん、そこが性風俗街だということは分かっていた。
 ネオンサインの煌びやかさに、惹かれるように気が付けば、怪しい界隈に入り込んでいた。
 最近では、昔のような、
「客引き」
 はいないという。
 ただ、少しはいるようで、もちろん、しつこく付きまとうなどということはなく、店の入り口の前で、
「にいちゃん。これからかい?」
 などと言って声を掛けるくらいであった。
 昔なら、黒服のような人がいて、ほぼ強引に近い形で、気の弱い人だと、負けてしまうような感じだったが、今は、そんなことをすれば、一発で検挙になると分かっているのか、本当に店の前から声を掛けて程度であった。
 キャバクラや、昔のポン引きなどであれば、
「可愛い子を表に立たせておいて、客が中に入ると、まったく違う、年齢も相応な女性が出てきて、サービスの欠片もないようなひどいところもあったという」
 いわゆる。
「ピンサロ」
 などというところの悪質なところは、
「ポッキリ、三千円」
 と言って引き込んでおいて、すべてがオプション、
「ビール一本五千円」
 などという法外な値段で客を吊るのだ。
 今はそんな悪徳な店があるのかどうかも分からないが、そんな店に引っかかるくらいなら、最初からキチンと値段が決まったシステムの店に行く方がどれだけいいことか、
「特殊浴場と呼ばれる性風俗は、風俗営業法に守られた、市民権を持った商売だ」
 だということなので、今はまだあるのかどうか分からないが、昔は、
「ぼったくり」
 と言われる、
「悪徳性風俗の店」
 には、近寄りたくないというものだ。
 そういう意味で、そんな店に引っかからないようにするために、
「無料案内所」
 なるものが、風俗街の至るところにあったりするのである。
 そういう店であれば、案内所の人が、
「どういうお店?」
「予算は?」
「時間がどれくらい?」
 と、必要事項を聴いてくれるので、それに合わせて、話をするので、てっとり早い。
 しかも、パネルらしきものもあるので、そこで女の子の写真を見て決めることも
できる。
 さらには、案内所特典としての、割引もついていたりするので、初心者で、一人で理揺するような人には、おすすめだったりするかも知れない。
 さらに、案内所の人は、女の子や店のスタッフなどと仲がよかったりするので、案内所から来ると、それが話題になったりして、緊張がほぐれていいかも知れない。
 女の子にとっても、客にとっても、案内所は、意外とありがたいものだったりする。
 特に、飲み歩いて、朝を迎えて人、数名の団体など、早朝を狙ってくる人もいるので、コンビニ以外はどこも開いていない状態での、案内所は、有難かったりする。
 ただ中には、早朝はやっていない案内所もあるので、注意が必要だったりする。
 店舗型の特殊浴場というのは、風俗営業法で、
「営業時間が制限されている」
 のであった。
 同じ性風俗の中にある、
「デリヘル」
 などという業種は、
「24時間受付」
 というところもあるので、
「性風俗のお店は、24時間大丈夫なんだ」
 と思っている人もいるかも知れないが、
「24時間大丈夫なのは、店舗を構えていない、デリバリーのようなお店」
 だけであった。
 だから、店舗を構えている、
「箱系」
 のお店は、風営法で営業できる時間が決まっている。
 その時間というのが、
「深夜時間帯以外」
 ということになる。
 では、
「深夜時間帯というと、いつになるのか?」
 というと、法律では、午前0時から、午前6時までのことをいうのだという。
 だから、店舗型のお店は、
「午前6時から、午後23時59分まで」
 が、営業時間ということになるのだ。
 店舗は、その決められた時間内であれば、基本的に営業してもいいことになっている。
 ただ、朝の9時くらいまでは、いわゆる、
「早朝時間」
 と言われ、
「短い時間で、割引が利く」
 というのである。
 早朝の客というと、
「前の日から数人で飲み歩いて、早朝サービスを受けよう」
 という、団体客。
 あるいは、
「仕事に行く前に、軽く気分転換」
 という客。
「夜勤明けの客」
 などが多いだろう。
 彼らは、ゆっくりとした時間というよりも、短い時間で、癒しを求めるという人が多いだろうから、
「サービスよりも、短い時間での割引を狙って」
 ということが目的だったりする。
 だから、早朝は、格安店、大衆店が多い。
 何も、高級店がそのようなサービスをする必要はないのだ。
 逆に、高級店のように、
「サービス第一」
 ということで、それに見合う金額を貰っているのだから、早朝サービスのようなことをすると、店の品格が落ちてしまい、せっかく、
「高級店で遊ぶのがトレンドだ」
 と思っている人に対して、失礼だというものだ。
「高級店は高級店らしく、サービスというのは、値段に似合ったものを、キャストが提供するもの」
 という路線なのである。
 その日、確かに、板倉は、
「最初から決めていた」
 というわけではなかったが、予定がなくなったことで、時間を持て余し、時間的にも十分であり、お金も、ボーナスが出たばかりで、気分的にも余裕があった。
 十分に、高級店を利用できるだけの、体制は整っていたのだ。
 しかも、
「最初は、やっぱり高級店だな」
 と思っていたこともあって、その日は、来店には実にいいタイミングだったといってもいいだろう。
 ネオンサインに惹かれるように、風俗街に入っていった。
 基本的に、風俗街でも、
「特殊浴場」
 と呼ばれるところは、都道府県の条例によって、決まっている。
 だから、特に、性風俗と呼ばれるところが店を構えることができるところは、条例で決められている。それ以外のところでの営業はできないのだ。
 というよりも、
「新規開拓ということで、新しく開業することができない」
 ということが、風営法で決まっているので、どのみち、他の地区で開業するということ自体が無理なのであった。
 しかも、店も、大規模な改修はできない。基本的には前の店を建て替えるなどもってのほかで、前の店を基礎にして、内装をコンセプトによって変えることくらいはできるが、大規模な改造工事のようなものはできないと決まっていた。
 今の風俗街は、
「何かのコンセプトで差別化しないとやっていけない」
 と言えるだろう。
「コスチュームに特化した店」
「シチュエーションに特化した店」
 などというものが、主流になってくる。
作品名:ゆずは 作家名:森本晃次