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洗脳と洗礼

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 というものが影響しているといえるものもあるのではないか?
 それも、菌が直接、
「影響を及ぼしている」
 というわけではなく、
「促進している」
 と考えられるものもあるということである。
 それは、
「本当の意味での精神疾患」
 というよりも、菌というものが、人間の精神に入り込み、元々ある人間の本質的な性質を、
「眠りから覚ましている」
 ということになっているのではないかと思えるのだった。
 人間の睡眠というのは、
「なければ、死に至る」
 というほどm必要不可欠であり、さらには、
「睡眠欲」
 という意味での、
「一種の欲だ」
 といってもいいだろう。
 つまり、欲というものも、善悪とに別れているが、一つ言えることとしては、
「欲があるから、人間なのだ」
 ということである。
「睡眠」
 だけでなく、
「食欲」
「性欲」
 というものも、ある意味失くしてしまうと、
「死に至る」
 といってもいい。
 人間は老いると、それぞれが減退していくものなのだろうが、決してなくなることはない。
 性欲にしても、ほとんど、欲とよべるほどではなくなるにしても、ゼロということではない。
 つまりは、ここでも、
「限りなくゼロに近い」
 というものが存在していることになる。
 それだけ、世の中において、
「消えてなくなる」
 というようなものが、存在しないということになるのだろう。
 それは、
「菌やウイルス」
 にも言えるもので、
「ウイルス」
 などは、変異することで生き延びている。
 それをもし、
「進化だ」
 と言えるのであれば、
「人間だって。ウイルスのようなものではないか?」
 ということが言えるのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、
「もっと、人間の中の欲に関わってくるような。菌やウイルスがたくさんあってもいいではないか?」
 ということになるのだが、もう一つの考えとして、
「人間そのものが、菌やウイルスの仲間であったり、同種のものだといえるのではないか?」
 ということも考えられるというものであった。
 確かに人間というのは、いろいろな菌を持っている。
 山岸が最近考える、
「菌」
 としては、
「失恋に関する菌」
 というものがあるのではないか?
 と考えるのであった。

                 一目惚れの女

 大学時代に、
「彼女らしい女性がいた」
 と言えなくもないが、あくまでも、
「らしい人」
 という程度で、
「それ以上でも、それ以下でもない」
 といってもいいかも知れない。
 そんな山岸が30歳くらいになった頃、好きになった女性がいた。
 ちょうど転勤になって行った先だったが、彼女は25歳で、実は、一目惚れだったのだ。
 今までに好きになった女性だったが、
「初めての一目惚れだった」
 といってもいいだろう。
 それまでは、
「自分から好きになるよりも、好きになられる方がいい」
 と思っていた。
 要するに、
「自分がマウントを取りたい」
 と思っていたからに違いない。
 どうしても、自分から好きになると、相手にマウントを取られそうな気がする。もちろん、勝手な妄想なのだが、ただ、どちらかというと、
「相手に対して」
 というよりも、まわりに対して、
「あいつ、モテるじゃないか?:
 ということで、モテることに対して、
「羨ましさ」
 と、
「尊敬の念のようなもの」
 その裏返しに、
「嫉妬」
 というものが渦巻くことで、
「自分は、注目を浴びている」
 と思うと、まわりに、
「多大な影響を与えている」
 と感じるのだった。
 それなのに、一目惚れしてしまったことで、それまでの自分が思い描いていた、
「恋愛」
 というものに、微妙な違いという感覚をかんじていたのだった。
 というのも、
「相手に好きになってもらおうとお思うと、こちらが、相手を意識しているということを少しでも感じさせないと、こちらを振り向いてはくれない」
 もし、少しでも彼女を好きな人がいるのであれば、
「そいつにはかなわない」
 ということになるのだ。
 転勤していって、最初に見た彼女への第一印象は、
「どこか影がある女性」
 という印象であった。
 ただ、その中で、
「視線を感じる」
 と思うと、気にならないわけにはいかない。
 自分を見詰めるその視線に、ときめきのようなものを感じたのだとすれば、
「今まで、自分が誰も好きにならなかったことが悪いのか?」
 あるいは、
「人を好きになれなかった」
 ということなのか?
 と考えるようになるのだった。
「女性から好かれたい」
 と思っているのに、
「何が悪い」
 というのか?
 それは、彼女に、
「影がある」
 と感じたことで、
「自分に彼女の好きになってくれるという責任を負うことができるだろうか?」
 と感じたからかも知れない。
 そう思うと、
「相手に好かれたから好きになる」
 というのは、
「自分を好きになってくれた」
 ということの責任を取ることになる。
 と考えると、
「こっちが好きになる方が気楽なのかも知れない」
 と感じた。
 確かに、彼女がこちらを気にしてくれたのは、
「俺の方が好きになったからではないか?」
 と思うと、自分を納得させることができる。
 だから、最初に告白したのも、山岸の方であったし、相手も、どうやら待っていたような気がする。
「女性って、自分を好きになってくれたことへの、相手に対して、責任のようなものを感じないのだろうか?」
 と思った。
 これは何も、
「女性だから」
 ということではなく、ただ、山岸自身が感じていることであって、それ以上でもそれ以下でもないと思うと、
「好きになられたから好きになる」
 ということに後ろめたさのようなものを感じるなど、
「さらさらない」
といってもいいかも知れない。
 付き合い始めるきっかけになったのは、社員旅行だった。
 もうその頃は結構な会社で、社員旅行というのはなくなっていて、山岸の会社でも、その2年後くらいにはなくなったのだが、その最後ともいっていいくらいのもので、それほど遠くではなかったが、それでも、温泉に、おいしい料理に、酒と、慰安旅行という意味では、よかったのではないだろうか?
 すでに、彼女の方でも、
「こちらを意識している」
 ということが分かっているという感覚だった。
「おいしい料理に舌鼓」
 というと、さらにそこに酒が入ると、どうしても無礼講になったりする。
 そうなると、女性社員は、今では考えられないことかも知れないが、まるで、
「ホステス扱い」
 ということになり、
「上司の席をまわりながら、酌をしないといけない」
 などという、今でいえば、
「パワハラ」
 さらに、
「セクハラ」
 といっても仕方がない状態になるといっても過言ではないであろう。
 そんな状態において、山岸は、絶えず彼女のそばにいて、
「この俺が守ってやろう」
 とばかりに、
「ナイト」
 の気分だったのだ。
 彼女もそんな山岸の気持ちを分かっているのか、その状態で、酔っぱらっているのかいないのか、見るからに、しなだれているかのように見えた。
「かわいい」
作品名:洗脳と洗礼 作家名:森本晃次