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自己バーナム

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 しかし、次第に自分から去っていこうとするのを見ると、どうもいろいろ怪しく感じられる。
「もし、何かあった時の相談相手だとすれば、今までのこともあって、今は落ち着いているかも知れないが、いつまたいろいろあるかも知れない」
 と思えば、簡単に、相談相手を切ることはできないだろう。
 と考えれば、今度は違う面が見えてくる。
「相談相手であれば、他を見つければいい」
 という考えであろう。
「日下部が簡単に引っかかったのだから、他の男なんて、ちょろい」
 とでも思っているとすれば、それは大きな間違いだ。
 日下部だって、そこまでバカではない。
 いや、
「洗脳される」
 という意味では、本当のバカなのだろうが、ある意味、分かっていて引っかかっているという意味でのバカではないのかも知れない。
「ただ、そういうバカは、そうは他にはいないだろう」
 と、日下部は感じるのだった。
 実際に、女が何を言っても、すべてを疑ってみる人の方が多いだろうから、そう簡単に引っかかる人もいない。
 特に相手は、精神疾患だというと、警戒する人も多いと聞いた。きっと、そういう事例が今までにも散見されたのかも知れない。
 もちろん、本当の精神疾患で苦しんでいる人もいるだろうから、一概には言えないが、そういう立場を利用して、
「男を騙す」
 という行為は、許されることではない。
 特に、日下部のように、
「一度ひどい目に遭っている」
 という人にとっては、
「許してはいけない人だ」
 といってもいいだろう。
「日下部が、過去にそういう目に遭ったことがある」
 ということを知っている人は結構いる。最後の方は依存症のようになってしまった日下部は、
「医者に罹ったり」
 あるいは、
「カウンセラーから、洗脳を解いてもらう」
 ということになったのだから、たいがいなことであったというのは、分かり切っていることであった。
「本当に厄介だ」
 と、日下部も今になっても感じていたのだ。
 ネットだと、女性なのか、男性なのか分からないということはあるが、それが音声になると、
「声で分かる」
 ということになり、いわゆる、
「ネカマ」
 というものを見分けることに難しいことはないだろう。
 だが、
「相手は女性だから」
 ということで、絶対に信じられるということはないわけである。
 もっといえば、
「後ろに男がついている」
 ということもあるだろう。
 そういう意味では、
「テレクラ」
 というものもそうではないだろうか?
 テレクラというと、男がある固執で待機していて、そこに掛かってきた電話に出て、女性からの電話に出るというものだ。
 男は、その個室を、
「時間で買う」
 ということになるので、一種の、
「ネットカフェ」
 のように、一部屋を借りるという感じである。
 そこで、掛かってきた電話の相手と話をすることになるのだが、ほとんどの場合は、
「出会い目的」
 である。
 声は確実に相手は女性なので、男も安心するのだろうが、その次に男が考えるのが、
「電話の本人がくるのか?」
 ということであろう。
 結構な確率で、待ち合わせの場所を決めておいても、相手が現れないということは結構あるだろう。
 実際に来ないということもあるだろうし、中には、
「その場所を女の子が影から見ていて、危なそうに見える相手であれば、そのまま帰って、別の相手を探す」
 ということになるのだろう。
 基本的に、出会い系目的なので、
「遊ぶ金」
 であったり、もっとリアルに、
「その日の食費」
 を稼ぐという人もいただろう。
 バブルが弾けてすぐくらいの時代に流行ったので、
「その日の食費や宿泊代がない」
 という人もいたに違いない。
「何しろ、いつ誰が、リストラされるか分からない」
 という時代だったからである。
 そんな時代だったので、女の子が、一人で、出会い系の、
「営業」
 というのも、普通にありだったのだ。
 また、昔からあるもので、
「バックに男がついている」
 ということでの、いわゆる、
「美人局」
 ということだってないとは限らない。
 相手が金持ちであれば、成功率は高いが、逆に、危険性が増すということを、
「やっている連中」
 には分からない。
「物事には、表があれば、裏もある」
 ということなので、どうなるのかということを考えてほしいというものであった。
 どういうことかというと、
「金を持っているだけに、守らないといけないものがある」
 ということになるので、やつらの付け目なのだろうが、逆に、
「守るものがあって、金があるだけに、何をするか分からない」
 ともいえるのだろう。
 つまりは、犯行を行う方とすれば、
「お金があって、守るべきものがある人間だから、まずお金よりも、名誉を守るだろう?」
 と考えることだろう。
 それは作戦としては、犯人側とすれば、
「いい作戦」
 ということなのかも知れない。
 しかし、一回だけでやめておけば、まだよかったかも知れない。ただ、味を占めて、再度揺するに入ると、
「今度は完全に彼らの考えを踏みにじる」
 ということになる。
 しかも、
「このままいけば、永遠にたかられ続ける」
 ということになるだろう。
 そうなると、名誉の問題どころではなくなってくる。
「犯人グループを葬らなければいけない」
 と思うだろう。
 犯人グループであったり、策を練る方は、意外と、
「自分たちが策を練っているのだから、相手が何かを考えてくるとは思わなかったりする」
 これが、戦争であれば、そんなことはないのだが、
「一介の犯罪集団」
 しかも、ほぼ、素人ということであれば、金を持っている連中についている、
「用心棒」
 にとっては、その正体を暴くくらいは、
「お茶の子さいさい」
 といってもいいだろう。
 だから、犯罪グループというのは、
「証拠を握っているのだから、相手には手を出せない」
 と思い込んでいるだろう。
 しかし、被害者側も黙ってはいない。
 金で雇って、刺客を送り込み、やつらの素人同然の
「アジト」
 くらいは簡単にバレてしまい、数人の共犯連中は、袋叩きに遭い、証拠の何も力づくで、奪い取られるだろう。
 こうなってしまえば、形勢逆転であり、何をされても、文句の言えない状態になるといってもいいだろう。
 その後やつらがどうなるか?
「どこかの港に、簀巻きになって放り込まれるか?」
 あるいは、
「コンクリート詰めになるか?」
 さらには、
「人知れず、殺されて山に埋められるか?」
 もし、そんなことがなくとも、
「東南アジアあたりに、売り飛ばされる」
 ということもあるだろう。
 特に、女の運命はそっちかも知れない。
 確かに、さすがにここまでは、
「可愛そう」
 といってもいいかも知れないが、自分で蒔いた種ではないか。
 簡単に、
「美人局」
 などということを、素人がやるなど、もっての他で、攻撃した方からすれば、
「上前をはねられた」
 といってもいいだろう。
 しかし、今の時代、
「美人局なんか誰がやるものか」
 と、誰が考えても、素人の犯行であることは一目瞭然、プロがそんなことをやるわけはないのだ。
作品名:自己バーナム 作家名:森本晃次