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邪悪の正体

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「そのあなたをプロモーションしている人のことが、信じられないわね。あなたが、プロモーションするにふさわしい人か? ということを自分で試して、それで、自分がプロオーションしようということにしたんだから、自分の会社の社員を信用していないのと同じなので、それはおかしいよね。会社というよりも、個人契約なのだから、もっと絆は深いものっだと思うんだけどね」
 とかすみはいった。
 すると、彼女の方も、
「ええ、そうなの。あの人は、私の話を聴こうともせずに、全部自分の意見をいうだけ言って、最後には、これ以上、余計なことをいうなと言って、私を抑えつけようとしているの」
 というではないか。
「それはひどい」
 と口で言っておいて、心の叫びもまったく同じ言葉だった。
 彼女の話を聴く限りでは、まったく彼女に落ち度はない。
「ただ、トラブルに巻き込まれただけだ」
 ということである。
 ただ、彼女と知り合ってから、彼女のことを少しずつ聞いたが、どうも、トラブルに巻き込まれることが多いという。かすみと知り合ってから、2カ月くらいであるが、実際に彼女から聞かされる大小を問わないトラブルとしては、何件も存在し。その状態をいかに捉えればいいのか、正直迷っているところがあった。
 普通なら、
「この短期間で、こんなにトラブルに見舞われれば、精神疾患になるのも無理はないというべきか」
 それとも、
「彼女が精神疾患で、やはり余計なことを言ってしまうことで、トラブルを引き起こすのか?」
 正直、よくわからない。
 しかし、かすみは、最初に、
「彼女を信じる」
 と感じたのだから、もう、そうするしかないということであった。
 だが、実際に、
「本当にそうなのだろうか?」
 と思えるようなことがあった。
 彼女は、自分をプロモーションしてくれて、
「それなのに、自分の意見を聞いてくれなかった」
 ということで怒っているはずのその人を、確か憎んでいるのではなかったか?
 だから、かすみも、
「彼女が怒っているのだから」
 ということで、
「一緒になって、怒りを一緒にぶちまけたのではなかったか?」
 と感じたはずなのに、何と、彼女は、その男性に対して、発言に普通の会話で、返事を返しているのを見たのだった。
 内容としては、普通に、
「おいしそうな画像を載せていて、ちょっとしたコメントが書いてある」
 というだけのものなのだが、それに対して彼女は、
「おいしそうです」
 と普通であれば、何でもない会話なのだが、今のお互いの立場を考えると、
「おいおい、そんな会話あり得ないだろう?」
 という、信じられないものだった。
 喧嘩して絶交している相手の投稿に、普通の会話とはいえ反応するなど、あり得ないのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、
「一体何を信じていいのか分からない」
 という気持ちになっても、無理もないことではないだろうか?
 普通であれば、自分の気持ちを聴いてもらいたいと思うのは無理もないのだが、親友のように思っている相手を引き込んでおいて、自分に同意させておいて、それなのに、自分は、
「いけしゃあしゃあ」
 とばかりに、相手と普通に会話する。
 これは、一種の裏切り行為ではないだろうか?
 その話を聞かされた時点で、かすみは、完全に、
「そこに出てきたすべての人間を、嫌悪する」
 という状態になっているのだ。
 だから、思ったことを言って、しかも、
「私は彼女の味方だから、安心していい」
 という気持ちで安心させるために、本来は、
「何の恨みもない人」
 に対して、不本意ながら、悪口を言ったまでのことなのに、そんな思いをさせておいて、自分は、
「何を好きなことをしているんだ?」
 ということである。
 本来であれば、彼女の話から、
「私が助けてあげたのに、その助けようとした相手から梯子を外された」
 という話ではなかったか?
 今の状況は、自分が、彼女の立場になっていて、まるで、信じ込むような状態にさせられ、
「相手を救いたい」
 という気持ちを利用され、まるで、
「洗脳されたかのようになってしまった」
 ということが、大いなる事実として、考えただけで、ムカムカくることが、こんなにも、公然と行われるというのは、本当にどういうことなのだろうか?
 それを考えると、それこそ、
「マトリョシカ人形」
 であったり、
「合わせ鏡」
 とでもいう状況なのだろうか?
「一蓮托生」
 という言葉の意味、本当はこういうことではなかったはずだ。
 それを考えると、
「一番の貧乏くじを引いたのは、一体誰なのだろう?」
 と、思うのだが、分かっていることのはずなのに、結局それが自分であるということを認めたくないという気持ちでいっぱいなのだろう。

                 喪失した記憶

 つかさは、かすみに対して、次第に、
「自分の気持ち」
 というものを前面に打ち出していた。
 もちろん、それまでかすみは、
「男女の恋愛」
 というものも分からないのだから、それが、女性同士ともなると、想像を逸しているといってもいいと思っていた。
 そして、考えていたのは、
「男女の関係」
 というのは、お互いに、肉体的なものだけでなく、精神的な面でも、深いものだと思っていた。
 だから、今まで存在自体は、否定するつもりはなかったが、どういうものなのかということを想像することもできない、
「女同士」
 あるいは、
「男同士」
 の関係というのは、それこそ、
「肉体的なもの以外ではありえない」
 と言えるのではないか? と考えるのであった。
 というのも、
 どうしても、
「禁断の恋」
 という言葉にある通り、
「読んで字のごとし」
 ということで、そのつもりで素直に考えると、どうしても、越えられない結界が感じられるのだった。
 特に、
「男性同士」
 ということであれば、それこそ、
「男色」
「衆道」
 という言葉で言われるような、戦国時代などのように、
「いつ死ぬか分からない戦場であれば、まわりが男ばかり」
 ということなのは、しょうがないことだろう。
 だから、
「男同士で」
 というもの無理もないことで、逆に、女性を正室、側室として、何人も侍らせるというのも分かり切っていることであろう。
「家の存続」
 というのが、当然の義務だった当時の人たちとすれば、
「跡取りを残すのも、大切な仕事である」
 ということになる。
 だから、
「側室を設けてでも、子供をつくることに専念する必要がある」
 ということになるのだろう。
 それを考えると、
「自分たちにとって、何が大切なのか?」
 と考えさせられる。
 生きていても、いつ死ぬか分からない。
 大切なことは、子々孫々と血を受け継ぐこと。
 そのためには、倫理などというモラルを絶対に守らなければいけない。その優先順位をしっかりとしなければいけないのだ。
「同性を求めてしまう」
 という発想は、そういう過去から受け継がれてきた理不尽さに立ち向かうために、必要なことなのだろう。
 今の時代では。マンガなどで、
「BL」
 つまり、ボーイズラブなどと言われ、かつての、
「衆道」
「男色」
作品名:邪悪の正体 作家名:森本晃次