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邪悪の正体

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 ということで、怒り心頭になっているということだろう
「確かに、外見では、その通りなのかも知れないが、細かいところでの人の感情が渦巻いていることで、話が混乱しているのだ」
 ということになっているので、
「どうしていいのか分からない」
 と、かすみに相談してきたのだ。
 かすみとしても、
「彼女の方からしか話が聴けていない」
 というところがネックだったが、
 それでも、彼女に対しては、彼女にも精神疾患があるということで、そんな状態で、
「健気に頑張っている」
 ということで、応援したくなるというのも、無理もないことだ。
 だから、どうしても、彼女がわからの贔屓目にしか見えないという状態になるのだった。
 彼女の方とすれば、
「精神疾患」
 というものもあることで、ストレスから、身体的な異常もいくつか散見されるようになってきたということで、
「精神的にも肉体的にも、参っている」
 ということであった。
 そんな話を聴くと、とりあえず、なぐさめるということもあって、
「彼女の意見を、全面的に支持する」
 ということしかできない。
 精神疾患がなければ、問題はないのだが、精神疾患があるということで、
「他にどうすればいいのか?」
 ということになり、問題が厄介になりかねないではないか?
 そんなことを考えていると、彼女が可愛そうになり、
「何とかしてあげたい」
 と思うのだが、正直、何を言っていいのか分からない状態だった。
 何と言っても、
「イラスト業界」
 であったり、
「プロとアマの境界線」
 というところが、正直分かっていないのだ。
 下手なアドバイスもできないし、今のところ、
「彼女の身になって、寄り添ってあげるしかないのかな?」
 と考えるようになり、なるべく彼女の考えに賛同するようになったのだった。
 この場合、元々因縁を吹っ掛けてきたという相手が、本来なら、
「一番の元凶だ」
 といってもいいのだろうが、
「すでにブロック済み」
 ということで、これ以上関わることはないだろう。
 しかし、分からないところで、最初の依頼者であった彼女というのが、
「SNSを辞める」
 と言っておいて、最初から、
「そんなことを言った覚えはない」
 とばかりに、しれっと戻ってきているというところが、かすみにとって、不思議に感じるところであった。
 となると、一番の問題は、
「プロモーションをお願いしている人で、その人が機嫌を治さないと、先に進まない」
 ということだったのだ。
 本来なら、かすみとすれば、
「そんな人、無視すればいい」
 と言えるのだろうが、相手がプロモーションをしてくれている人なだけに、下手に逆らって、自分が不利になるというのも避けなければならないだろう。
 今はまだそこまでイラストの仕事があるわけではないのだろうが、それでも、生活をしていくうえで、貴重な収入であるということに変わりはないのだった。
 それを考えると、下手に、
「そんなやつに関わることはない」
 と言えないのがつらいところであった。
 だから、かすみの方としても、
「ストレス」
 につながるのだった。
 とりあえず、彼女との間だけの話だけなので、かすみは、その男性がどのような人なのか分からなかったが、
「彼女の味方をする」
 ということしかできなかったのだ。
 だから、
「その人もひどいよね? プロモーションをしているのであれば、自分のところの社員も同然なので、助けるようにしてしかるべきなのに、それもせずに、一方的に責めるというのは、どういうことなんだ?」
 と、いうような話しかできない。
「プロモーションをするということは、それだけ、あなたを信用しているから引き受けたんでしょうに、今のままだと、完全におかしい」
 と言いたかった。
 ただ、やはり問題は、プロモーションをしている彼にとって、最初にもめた相手とは、昔からの知り合いのようで、SNS上で、公然と、
「アニキ」
 として慕っているということを目の当たりにすると、
「その人の手前、彼女の味方をするわけにはいかないんだろう」
 ということは察しがついたが、それにしても、彼女だけを悪者にするというのは、
「果たしてどうなのか?」
 と考えざるを得ないのだろう。
 そんな状態において、
「とにかく、彼女を慰めたり、元気づけるためには、私が悪者になっても仕方ないかな?」
 と考えたのであった。
 ただ、これは、最初からの一番のネックとして、いや、危険なこととして、君臨している状態は、
「彼女の話以外は、すべて彼女の話からの想像でしかない」
 ということだ。
 だからこそ、
「彼女の言っていることを、すべて正しい」
 として鵜呑みにしてしまうと、今度は、
「この私が梯子を掛けられたままの状態になりかねない」
 ということであった。
 その状態は、彼女の、
「話を聴いてしまった」
 ということから、呪縛として、自分の中に残ってしまったかもしれないという思いも、かすみの中にはないわけではないのだった。
 実際に、二人だけの中では、
「彼女の話に出てきた人は、彼女以外は、すべて彼女の敵」
 ということになっている。
 だから、どうしても、
「彼女以外の人を信じられなくなり、自分は、彼女と一蓮托生であるということお分かっている」
 ということだった。
「一蓮托生」
 というと、
「彼女が転ぶと、自分も一緒に転ぶ」
 つまり、
「彼女が潰れてしまうと、自分も一緒に潰れることになる」
 ということなので、それだけの覚悟がないと、嵌れないということになる。
「じゃあ、かすみに、それだけの覚悟が彼女に対してあるというのか?」
 ということであるが、考えてみれば、
「二人は、ネット上の付き合いというだけで、別にリアルな関係でもない」
 さらに、付き合いもそんなに深いわけではなく、SNSで話をする程度であり、のめり込むだけの理由が、どこにもないわけだった。
 しかし、かすみとしては、
「話を聴いてしまった」
 という思いがあり、
「話を聴いて、自分の態度を明確にしないのは、せっかく相談してくれた人に悪い」
 ということを考えていた。
「自分のことを気にするわけではない、徹底的なお人よしだ」
 ということになるのだが、この場合の、
「徹底的」
 というのも、かすみだけが感じていることであって、他の誰も知らないのだから、普通であれば、
「徹底的」
 などという言葉が、この状態で出てくるわけのないことであり、それを思うと、誰も助けてくれるはずのないことなのであろう。
 そんな状態となり、本人は、
「徹底的に、支持する」
 という状態となったのだが、実際には、まわりはおろか、相談してきた彼女も、果たしてどこまで、分かってくれているかということも、疑問なのではないだろうか?
 かすみとすれば、
作品名:邪悪の正体 作家名:森本晃次