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未来への警鐘

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 を挙げるとしたら、ということで、数名の名前が幾通りにか出来上がったとしても、絶対に漏れることがないといえるだけの作家であることは間違いない。
 下手をすれば、黎明期から現代までのミステリー作家のベスト3を選んだとしても、
「絶対入る」
 といっても過言ではないだろう。
 そんな探偵小説作家は、今では、
「有名文学賞」
 に名前を残していて、まるで、
「ミステリー界の、芥川賞」
 と言われるような人物だ。
 それこそ、日本文学史において、
「ミステリー界の父」
 といってもいいだろう。
 そんなミステリーを治子は書いたというが、
「黎明期の探偵小説に近いなんてこと、恐れ多くて言えるわけもないです」
 というのだった。
 治子は、
「今の推理小説って、あまり読んだことないんだけど、それは、読む気が失せるということなのかも知れない」
 と思っていた。
 最初から今のミステリーを読んでいるならいいが、昔の探偵小説を見てから、今の話を見ると、
「とてもじゃないけど、比較にならない」
 と思うのだった。
「時代が進んで、途中でピークを迎えると、その落ちて生き方は、ハンパなものではないな」
 と思うようになっていた。
 ただ、底辺に近づくと、その勢いが急ブレーキがかかったようになり、一気に地面に衝突するようなことはなくなるのだった。
 そんな時代を潜り抜け、まるでタイムリープしたかのように探偵小説の時代に戻ったとすれば、どこまで理解できるというのだろう?
「タイムリープ」
 それは、人間そのものが、時代をさかのぼるわけではない。
 意識と魂のみが、過去の戻るのであって、ただ、そうなると、
「誰に乗り移るのか?」
 ということが問題になるが、そうでないと、タイムパラドックスが起きるからだ。
 それを起こしたくないとするなら、自分の過去に乗り移るという、
「タイムリープ」
 になるということだろうが、理屈からいえば、
「自分が生きている時代にしか、過去にも未来にもいけない」
 ということになる。
 そういえば、あるSF作家が面白いことを書いていた。
「タイムスリップと、タイムリープの両方が、存在しているのが、この世界だ」
 というのだ。
 そもそも、タイムリープは、タイムスリップの矛盾、つまりタイムパラドックスを解消させるためのものだというが、そのどちらも、発想としては、中途半端だ。
 つまりは、
「自分が正損している間だけは、タイムリープで、存在しない時代であれば、タイムスリップだということにすれば、ある程度の辻褄が合う」
 ということなのだろうが、
 それでも、すべての矛盾を網羅できているわけではないのだ。
 過去にいくタイムスリップで、自分がまだ生まれる前であれば、タイムリープは成立しないので、タイムパラドックスしかないのだが、これで、大丈夫というわけではない。実はこの時代が一番危ないのだ。
 というのも、生まれてくればいいが、生まれてくるのを邪魔することだって、時代を変えてしまうことには違いない。
 つまり、よく言われることとして、
「生まれてくる前の父親を殺してしまう」
 ということである。
 そこまでしなくとも、
「両親の出会いを妨げて、お互いに結婚することがなくなれば、永遠に、自分は存在しないということになる」
 ということだ。
 これが、昔SF映画で出てきたことであるが、物事をもっと簡単に考えれば、その矛盾も解決できるのだ。
 というのは、
「何も自分の存在に、両親というものを結びつけるからそうなるのだ」
 ということである。
 過去の歴史が歪んでいて、誰と誰が結婚しても、同じ日に生まれた子供であれば、自分になりえることができ、近所の子供と入れ替わった世界になっているのだが、結果、歴史が変わって、意識の中で、電光石火にて、
「記憶が塗り替えられた」
 としても、それは、矛盾しているということにならないのかも知れないということであった。
「それを考えると、そもそも、歴史が変わったとしても、全員が全員、変わった歴史を意識の中で受け入れられるのであれば、タイムパラドックスなるものは、存在しないといってもいいのかも知れない」
 と言えるのではないだろうか?
 それが歴史というものであり、
「パラドックス」
 という矛盾も、矛盾ではないといえる根拠なのかも知れない。
 だとすると、
「タイムマシン」
 というものの開発も一気に加速するかも知れない。
 何しろ、
「タイムパラドックスの問題があるから、滞っていたわけで、その問題という足枷が外れれば。一気呵成に謎が謎でなくなり、見えなかったものが見えてくる」
 そう考えると、
「世の中の矛盾というものの半分以上が解決されること」
 として、あっという間に理屈が横のつながりとして繋がっていくというものではないだろうか。
 治子は、そんな昭和に思いを馳せているだけで、探偵小説に造詣を深くし、さらに、タイムリープとタイムスリップの考え方から、
「タイムパラドックス」
 というものの、
「矛盾というものを、矛盾ではないような考え方になるようにしてきた」
 ということである。
 そんなことを考えて、目の前の男性を見ていると、
「おや?」
 という思いがこみ上げてくるのを感じたのだっだ。
「どういうことなんだ?」
 と勝手に考えていたが、
「SFというものは、奥は深いが、考え方一つで、簡単に考えることができ、そのおかげで、いくらでも、前に進むことができるのだと考えるようになった」
 といってもいいだろう。
「タイムパラドックスは、そんなに難しくない」
 と思っていると、
「タイムリープがその解決法だ」
 と聞いた時、思わず吹き出してしまいそうになった。
「タイムリープなんか、前から知ってるぞ」
 と言いたいのだろう。

                 記憶喪失

 治子は、とりあえず、
「どこに行く当てもない」
 と言った男を家に連れて帰ることにした。
「見ず知らずの男を、部屋に引っ張り込むなんて」
 というのは、当たり前のことで、普段なら絶対にすることのないはずだった。
 それなのに、連れて帰ろうと思ったのは、その場の雰囲気に自分が飲まれてしまったのか、それとも、
「放ってはおけない」
 という、
「自分がこれほど、慈悲深い人間だったのか?」
 ということになるのだろうということであった。
 治子にとって、自分というものが、
「いかに優柔不断なのか?」
 ということは感じていた。
 しかし、常軌を逸したようなことをすることはないと思っていたのだが、今回のことは、そんな、
「常軌を逸した」
 ということにならないのだろうか?
 それを考えると、その後、家に帰ってから、彼ともう一度面と向かった時に感じたこととが、結びついてくるわけだが、その時は、そんなことは、夢にも思わなかったのだ。
「常軌を逸する」
 というのが、どこからどこまでのことなのか、治子には分からなかった。
 それが、世間一般にいう、
「一般常識」
 というものとは、少しかけ離れていることは分かっていた。
 なぜなら、
「何を大切にすればいいのかということが、分かる範囲」
作品名:未来への警鐘 作家名:森本晃次