小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

未来への警鐘

INDEX|3ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

 その一つとして、
「街を、新たなオフィス街に生まれ変わらせよう」
 という計画があるのだ。
 というのも、元々街の中心部というのは、戦前くらいまでは、オフィス街というのが、ある程度当たり前だった。
 昔は、都心部の繁華街というと、飲み屋などの歓楽街か、あるいは、ショッピングをするといっても、一軒の大きな百貨店が一つあれば足りていたのだ。
 だから、都心部には、民家が残っていたり、オフィス街であったり、歓楽街というものが、乱立していたのだった。
 しかし、戦後復興により、サラリーマンなどは、皆、都心部に家を持つというよりも、郊外に家を買ったりして、
「通勤電車」
 であったり、
「通勤バス」
 というものが、充実してきたのだ。
 そういう意味での、インフラの整備も進んでいった。
 そして、戦後復興から先は、景気もどんどんよくなってきて、都心部や街でも、商業施設に、大いなる変化が生まれてくる。
「スーパー」
 のような、
「百貨店ほどの高級なものではなく、気軽に食料品や日用品が買えるというところが増えてきた」
 といってもいいだろう。
 それ以前は。
「街の雑貨屋」
 であったり、
「タバコ屋さんが、食料品を売っているというような、個人経営」
 の店が多かった。
 一つの店が単独経営だったのだが、スーパー経営のノウハウを持ったところが、どんどん進出してきて、街に根付いてくると、客は、そっちに流れるようになる。
 なぜなら、スーパーは、品ぞろえが多く、生鮮食料品でも、市場のようなところから、
「肉屋」
「魚屋」
 あるいは、
「果物屋」
 と言った、それぞれの店で買わなくとも、一軒のお店で賄うことができるからだった。
 それを思うと、
「なんと。便利な時代になった」
 といってもいいだろう。
 何と言っても、上にスーパーチェーンの親会社のようなものがあるわけで、そこでは、仕入も一括で、大量に行われるようになると、
「安く仕入れることができるので、お客様にも、安く提供ができる」
 ということで、それが、
「スーパー事業の強み」
 ということになるのだった。
 だから、毎日のように、大量の商品が、流通するということで、道路の整備や、物流事業の発展もあったのだった。
 そして、今度は、スーパーよりも、さらに便利な業種が現れてきた。
 それが、
「コンビニエンスストアー」
 と呼ばれるものだった。
 ここは、さらに店舗が狭く、正直、
「売れ筋商品」
 しか置いていない。
 しかし、営業時間が長いのが特徴で、以前のスーパーは、百貨店並みの、
「朝10時から、夜は6時半、遅くても、7時まで」
 という営業時間がほとんどだった。
 しかも、
「週に一度はお休み」
 であり、年末年始も、
「年末は昼過ぎくらいで閉店し、年始は、5日くらいから営業する」
 というのが当たり前。
 だから、子供たちは、元旦にお年玉をもらっても、使えるようになるには、お店が開く、5日か6日くらいまで待たなければいけなかったのだ。
 ただ、コンビニは、
「年中無休」
 さらに、営業時間は、当初では、朝7時から、夜の11時というのが、主流だったが、途中から、早い段階で、
「24時間営業」
 というのが、当たり前になった。
 だから、もし、お店が棚卸か何かで、営業をしていなかったら、客とすれば、
「閉店かな?」
 とまず頭をよぎるのは当たり前のようになるのだった。
 それを思うと、
「コンビニって、その名のごとく、便利なものだ」
 ということになるのだ。
 しかし、それも、今では当たり前の光景となったので、例の緊急事態宣言の際に、
「閉まっているコンビニがある」
 ということで、ものすごい違和感があったのを覚えている人もたくさんいるだろう。
 というのも、
「緊急遺体宣言が発令されているので、当店の営業時間は、午前7時から、午後11時まえとする」
 という貼り紙が掲げられ、普段なら、
「まだまだ夜はこれから」
 という、都会では、宵の口と言われるような時間に、コンビニが閉まるのだった。
 政府が要請しているコンビニは、休業にも、時短要請にも引っかかっていない。
 ということは、
「休業しようがしまいが、国からの補助はまったく出ない」
 ということになるのだ。
 当然、国から何も出ないということは、店自体、自主性に任されているということで、
「この店は、深夜開けていても、開けているだけ、赤字になる」
 というところは、積極的に、時短営業にするのは当たり前であろう。
 しかも、都心部には、コンビニが乱立している。だから、他の店舗を客を奪い合うことになり、片方が閉めると、
「開けているよりもマシ」
 ということになり、そちらが閉まっているので、他の店が、その分の客を引き受けるので、その分が儲かる。
 ということで成り立っているのであった。
 そんな店舗の構造によって、今の街は、それぞれの経験がうまく噛み合っているのかも知れない。
「街の状況をいかに店舗が掴み取って、共存をしていくか?」
 ということが問題なのだ。
 経営がうまくいっていると、それだけ、異業種であっても、それぞれの話し合いもうまくいくというもので、数回あった危機も乗り越えられた地域と乗り越えられないところがあり、
「うまく時代に乗れるところしか、続いていかない時代」
 というのがあったりした。
 それが、昭和が終わり、平成に入ってから少しして問題になってきた。

                 親友という存在

「バブル経済の崩壊」
 という問題があったのだった。
 バブル経済というのは、いわゆる、
「イケイケどんどん」
 と呼ばれる時代であり、
「経営を拡大すればするほど、儲かる」
 という言葉が信じられていて、いろいろな神話があったりした。
「銀行は絶対に潰れない」
 などというのもその一つで、バブルが弾けると、真っ先に危険となってきたのが、
「銀行を中心とする、金融業界」
 だったのだ。
 とにかく、お金や不動産をうまく運用することが、金儲けの基本だったのだ。
 だから、企業は挙って、新規事業に参入するのである。そして、参入すればするだけ、儲かっていく。受注はいくらでもあるからだった。
 そこに、インフラ整備がどんどんよくなっていき、
「人手不足」
 と言われるほどに、失業者があふれるようなことはなかった。
 だから、就活にしても、企業側は、内定を出した学生を手放さないように、入社前から、「一席設けたり」
 あるいは、
「研修」
 と称して、海外旅行に連れて行ってくれるというのが蔓延る時代だったのだ。
 そんな時代においても、会社は発展していく。
 そして、個人でも金融を運営している人がいて、
「株や土地で大儲け」
 をしていたのだ。
「土地ころがし」
 などという言葉が流行ったくらい、土地を右から左に動かすだけで、相当なお金が入ってくるというわけであった。
 そんな時代が、長く続くわけもないというのは、今だから分かることであり、誰もが、
「バブルの崩壊」
 などということを予測しただろう。
 した人がいたとしても、
「そんなバカな」
作品名:未来への警鐘 作家名:森本晃次