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「どちらかというと、国民に対しての、ごまかしに近い感じの部署を考えていた」
 しかし、設立メンバーとしては、
「公表を前提とした省庁」
 を目指していて、
 最初こそ、
「政府の付属省庁」
 という、他の省庁と同じ位置づけであったが、成立してくるにしたがって、
「ここから先が、我が政府の知らぬところとして、独立の構えをしていこう」
 と思うようになっていた。
 そのためには、
「国民の信任をうる必要がある」
 というわけで、大臣自ら、設立のプレス会議では、
「国民に開かれた部署を目指します」
 ということをいうと、さすがに政府高官や、他の省庁の人たちにとって、敵視されることになる。
 しかし、彼らはそれでよかった。
 いくら、
「国家というものが、国民に対して開かれない状況に達していた」
 ということを、暴露することになる。
 それはさすがに、国家としては容認できない。
「飼い犬に手を噛まれる」
 というのは、こういうことだ。
 と思っていたのだった。
 それでも、国家が、新省庁の成立を認めて、自ら率先して行動に出たのが政府だったことから、最初に支援して、
「国がバックについてくれている」
 ということを感じると、
「新省庁として、強いものはない」
 と言っているのだが、それも、国民を取り込むために、一種のお芝居だったと、
「思い込みたくはないが、思い込まないわけにはいかなかった」
 ということである。
 ただ、一つは、
「政府の敵となってしまった」
 ということは、後は国民を味方に付く形にしなければならない。
 実際に、新部署設立の際には、大手企業の社長や会長に支援をもらったり、そういう
「根回し」
 をしていたことで、設立当初、お決まりの方法でいくしかないのだった。
 ただ、政府が何と言おうとも、
「国家に認めさせれば、それに越したことはない」
 ということである。
 そういう意味で、今、新国が開発している薬で、その副作用の中に、
「惚れっぽい薬」
 というものが入っているということを知っているのであれば、
「これをいかに利用するということはできないだろうか?」
 と考えるのであった。
 この、
「惚れっぽい」
 というのが、果たしてどういう効果なのか?
「異性を単純に好きになる」
 というだけでは、わざわざ開発することはなく。これが、人間の中の一番表にある感情なのだが、意外と見つけにくいということになると、余計に気になってくるものだ。
 新国の方は、元々、
「惚れっぽい性格というものが、自分が覚醒していないのに、感じられるというのがどういうことなのか?」
 と感じるのだった。
「惚れっぽい」
 という効果とすれば、異性はもちろんのこと、同性にも言えることであり、そうなると、国民の中にある、
「性的気分の発想が、初めて自分たちだけで考えられるから」
 というのが、その理由だった、
 ただ、日本であれば、同性愛というものは、タブーされたりしている。
 特に戦後の混乱から、
「同であれば、どう言えばいいのか?」
 ということであるが、元々日本は戦国時代などでは、
「同性愛者ばかりだったという。
  なぜなら、
「いくさに明け暮れていると、どうしても、男しかいないからだ」
 と言えるのだろう、
 もっとも、それは、武士の中でも領主に近いかたちであり、
「女性を好きだ」
 という方が珍しいのか、だが、
「子孫を残して、家を存続させる」
 という運命があるので、
「側室もたくさん設けて、子供をたくさん授からせてもらう」
 というのも、大事な役目だった。
 しかも、
「後継者問題」
 というと、権力者に世継ぎが産まれなかったりすると、家が改易ということになったりして、
「権力を持った母親」
 というのが歴史の表部会に出ることで、
「乱」
 というものが起こるだろう。
 特に、
「持統天皇」
「日野富子」
「淀君」
 などというのは、世継ぎ問題からの、謀殺事件であったり、戦乱の火だねであったり、するのであった。
「そんな世の中がいかに、繰り返されてきたのか?」
 ということが分かると、
「世の中は、一筋縄ではいかない」
 と言えるのではないだろうか?
 それを思うと、今抱える、
「少子高齢化」
 というのは、家を支えるという理屈の、
「反面教師的」
 なところがあるのではないだろうか。

                 少子高齢化問題

 惚れっぽいという薬という言い方をすれば聞こえはいいが、早い話が、
「精力増強剤」
 と言ってもいい。
 普通に精力増強剤というのは、市販として、普通に薬局に売っているが、それは、ほとんどの場合、
「セックスをするその場で効いていればいい」
 というようなものである。
 なるほど、確かに、
「セックスする時だけ効いていればいい」
 というのは当たり前だ。
 それ以外の時も、悶々としていると、他のことが手につかなくなったりするではないか。それを思うと、精力増強剤というものの効き目は、実に、
「理に適っている」
 と言っても過言ではないだろう。
 それを考えると、惚れっぽい薬というのが、普通の勢力増強剤とは違うような気がしてくるのだった。
 それを、研究員に聞いてみると、
「これは、セックスに特化しているわけじゃなくて、自分が気になる女性がいると、その人を本当に好きになった気になるんですよ。これは相手が男性である場合の女性に言えることですね?」
 というので、
「じゃあ、同性同士の場合は?」
 と聞かれたので、
「それは別です。あくまでも、この問題は、子供が生まれるということを大前提にして考えていることですね」
 というのであった。
「じゃあ、これは社会問題としてある。少子高齢化に対しての問題解決の一環ということですか?」
 と言われたので、
「ええ、ただこの問題はここだけではないですからね。というのも、この問題は、、あくまでも、精力増強というだけで、子供が生まれてからの問題とは、まったく関係のないところですからね」
 ということであった。
「そうですよね。今の少子高齢化というのは、そこが問題ですよね? 子供を産んでも、育てていくだけの環境が整っていない。待機児童などの問題も、結構大変だったりしますよね?」
 というと、
「そうですよ、そして、最近であれば、子供預かる保育園なども、ありえないような事件を起こしたりするじゃないですか。しかも、その信じられないような事件が起きてから1年もしないうちに、他で起きるとかですね。普通なら気を付けようと思うはずなのにですね」
「それはそうですよ。それは、幼稚園バスに気付かず放置され、脱水状態で児童が死んでしまったという事件ですよね?」
「ええ、そうです」
 幼稚園バスというのは、基本的に、幼稚園が、子供の送り迎えに使っているマイクロバスで、運転手と、もう一人先生が同乗しているものなので、普通なら見逃すはずはない。
 いつもバスに乗る児童は決まっているはずだ。
 どんなに多くても、数十人がいいところだろう。いくら何でも毎日見ていれば、生徒の一人の姿が見えなかったとしても、それが誰なのかということもすぐに分かるはずである。
作品名:禁断のライセンス 作家名:森本晃次