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禁断のライセンス

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「日本の法律は、被害者に対しての救済であったり、加害者家族などへのフォローなどが、最低なのではないか?」
 ということを聴いたことがあった、
 それは、
「中途半端だ」
 ということを言いたいのではないかと思えるのだった。
 そういう意味でも、
「厳罰に処さなければいけないところは、見せしめという意味も込めて、甘くしてはいけないのではないか?」
 ということである。
 だから、
「犯罪はなくならない」
 ということなのかも知れないし、処罰を厳しくして犯罪がなくなるのであれば、これ以上、処罰をする人が増え続けないということのメリットを考えても、それが正解なのではないかと思うのだ。
 それが、犯罪をいかに考えるかということになるのだろう。
 そんな時代背景においてだったが、元々、この薬が開発されたのは、
「某国の傀儡国家」
 によってつくられたわけだから、その国家には日本とは、事情において、関係のないところであった。
 だから、
「惚れっぽい」
 などという副作用もまったく意識をしていなかったのだ。
 元々は、
「精神安定剤」
 のようなものであり、副作用があるとすれば、
「睡眠促進の激しさ」
 ということだったのだ。
 だから、それを知らなかったのは、元々開発した、傀儡国家だったのだ。
 彼らは、某国による注文で、この薬を製造し、そして、
「某国の儲け」
 となるために、日本にこの薬を売りつけた。
 さらに、某国からの圧力があり、某国との契約として、
「ライセンス契約」
 結ばされ、多大な費用を国家予算から捻出され、払うことになる。
 そもそも、
「薬品開発」
 あるいは、
「ライセンス契約」
 に特化した新しい省庁を作ったというのも、このライセンス契約を行うだけの予算が、厚生労働省の予算だけでは賄えないことが一番の理由だったのだ。
 だから、新しい省庁には、ライセンス契約を結ぶことになる、いろいろなもの、
「医薬品」
 を始めとして、
「兵器」
 に至るまで、一手に引き受けることになるのだった。
 そのため、ライセンス契約をした国の技術を習得しなければいけない。
「ライセンス契約のほとんどは、某国であり、某国の属国である傀儡国家に、日本から技師や博士、そして、開発責任者を派遣し、ガチで、製作に関してのノウハウを学んでくることになる」
 というわけだ。
 それだけ精巧なものを作らないと、国家予算の無駄遣いだとばかりに、国家も大変なことになってしまう。
 ライセンス契約のノウハウは、想像以上に教えてくれた。
「さすが、ライセンス契約の高い金を払っているというものだ」
 というのが、政府の考えだったが、新省庁とすれば、少し考え方が違っていた。
「ライセンス契約を結んで、技術を余すことなく教えてもらっているのだから、そこから先は何があっても、ライセンスを取得している国も問題で、元々を開発した国にとって、何ら問題が発生するわけではない」
 ということである。
 それを考えると、
「なるほど、緊張感がみなぎるというものだ」
 というポジティブな考え方もあるが、それ以上に、
「完全に、責任を押し付けられることになるので、ただの緊張感では済まないというものだ」
 というネガティブな考えにもなることだろう。
 そういう意味で、兵器はもちろん、医薬品などは、本当に開発が難しい。
 特に医薬品は、副作用などの問題がある。だから、問題が大きくなるのだった。
 それを思うと、
「薬品の効果というのは、想像していないものだったりして、それが、毒にもなったりすると、こんなに厄介なことはない」
 薬害訴訟などということも頭にいれなければならない。その時に、
「これはライセンス契約だから、元は自分たちで作ったのではない」
 と言っても、通用するわけはない。
「それだけに、わが国でも、設計書通りに作ったとして、それがキチンと機能するかどうかの臨床実験くらいは、やっていてしかるべきだ」
 と言われるに決まっている。
 しかし、その臨床実験についても、提供国が、そのノウハウを教えてくれるわけではなかった。
「これは、我々が、開発工程の中で、試行錯誤を繰り返して作り上げたノウハウなので、簡単に教えるわけにはいかない」
 ということだったのだ。
 それはそうだろう。
 科学者や研究者の端くれと呼ばれる人は、それくらいのことは当然に分かっている。
「ライセンス契約において、開発技術の伝授は、当然のごとく必須である」
 ということは書かれている。
 そんな当たり前のことを、いまさらながらに、考える必要などないのだろうが、
「ライセンス契約というのは、想像以上にややこしい」
 ということを、開発国も、供与国も分かっているといってもいいだろう。
 分かっていないのは、政府の連中であり、某国の方でも、開発国から、同じことを思われていて、供与される新省庁の方は、
「そんなことは最初から分かっている」
 とばかりに、政府高官に対して、イライラが募っていることだろう。
「元々、俺たちだって、政府の中にいたんだからな」
 という。
 彼らは今でも、政府の中ではあるのだが、他の省庁と違って、
「その独立性はハンパない」
 と言っても過言ではないだろう。
 つまりは、
「彼らは、政府の中にあって、一番民間に近い」
 と言ってもいい。
 もちろん、公務員であり、税金で生活はしているが、その金が、普通の基本給でしかなく、実績を上げないと、給料は上がることはない。
 それだけ、
「ライセンス料」
 というものは高く、給料が安いくせに、気を遣わなければいけないところが多いので、そういう意味でも、
「わりに合わない仕事だ」
 ということになる。
 だから、この部署は、
「政府の中でも、島流しに合う場所で、窓際部署と言ってもいいのではないか?」
 というウワサが飛び交っている。
 つまり、
「政府は、そういう連中を押し込めるために、この部署を作った」
 というウワサが流れるまでになっていた。
 そのウワサは、
「半分ウソで、半分本当だ」
 確かに、窓際族候補の人が、この部署に転属させられているのも事実であるが、それでも、実際は、
「この人がほしい」
 と人事が政府に要請し、転属になった人だ、
 政府とすれば、
「うまい厄介払いができた」
 と思ってるのだろうが、この部署は、これまでにない部署で、ある意味、マンネリ化などはしていない。
 窓際になるのは、毎日同じような仕事、しかも、かつての大昔から続いていて、まったく変わったことのない実に詰まらない仕事をしてきた人には、
「新しい風」
 というものを吹き込んでくれるこの部署は、まるで、
「水を得た魚だ」
 と言ってもいいだろう。
「我が国に限らず、政府というのは、大なり小なり、理不尽なことを抱えていて、矛盾に悩まされるものだが、わが国の場合は、さらにひどい。なぜなら、平和憲法に守られて、平和ボケをしているからではないだろうか? 平和憲法が悪いわけではないが、有事の際に動けないという状態に陥った時、どうすればいいかが問題なのだ」
 ということであった。
 平和憲法の存在のせいで、日本国では、
作品名:禁断のライセンス 作家名:森本晃次