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神のみぞ知る

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 という人が、後を絶たないという、地獄のような時期が次第にせまってきていたのだ。
 そんな時代が実際に起こってくると、さすがに、再度、緊急事態宣言をしないといけない状況になり、そのせいで世の中がまとまらなくなってくるのも事実だった。
 政府が打つ政策は、実にひどいもので、
「本来なら、国民の命を最優先に考えなければいけないものを、口では、国民の命を最優先と言っておきながら、結局は、自分たちの利権を最優先にするのだから、政府の言っていることに、手放しで賛成などできるはずもない」
 ということであった。
 特にオリンピックがあった年などは、国民のほとんどが、
「反対」
 と言っているのに、政府の方は、
「大丈夫だ」
 という、
「言葉に何の重みも根拠もないそんな状態」
 において、政府の言っていることのどこに、信憑性があるというのか、考えなければいけないところであろう。
 さすがに、そんな政府は、時期総裁選に、党内で指示を得られず、出馬すらできなかったということになるのだ。
 と言って、総裁になった男が、さらに輪をかけてひどい政策ばかりを打ち出しているので、
「まだ、前のソーリの方がよかったのではないか?」
 と言われるが、
「その通りだ」
 ということなのかも知れない。
「こんな時代において、国家をいかに建て直すか?」
 ということであろうが、政府云々というよりも、世界情勢がそれどころではなくなったので、下手をすれば、
「ソーリなど、誰がなっても、結局は一緒だ」
 ということになるのかも知れない。
 それを思うと、
「本当は、とにかく今困っている人をいかに救うか?」
 ということなのだろうが、政府は、結局、人気取りしか考えていないので、結果、
「誰を助けるべきなのか?」
 ということを、政府が分かっていないということにしかならないのだろう。
 そんな時代なので、国や政府も救ってはくれない。
「だからこそ、自分のことは自分で救うべく、犯罪が起こる」
 ということなのであろう。
 特に、
「緊急事態宣言中」
 というものは、何もできない。
 店を開けることもできないので、飲み屋などが集まっているあたりの、歓楽街は、夜になると、閑散としている。
 しかも、雑居ビルが乱立する中に、数軒の飲み屋があるのだから、警備体制も、中途半端だったりする。
 そのため、緊急事態宣言中の閑散としたところには、空き巣が忍び込み放題という状況になったりする。
 ただ、お金は店主が持ち帰っていて、誰もいないところに置いておいたりはしないだろうが、そんなことはわかっていても、それでも。お金が欲しくて忍び込むということであろう。
 それだけ、世の中は物騒であり、少しでも、お金がほしいという人が、切羽詰まった状態で忍び込むということになるのであろう。
 さすがに、二年も三年も、こんな状態が続いていると、どんどん、お店は潰れていく。従業員も皆路頭に迷ってしまい、犯罪に手を伸ばす人も増えてくるだろう。
 今回、ここに、四人の男がいるが、彼らは、実際にそんなに仲がいい間柄というわけではない。
 SNSの中で、
「失業して困っている人向けの掲示板」
 のようなものが開設されていたが、そこで知り合った人たちだという。
 つまりは、このパンデミック禍において、それぞれに困っている者同士が、話をしているうちにできた仲間だということだ。
 その中で、本当に困っているという人もいて、
「もう、強盗でも何でもやらないと、どうしようもない」
 という人がいた。
 話を聴いていると、
「確かに、強盗でも何でもやらないと、自分の身が危ない」
 と言えるほどの人で、それを聴いた皆も、それぞれに、切羽詰まったところがあるのだった。
 そうなると、
「このまま、放っておいても、いい方に向いてくるということはない」
 ということで、一番困っている男。
「真田」
 というのだが、この男が言い出したこととして、
「強盗を企んでいる」
 ということであった。
 その計画は、すでに真田にはできあがっていて、後は、参加人数によって、どのような計画で行くかということを、再確認すればいいところまで来ていたのだった。
 実際の計画を真田が立てたわけだが、他の三人も、その計画に、何ら怪しむところはなく、
「なるほど、よく考えられた計画だ」
 ということだったのだ。
 四人は、計画通りに手筈を整え、犯行を犯して、潜伏の場所に異を寄せるところまではできていた。
 その場所というのが、
「警察も想像できないような田舎」
 と言ってもいいだろう。
 四人の犯行後の逃走計画も、うまくできていて、順次、計画通りに進んでいたので、うまく潜伏するところまで来ることができたのだった。
 男たちの計画通り、金を奪い、潜伏できた。まずは、
「ほとぼりが冷めるまで、見つかることなく潜伏する」
 ということだったのだ。

                 犯罪理論

 彼らは、犯行を4人で計画していた。
 いくつか理由があるのだが、
「見張りに一人は必要ということで、4人以上というのは最低ライン」
「あまりたくさんだと、脚がつきやすい
「車一台に乗れるだけの人数」
 などということを考えていくと、結局、4人という人数が、一番多くもなく、少なくもない、ちょうどいい人数ではないか?
 それを考えると、結局は、この4人での犯行ということになったのだ。
 一人が、主犯格である、
「真田」
 であった。
 真田は、ここで、どうしてもお金を作っておかなければ、
「自分が、殺されかねない」
 ということになっていた。
 真田は会社を経営していて、
「このままでは、会社を手放すことになってしまう」
 ということで、
「借りてはいけないところから借りてしまった」
 ということで、返済日もすぎて。いよいよ追い詰められていたのだった。
 次に仲間入りしたのが、
「北条」
 と呼ばれる男であった。
 彼は、普通にサラリーマンをしていたのだが、彼も、今回のパンデミックの煽りから、会社が経営不振のため、解雇に近い形で辞めなければいけなかった。
 さらに、彼は、読書が趣味で、特に、SF小説というものが好きだったようである。特に、未来に目を向けた、そういう小説だったのだ。
 そして、三番目に加わったのが、頼光という男で、お互いに、共犯とはいえ、そこまで親しくないことで、それぞれの本名ではないだろう名前で呼び合っていた。
 この頼光だけは、苗字というわけではなく、
「昔、大江山の伝説に出てきた、
「源頼光」
 が好きなので、その名前にあやかっている」
 ということだったのだ。
 彼がこの一派に加わったのは、それだけ、頼光という男が、何にでも興味深げに感じているところからであったが、普通なら、いくら切羽詰まっているとはいえ、罪悪感なるものに抑圧されるかということであるが、頼光に関しては、勘の鋭さというものが、彼の中で幸いもするし、禍にもなるのだろうと考えるのであった。
 そしてもう一人、この計画には、
「一番似つかわしくない」
 といってもいい、沖田という男が最後に加わった。
「何が似つかわしくないのか?」
作品名:神のみぞ知る 作家名:森本晃次