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二重人格の正体

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 バブル経済が崩壊すると、今までのように、
「収入が増えるから、会社が儲かって仕方がない」
 ということが限界を迎える。
 今までに拡大させた事業はどんどん辞めるようにして、事業を昔の規模にする。要するに、
「収入が減ることよりも、経費を節減することで、赤を少しでも減らす」
 という方法しかなくなってくる。
 事業を縮小することで、人件費が減ってくる。そして、事務所の使わない電気を一切つけないようにしたりするために、残業もしないように、さらに少しでも行う場合は、
「部屋の他の電機は消すようにする」
 ということであるが、それは今でも当たり前のことのように行われているが、始まったのは、この
「バブル崩壊」
 の時期だったのだ。
 この頃から、いわゆる、
「リストラ」
 といわれる、人員整理を免れた社員は、残業をすることもないので、それまでの残業手当などを貯蓄などに回していた人は、そのお金を資金にして、
「サブカルチャー」
 というものを行う人が増えてきた。
 中には早く帰るようになると、帰り道に、
「飲み屋による」
 という人もいるだろうが、せっかくだから、
「サブカルチャーを楽しみたい」
 という人が増えてきたのだ。
「何かの趣味に時間とお金を使う」
 ということで、サブカルチャーの教室などが、当時のサラリーマンのトレンドのようになった時代があった。
 昔であれば、
「市町村が細々とやっている、生涯学習教室のようなもので、趣味を行うための基礎を教えてくれるという」
 そんなものだったのだ。
 その中には、スポーツジムのようなものが一番の人気ではなかったか。少々値段は張るかも知れないが、健康になれて、自分で勝手に器具を使うことができる。これは、結構人気があった。
 それ以外に、文化的なこととして、絵画や音楽、ポエムを書くための知識であったり、小説執筆の入門というのもあった。
 そのおかげで、文化的なコンクールも結構増え、素人の俄か芸術家が増えてきたものだった。
 そんなサブカルチャーの業界がシェアを伸ばしてくると、文化的なサブカルチャーの教室などが増えてきて、中には、そういう俄か作家などが、プロに近づくためというような、新たな業種が出てきたりした。
 例えば、
「自費出版社系の会社」
 などがそうであった。
「作家になりたいと思っている人に作品を送らせて、評価を行い、その出来によって、いくつかの出版方法を提案する」
 というものであった、
 普通それまで作家になるには、
「有名出版社主催お新人賞に応募して入選する」
 あるいは、
「直接、出版社に持ち込み、編集者に読んでもらう」
 というくらいの方法しかなかった。
 しかし、後者になると、まず、素人が勝手に持ち込んできたものを見るなどありえない。毎日何十人と持ち込んでくるのだ、いちいち見ていれば、それこそ、それだけで一日が終わってしまう。
 まず素人の小説が読まれることはない。
 しかし、自費出版社系の出版社の人は、それを読んでくれた上に、批評をして返してくれるのだ。それも、しっかりと読み込んだことが分かるように、欠点もしっかりと指摘してくれるのだった。
 それも、最初は欠点から書いてあり、
「それを踏まえても、長所は補って余りある」
 という形で、書かれてるのを見ると、さらに長所を引き立ててくれているようで、ありがたいと思うのだ。
 このことが、特に、自分のことをよく書いてくれているようで、どうしても安心して、信頼を得るに十分な書き方が実に巧妙だと思えるのだ。
 だから、一緒に入っている見積もりも、真剣に考えるのだろうが、値段を見ると、なかなか一介のサラリーマンなどには、簡単に手が出せないだけのものだったりする。それを思うと、
「少々くらいの借金なら」
 と思い、一念発起で本を出版しようと考えるのだ。
 だが、実際にはそんなに甘いものではなく、ほとんどの人が、
「出版物が、本屋に置かれたりすると、誰かに見てもらえる」
 という考えになるのだろうが、冷静に考えて、無名の、いくら最近話題になっているとはいえ、実績のない出版社の本を、有名書店が置くわけがない。
 どんなに有名書店で、有名作家のものであっても、売れ行きが芳しくなければ、すぐに返品されてくる運命にあるのだ。
 さらに、
「本を出したい」
 という人が増えて、飽和状態になっているのだから、どれほど、たくさんのライバルがいるかということも分かり切っているといってもいいだろう。
 そんな状態の中で、有名になるための誰かに見てもらえるなど、そもそも、本屋に並ぶことなどありえないと考えれば、本を出すとしても、それは記念に出すという程度で、それであれば、昔からの自費出版の方が、よほどマシだといってもいいのではないだろうか?
 それを思うと、これら、
「自費出版社系の出版社が、詐欺だということになる」
 ということが、分かってくることであろう。
 ちょうどその頃からくらいだろうか? それまでは、社員の人がやっていた仕事を、次第に、パートやバイト、さらには、派遣社員なるものが行うようになってきた。
 派遣社員などは、責任の薄い、あるいはないところでの仕事を請け負う形で仕事をするので、賃金も比較的安く、しかも、3カ月に一度の契約更新をしなければいいというだけで、簡単に人員削減もできるということで、重宝されていた。
 ただ、非正規雇用と呼ばれる、派遣社員、パート、アルバイトなどは、あくまでも、
「時間から時間」
 となるので、もし、残った仕事があれば、それは社員が引き受けることになる。
 自分の仕事もありの、派遣社員などの残った仕事もこなさなければならず、仕事量はいつの間にか、3割増しくらいになってしまい、残業を余儀なくされるということもあるだろう。
 しかし、実質的に残業をしても、手当てが出ないという会社も多いようで、結果、正社員にそのツケがまわってくるということで、正社員が結局残業してでも終わらせなくてはならず。しかも、手当てが出ないという、状態にストレスや疲れがたまりまくるという形になってきたのだ。
 ただ、最近では、コンプライアンスの問題から、
「ブラック企業」
 というものがクローズアップされてきて、無理な残業などはさせてはいけないというような風潮にもなってきているので、幾分かは、緩和されてきているだろうが、実際には、問題となっている場合も多いに違いないのだった。
 だから、ブラック企業関係にはなかなか人が集まらないということが多かったりする。そのために、警察などの職業は、人手不足だったりしているようだ。
 よく考えれば、交番なども、昔はあれだけ、交差点に一つはあったようなところもあったが、最近では、いくつかの町内に一つくらいで、しかも、パトロールにでも出ていれば、交番自体が留守になることが多く、パトロールも、
「まともに、できているのだろうか?」
 ということを考えさせられることになるというものだ。
 そんなことを考えると、今の町内などでの、
「おかしな輩」
 というものに対して、うまく対応できるかということも難しいようだ。
作品名:二重人格の正体 作家名:森本晃次