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無限ループ

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「側室」
 と、
「都合のいい女」
 というのは、まったく違う性質のものであろうが、
「都合のいい女」
 という側から見れば、
「側室と、同じ立場ではないか?」
 と考えたとしても無理もないことではないだろうか?
 もっとも、時代が、封建制度を中心とした中世と、今の民主主義を中心とした現代とでは考え方もまったく違う。
 一概には比較はできないが、まったく別のものという考えもできないのではないかと思うのだ。
 自分のことを、
「都合のいい女」
 になったことがあるというのを自覚しているあいりだったが、その時というのは、相手の男が、正直言って、
「クズだった」
 ということである。
「典型的な、クズ男と、都合のいい女」
 ということのパターンであり、結果として、最後には、
「本命の彼女」
 のところに行くので、彼女は捨てられたことになる。
 ただ、この男はクズというだけのこともあって、
「本命の彼女に気を遣ったりするわけではなかった」
 ということで、もっといえば、
「本命の彼女も、クズだ」
 ということで、結局は、
「バカップルのために利用された」
 ということであった。
 そうと分かれば、かなりショックは大きかったが、逆に冷めてくると。
「あんな男の本命にならなくてよかった」
 ということになる。
 本命になるということは、
「バカではいられない」
 という思いがあいりにはあった。
 つまり、
「都合のいい女」
 というのは、嫌ではないが、
「バカな男に引っかかった」
 と言われるのは、嫌だったのだ。
 それが、彼女の、
「プライド」
 というものであり、
「バカな男に引っかかった」
 ことよりも、
「都合のいい女」
 の方が何倍もいい。
 その理由とすれば、
「すべて、自分の意思で行っていることなので、後悔をすることはない」
 ということだったのだ。
 あいりは、それでも、何度も、
「都合のいい女を繰り返した」
 確かに、何度も続くと、溜まったものではないが、
「バカな女になりかかっている自分というもの」
 それが情けなかったのだ。
「都合のいい女」
 というものを、演出しようとしている人もいる。
 そんな話を聴いたことがあるが、どういうことなのだろうか?
「相手を油断させて、あざとさを後から出していこうというのか」
 正直、あいりには分からなかった。
 だが、あいりには、
「都合のいい女というのを演出しようとしているオンナを見分けることができる」
 と思っている。
「同じ血が流れているからではないか?」
 と感じるからなのだが、実際には、相手は、演出をしようと考えているのだし、こっちは、普通にしていて、勝手に都合よくなっているというだけではないか?
 ただ、そう考えると、
「自覚していないだけで、私にも、そんなあざとさがあるのだろうか?」
 と感じることであった。
 確かに、
「あざとさのない女などいないだろう」
 ともいえるのではないかと思うのだが、それは、
「バカな女になりたくない」
 という思いがあるからだろうか。
「情けない」
 ということを感じたくない。
 この思いが強いのではないだろうか?
 そんな時、あいりは、別の男性と知り合った。
 その人は、あいりが、
「都合のいい女」
 となっているのを知っていたのだ。
 というのも、この男性は、あいりのことを都合よく使っている人の知り合いであり、その関係がなければ、知り合うことはなかった。
 そういう意味では、
「知り合うべくして知り合った仲だ」
 といってもいいのかも知れない。
 彼は、どうやら、あいりのことを好きになりかかっているようだ。あいりは、今までに自分のことを好きになってくれたと思う人は分かっているつもりだった。
 そして、そのほとんどの男性は、あいりのことを好きになることに、一縷の戸惑いもなかったように思う。
「好きになったら、猪突猛進」
 というのが、当たり前のように感じられるのだ。
 それだけ、他の男性は、あいりに苛立ちのようなものを覚えていたようだ。
 というのも、
「彼女は、いつも秘密主義で、他に付き合っている人がいるに違いない」
 と思っているようだった。
 あいりは、自分がモテるなどと思っていない。
「都合のいい女」
 として扱われている自分が、まさか、こんなに男性から好かれるとは思ってもいなかった。
 ひょっとすると、
「都合のいい女性」
 としての佇まいが、まるで甘い蜜のように、男性を引き付けるのかも知れない。
 ただ、あいり自身は、そんな自分に寄ってくる男性の、
「都合のいい女には絶対にならない」
 と、心に決めていた。
 ということは、自分から
「都合のいい女」
 になろうとした相手は、
「決して自分に靡かないそんな男を靡かせるんだ」
 という思いから来ているのではないか?
 と感じるのだった。
 自分によってくる男性には、ヤキモキさせ、自分は、寄って来ようとはしない男性の、まるで言いなりだ。
「他の男がまるで、ピエロのようだ」
 まさしく、その通りではないか?

                 一緒にいること

 あいりは、
「都合のいい女」
 というものになった一番の理由は、
「いつもそばにいてくれる男性」
 に憧れていたからだった。
 自分を都合よく扱う男は、他のことは別にして、
「いつも一緒にいる」
 ということだけは、守ってくれた。
 あいりは、今25歳なのだが、今までに何人かできた彼氏は、いつも一緒にいるというような相手ではなかった。
「彼女といるよりも、男友達と一緒にいる方が楽しい」
 と思っている男だったり、
「絶えず、女性の影が見え隠れする」
 というような、男性ばかりだった。
 二十歳前のあいりは、完全に、イケメンしか、男は眼中にないタイプだった。
「相手はビジュアル的にいい男ではないと、ガマできない」
 というようなタイプで、どこか、ミーハーなところがあったのだ。
 きっと、それは友達の影響が大きかっただろう。
 男性のタイプにも、自主性のようなものがなく、
「好きだと思う人は、まるで、イケメンの標本のような男性ばかり」
 だといってもいいだろう。
 だから、下手をすれば、
「誰もが好きだ」
 と思うようなタイプを好きになり、自分の好き嫌いというよりも、自分の目が間違っていなかったということを模索しているかのようであった。
 だから、彼女は、
「ミーハーと言われれば喜ぶ」
 のであった。
 あいりという女は、
「ミーハーだったり、自分が好きな男性を皆が好きになるということに喜びを感じるということであるが、安心したいだけではないだろうか?」
 と、あいりのまわりにいる人は、そう分析する。
 あいりという女は、まわりから見ていて、
「分かりやすい女だ」
 ということであった。
 その安心を手に入れるために、
「人と同じということ」
 が、その前提だった。
「分かりやすい女だ」
 と言われることも、嫌いではなかった。
 普通なら、
「ディスられている」
 と言ってもいいはずなのに、実際には、皮肉だと思ってもいないようだ。
作品名:無限ループ 作家名:森本晃次