小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

悪い菌

INDEX|19ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

 という考え方であれば、そちらにもう一人の自分が存在するのは当たり前のことであり、
「同一時間に、同一次元で、違う世界」
 という考え方だといってもいいだろう。
 そういう意味では、
「異次元世界の創造」
 を考えるよりも、よほど、理屈に合っているといえるのではないだろうか?
 ただ、ドッペルゲンガーというのは、このパラレルワールドに存在している自分だといってもいいのかという問題があった。
 まだ、異次元であれば、同じ人間が存在したとしても、理屈としては合うと考えられても、同一次元の同一時間ということであれば、いくら空間が違うといっても、その考え方は、無理がある。
 つまり、そもそも、パラレルワールドという考え方に無理があるといえよう。
 確かに、
「タイムパラドックス」
 という問題に対しての解決法だといっても、本当にそれでいいのだろうか?
 都合のいい考え方に対して、さらにその解決法を、都合よく考えていけば、
「負のスパイラル」
 に入り込んでしまうのではないだろうか?
 それを考えると、パラレルワールドという考え方が、どこまで信憑性のあるものかということになるのだ。
 一つ言えることとして、
「パラレルワールド」
 という世界は、
「本当に一つしかないのか?」
 ということである。
 存在する世界というのは、
「可能性の数だけある」
 という考え方になると、
「マルチバース理論」
 のようなものが出てくる。
 そう、
「無限に限りなく近い世界」
 と言えるのではないだろうか?

                 大団円

 桃子は、自分が夢を見ていることを分かっている。そして、自分の体調が悪いということもである。
 そんな状態の中で、夢の続きが読めていないのではないかということにも気づいてくるのだった。
 夢を見ながら、時系列で夢が続いていくことで、
「こっちの方が現実なのではないか?」
 と思ったとたん、目が覚めてしまう。
「ハッ、夢だったんだ」
 と夢だったことに気づかされる。
 しかし、あまりにもリアルだったことを感じ、
「もう一度続きを見たい」
 と思うのか、普段であれば、
「夢の続きなど、見ることはできない」
 と、理解しているので、どうせ見れないと感じながら、そのまま、一度目を覚ますことが多かった。
 そうなると、再度寝付くまでに、少し時間が掛かってくる。
 それでも、根ついてしまうと、続きどころか、夢を見たという意識がないまま、次の睡眠からの目覚めを感じるのだった。
 しかし、今回のように体調の悪い時というのは、何度もこまめに目を覚ますことが多い。目を覚ましてから、意識がしっかりしてくるのを感じるのだが、実際には、目が覚めているわけではない。
「目を覚ましたという夢でも見ているのだろうか?」
 と、思わず笑いたくなるような状況で、どうやら、またそのまま眠ってしまうようなのだ。
 そう思うと、やはり、
「夢は続きを見ているのだろうか?」
 と、感じるのだ。
 続きを見ることで、
「やはり、一度も夢から覚めたわけではない。目を覚ましたという夢の中で夢を見ていただけなんだ」
 と感じるのだった。
 ただ、一度は目を覚ましているようなのだ。完全に目が覚めているわけではないのだが、覚めたような気がする。錯覚と言ってしまえばそれまでなのだが、普段はない睡魔が襲ってくることで、
「これも、何かの菌の影響なのだろうか?」
 と感じるのだ。
 しかも、その菌というのは、表から侵入してきたものではない。なぜなら、体調の悪い時、ほぼ同じパターンだからだ。
 つまりは、
「このパターンになるように持っている力が、自分の中に備わっている」
 と言ってもいいだろう。
 もし、外部からの菌によって引き起こされることであれば、こんなに見事に毎回同じパターンということはないだろう。
 しかし、毎回、判で押したような同じパターンということは、
「自分の身体の中にある抗体、あるいは、菌というものを、周りから侵入した対外的な菌と戦うために、身体の中に持っているものである」
 と考えられる。
 いや、むしろこの考え方は、普通に考えられることであった。認識としては、自分だけではなく、他の人も皆同じように感じていることであり、
「いまさら感」
 というものが漂っているといってもいいだろう。
 それを思うと、もう一つ考えられることとして、
「ただ、今回は、何か原因があって、体調を壊したのではないか?」
 と感じていた。
 ショッキングなことがあって、それが思考停止を招き、頭だけで理解できなくなってしまったことで、体調を崩した。
「私にはよくあることだ」
 と、桃子は感じていた。
 そして、そんな精神的なショックによって、体調を崩した時というのは、いつも難しいことを考えて、理屈に合わないような発想を抱いてしまっている。
 それを思うと、何がショックなのか、いまさらながらに、思い出してみようと思った。
「そうだ、3年付き合っている彼から、別れを告げられたんだったわ」
 と、ショックの原因を思い出すと、一瞬まだ、体調が悪くなるのを感じたが、本当に一瞬だけのことだった。
 付き合っていた男性とは、最近少し倦怠期に入ってきたことを感じていた。そして。急に彼を他人事のように思ってしまっている自分に気づいた。
 それは、きっと、自分のショックを和らげるという意識が強かったのではないだろうか?
「何か、あの人に秘密があるような気がする」
 と思ってしまうと、その思いを覆すには、確固たる理由がなければ、難しいところであろう。
 そして、その秘密というのが、
「彼に、誰か他に好きな女性ができた」
 という思いであった。
 これに関しては、本人に確かめなければいけないことで、しかも、相手が本当のことをいうとは限らない。
 相手がいったことを、正確にジャッジする力がなければ、難しいことになるといっても過言ではないだろう。
 だから、余計に自分の中で、どうしていいのか分からなくなり、そんな中、身体と心を蝕むという、
「菌の侵入」
 を、許してしまうことになるのだ。
 精神的につらい時ほど、
「菌の侵入を許してしまうのだろう」
 と考えた桃子は、甘んじて受け入れた菌を、自分の身体の菌や抗体で、やっつけるしかない。そう、いわゆる、
「籠城戦」
 と言ってもいいだろう。
「侵入してくる敵を、城の中で待ち構えていて、固い防備の中、相手をせん滅する」
 ということに賭けるのだ。
 そもそも、籠城戦の場合、
「攻城側は、籠城側の3倍の兵力が必要だ」
 と言われる。
 それだけ、兵力という意味では、籠城側が圧倒的に有利だ・
 しかし、何と言っても、まわりを囲まれて、
「ネズミ一匹抜け出せない」
 という状態に追い込まれてしまっては、補給というのは、望めないといってもいいだろう。
 ということは、何とか持ちこたえ、さらには援軍を待ちながら、相手が攻めてくれば、最大限の被害を与えることで、相手に。
「これ以上の攻撃を続けることは、こちらも悪戯に、兵を失うことだ」
作品名:悪い菌 作家名:森本晃次