小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

悪い菌

INDEX|17ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

「世界的なパンデミック」
 と呼ばれるウイルスは、何度となく変異を繰り返し、数年の間に、10回近くもの波を引き起こし、結果、世界中を大パニックに陥れているのであった。
 それを考えると、
「ウイルスというものを甘くみていてはいけない」
 と言えるだろう。
 そんな世界において、ウイルスを撃退するワクチンや、特効薬がなかなか作るのは難しい。
 いくら急遽だとはいえ、治験をしっかりとしていない薬を、簡単に摂取するというのは、無理があるだろう。
 それでも、何とか今は、ワクチン効果もあって収まっているが、そのうちに、
「ワクチンが、無意味と言われるようなウイルス」
 が新しく出てくるか?
 あるいは、今のままウイルスで変異の段階で、そういうウイルスが出てくるということだ。
 ウイルスというものが、変異を繰り返している以上、世の中は、そう簡単にうまい方向に行くわけではない。そういう意味で、
「ウイルスというのは、実に怖いものだ」
 ということを、どれだけの人間が理解しているかということである。
 最初は、何も分からない状態で、結構国民も、楽天的に考えていたが、ある有名芸人が死んだのを見て、
「これは他人ごとではない」
 と思ったのか、国家の指示に素直に従っていた。
 国が、
「緊急事態宣言」
 と言われる、比較的軽い都市封鎖を行った時も、ほとんどの国民は従ったものだ。
 だが、それから一年経って、一番のピークを迎えた時。
 つまり、
「医療体制が崩壊」
 し始め、病院の病床がいっぱいになり、ひどい時には、
「救急車を呼んで、病人を運びこんでも、受け入れ病院が見つからない」
 ということで、そのまま応急手当を受けただけで、間に合わずに、そのまま死んでしまったという悲惨なことが平気で起こっていた。
 確かに、医療従事者も大変だったとは思うが、中にはひどい病院もあり、
「患者を受け入れる」
 ということで、政府から補助金を貰っておいて、実際に受け入れ要請があれば、簡単に断るという、いわゆる、
「支援金詐欺」
 を平気で行うような、医療機関もあったりした。
 政府も政府で、対応はいい加減で、
「混乱だけさせておいて、的確な指示ができない」
 という状態を作り続けた。
 分かりもしない政府が、有識者で作っている、
「専門家委員会」
 の人たちを抱えておきながら、何かを判断する時、絶えず、
「専門家の意見を聞きながら」
 と言っておいて、実際には、自分たちの都合だけで勝手に決めているのだった。
 専門家としては、政府と国民の板挟みで、完全に、貧乏くじを引かされたといっても過言ではないだろう。
 それを考えると、
「何のための専門家委員会なのか?」
 ということになるのだ。
 名前があるだけで、意見が通らないのであれば、政府による、
「やってますアピール」
 のダシに使われているというだけのことなのだ。
 それを思うと、
「政府というものは、結論を出すことはできるが、それに対しての責任に関しては、まったく関与していない」
 ということなのであろう。
 要するに、
「やりっぱなし」
 ということである。
 そんな国家は、次第には、
「経済を回す」
 ということを理由に、今度は、まだまだ猛威をふるっているウイルスがあるにも関わらず、
「マスクもしなくていいし、今度から、特定伝染病から、季節性インフルエンザ並みの対応とする」
 と、勝手に決めたのだ。
 要するに、
「支援するための、金がもったいない」
 ということなのだ。
「金がもったいない」
 という理由で、政府は国民を見捨てたのだ。
「自分の命は自分で守れ」
 と言ったのと同じで、今までは、治療費やワクチンも、国家負担だったものが、すべて個人負担になる。
 きっと、そんなことをしてしまうと、変異を繰り返すウイルスが、さらに変異を重ね、収拾がつかなくなるほどに、なるのではないかと思うのは、少数派なのだろうか?
 しょせん、民主主義というのは、少数派は負けるのだ。
 だが、思い出せば、1年ちょっと前だったか、
「オリンピックをやりたい」
 というだけで、国民の8割近くが反対していた、1年延期されていた、
「東京オリンピック」
 なんと、開催されることになったのだ。
 これこそ、民主主義の概念を、政府自らで崩したという、暴挙以外の何物でもないだろう。
 それほど目立った流行がなかったからよかったものの、何といっても、最悪な時期においての問題だったのだ。
「医療従事者が足りないと言っているのに、さらにその上、オリンピック開催で人を取られる」
 ということになり、どんなにひどい状態だっのか?
 ということである。
 しかし、それでも、問題なく、
「結果オーライ」
 だったのは、
「ただの偶然だ」
 と言ってもいいのだろうか?
 今回の、
「世界的なパンデミック」
 が蔓延った時期に、実際に自殺者は増えたという。
 これは、ある意味当然のことで、
「都市封鎖であったり、人流抑制。さらには、時短営業などと言った政策により、店舗経営をしている人にとっては大打撃だ」
 ということである。
 ただ、実際に打撃を受けたのは、飲食店だけではない。製造業、サービス業、物流、すべてにおいて、直接的な大打撃を受けたのは必至のことである。
 だから、
「経済を回さないと、破綻する会社が続出する」
 というのは、当然といえば、当然のことである。
 それが分かっているから、会社の方も、
「人員削減」
 などで、何とか生き残ろうとするのだ。
 当然のことながら、会社を首になった人は路頭に迷う。経営者などは、首が回らくなって、文字通り。
「首を括る」
 というわけだ。
 電車に飛び込んだ人も多いことだろう。
 そんな時、自殺菌と呼ばれるものが、猛威をふるったということではないだろうか?
 逆を考えると、恐ろしい発想も出てくるのだが、ここでは伏せておきたいと思う。
 自殺菌は、間違いなく影響している。
 そこで思い浮かんでくるのが、
「死神」
 という発想だ。
 日本の昔話や妖怪伝説などの中に、
「死神」
 というものの存在がある。
「死神」
 というのは、座敷わらしとは逆の存在である。
 座敷わらしというのは、
「家にいるとその家が反映し、いなくなるととたんに没落するという、家にいてほしい妖怪の代表」
 のようなものだ。
 しかし、逆に、
「死神がいると、近い将来、死んでしまうことになる」
 といって、恐れられているものだ。
 いきなり事故に遭ったり、病気になってしまったり、あるいは、事件に巻き込まれるなどの、偶発的なものあれば、偶発的に、
「自らで命を絶つ」
 という人もいる。
 それこそ、自殺というものであり、
「ほとんどは偶発的な偶然なのかも知れないが、何かの力が働いていると考えると、この偶発的なものも説明がつく」
 と言われるものである。
 自殺するということがどういうことなのかというと、
「この世を憂いて、このまま生きていても、いいことなど何もない。むしろ死ぬことで、楽になりたい」
 という感情から、自殺をしたくなるのだろう。
 そうなると、一番の感情は、
「楽になりたい」
作品名:悪い菌 作家名:森本晃次