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悪い菌

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 そんな自殺菌というようなものが、実際に蔓延ってくるのかどうかは分からないが、昔から存在していて、人間の心を蝕んでいるのかも知れない。
「自殺菌」
 として、一言でまとめてはいるが、ひょっとすると、いくつかの種類があって、
「人の心を不安にして、世の中のすべてが敵に見えるような菌」
 あるいは、
「心細さから、幻覚を見せようとする菌」
 さらには、
「自殺ということに対して、背中を押す菌」
 など、いろいろな役割を持った菌が存在しているのかも知れない。
 それを考えてみると、
「世の中において、自分だけが正しい」
 という思い込みに付け込んできたりする菌もあるだろうが、最後には、
「自分が正しいと信じることが大切だ」
 ということで、菌の侵入を防いでいる人もいるだろう。
 いくら菌であっても、すべてのことにおいて、弱点のないものがあるとは言い切れないだろう。
 そう考えると、
「自殺というものだけでなく、人間を不安にし、疑心暗鬼を募らせることで、犯罪者にさせるような菌があるとすれば、そっちの方が恐ろしい」
 と言えるのではないだろうか?
 つまりは、
「人間同士が殺し合う」
 という恐ろしい地獄絵図が、目の前に迫っている。
 そんなことを考えてみると、
「そんなのは、太古の昔からあることであって、その証拠に、今まで、必ず世界のどこかで戦争をやっているではないか」
 と言えるのだ。
 ただ、一つ言えることは、
「信じるもののために、殺し合う」
 という理解不能なものもある。
 解釈の違いなのだろうが、
「自分たちが信じるもののために、自爆テロもやむなし」
 ということである。
「死んで花実の咲くものか」
 と言われるが、自分が死ぬことで、確実にまわりを殺傷できる確率が高まるというだけで、
「どうして、生きていてはいけないのか?」
 ということである。
 昨日まで仲間として、一緒に活動していた人が、明日には、自爆でいないのだ。理不尽といってもいいのではなだろうか?
 確かに戦争というのは、
「殺し合い」
 という背景がある。
「しかし、何のための戦争なのか?」
 ということを、平和ボケした我々は思うのだ。
 大日本帝国において、大東亜戦争は、表向きには、
「東アジアの植民地とされた国を、欧米列強の宗主国から解放し、東アジアに、大東亜共栄圏を築いて、欧米列強に対抗できる勢力を建設する」
 というものであった。
 要するに、
「解放戦争」
 である。
 その裏にあるものを、アメリカによる、
「押し付けられた民主主義教育」
 によって、
「日本は東アジアに侵略し、領土拡大を目的に、進駐している」
 と言われるようになった。
 しかし、実際に当時の東アジアのほとんどは、列強によって、そのすべてと言っていい国は、植民地にされていた。
 だから、日本が進出したとしても、侵略というよりも、他の国の権益を脅かしているというのが正解なのだろう。
 しかし、日本という国は、国家運営に対して、致命的に資源が乏しいといってもいい。だから、朝鮮や満州は、いわゆる、
「清国を含む中国、ロシアを含むソ連」
 との間の、
「安全保障の観点」
 から、どうしても、
「朝鮮半島、満州を勢力下に収めておいて、軍を駐留させておく必要がある」
 ということである。
 さらに、満州事変から、満州国建国までの計画は、そもそも、
「中国側の半日運動の激化によって、日本人に土地を売ったり、貸したりすれば、死刑になるというような差別的な法律が施行されたり、満州において、朝鮮人を含む日本人に対しての常習的な暗殺事件などと言った、究極の治安の悪さによって、情勢悪化になったことと、日本側の不作などの問題によって、人口問題が関わってきたこと」
 前述にもあるような問題から起こったことであった。
 これは、ある意味、
「自衛のため」
 と言えるのではないだろうか?
 国際連盟による、
「リットン調査団」
 の調査において、
「満州国の承認はできない」
 と国連決定が出たのだが、それはあくまでも、きっかけになった、
「柳条湖事件」
 の調査だけしかしていない結果ではないだろか。
 結局、認めると、日本の大陸進出を認めることになり、植民地を抱えている国にとっては、由々しき状態に違いない。
 そんな日本という国を、日本人だから擁護しているというよりも、そもそも、裁く国の側が、自分たちの事情だけを考慮するのだから、溜まったものではない。
「植民地を抱えている国に、何をいう権利があるというのか?」
 というのが、関の山である。
 今でこそ、世界情勢は分かりやすくなっているのかも知れないが、さらに複雑化したというのも否めない。
 今の戦争は、サイバーテロであったり、国家間の兵器による戦闘というよりも、戦闘はテロ行為のような小さなものであり、あまり、大っぴらな戦争はないと思われたが、どうもそうでもないようだ。
 何と言っても、核を保有している国というのは、戦争に巻き込まれると、
「使わないことが、抑止である」
 と言われていたのに、使用しないといけないような立場に追い込まれたとすれば、
「第三次世界大戦」
 となってしまえば、
「数日で、世界は滅亡する」
 という事態に陥ってしまうことだろう。
 もし、自殺菌なるものが本当にあり、その病気に、
「世界各国首脳が掛かってしまったら」
 という恐ろしい世界滅亡絵図が、現実のものとなってくるのである。

                 ドッペルゲンガーと死神

 心理学的な、
「症候群」
 と呼ばれるものの中に、いろいろと不可解なものもあったりする。
 たとえば、前に一度聴いたものとして、
「カプグラ症候群」
 というものがある。
「自分の近しい親族であったり、身近な人たちが、悪の秘密結社のような連中によって、悪の手先と入れ替わっているのではないか?」
 というような妄想を抱くということである。
 ちょっとした、
「中二病」
 のような感じであるが、そんな中二病のようなものも、どのようにして流行るのかということが、なかなか理解できなかった。
 これを、自殺菌のようなものが影響して、人間を疑心暗鬼にさせ、あたかも、
「自分は病気である」
 というような感覚にすることで、余計に、幻覚や妄想を見ることになるというものである。
 それを考えると、一口に、
「自殺菌」
 と言っても、いろいろ相手によって変異するという、一種の、
「ウイルス」
 のような働きをするものも出てくることだろう。
 ウイルスというものは、自分で細胞分裂をするものではないので、変異することで、相手が特効薬であったり、強固になっても、対抗できるようにできているのだ。
 だから、伝染病でも、普通は、
「一度罹れば、抗体ができるので、次は罹らない」
 と言われているのだが、しかし、それは、同じ種類のウイルスに限ってのことである。
「同じウイルスでも、変異してしまえば、種類の違うウイルスだ」
 と考えれば、
「同じウイルスに、何度でも罹ってしまうということは、普通にありえることなのだ」
 と言えるのではないだろうか?
 特に、ここ数年世界を震撼させている、
作品名:悪い菌 作家名:森本晃次