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痛み分けの犯罪

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「今回の事件は、外人どもを今までのように、ただのバカと思って見ていると、解決を見誤るかも知れないな」
 と、考え、普段よりもさらに冷静になってみるつもりだった。
 迫田刑事は、K署の中では、
「敏腕刑事」
 として有名で、他の刑事からも一目置かれている。
 少し外人をバカにしているところがあると思っていたが、話をしてみると、迫田の考えも分からなくもない。
 上司とすれば、
「コンプライアンスの問題から、外人差別はいけないのだが、迫田刑事は、そのあたりを表に出さないようにしていることで、まわりからも、何も言われない状態になっているのだ」
 ということであった。
「そもそも、今まで、最初からトイレがないことに気づかなかったというのも、気付かなかった方が悪い」
 といってもいいだろう、
 話を聴くと、ここのほか弁屋のチェーンの社長も、アジア系の外人だという。
「やはり、しょせんは、そういうことなんだな」
 と、迫田刑事は、自分で勝手に納得していた。
 だが、この考え方が、迫田刑事なのであり、
「敏腕の敏腕たるゆえん」
 だということなのであった。
「そんなに、最近の弁当屋というのは、外人が多いのか?」
 と、迫田刑事は、田村刑事に聴いた。
「ええ、そうですね。特に都会のお店は、そういうところが多いようですね」
 と、いうと、
「まるでコンビニみたいじゃないか」
 と、結構コンビニには顔を出す迫田刑事は、そういった。
 ただ、迫田刑事は、コンビニにはあまりいいイメージを持っていない。前述の、レジ袋の件も、迫田刑事が考えていた件だったのだ。
 そのことを思い出してみると、
「そういえば、確かに外人が多いわ」
 と吐き捨てるように言った。
「本当に、迫田刑事は、外人が嫌いなんだ」
 と、田村刑事は感じた。
 実際、田村刑事も外人は好きではないが、
「ここまでの思いを感じることはないな。あの迫田刑事が、こんな態度を取るのだから、相当に嫌なことがあったに違いないな」
 と思ったが、
「迫田刑事のことだから、自分から、そのことを話すことはないだろう」
 と感じ、
「もし、あるとすれば、それこそ、嫌いになったことが関わった事件でも起こらない限りはないことだろう」
 と思うのであって、まずは、普通に感じられることではないだろう。
 他の署では分からないが、K警察の場合は、迫田刑事を始めとして、外人どもを嫌がっている人は少なくない。過激な人によっては、
「国外追放にすればいい」
 などという物騒な話をしている人もいるくらいだ。
 確かに、K市というところは、外人による犯罪が多く、しかも、凶悪犯であったり、愉快犯、猟奇犯罪といった、
「極悪非道な犯罪」
 というと、外人によるものが多かった。
 特に最近では、夜になると、どこから湧いて出るのか、夜中ウロウロしている。そのせいで、治安の悪さは、ひどいもので、
「まるで無法地帯だ」
 と言わんばかりの状態になっていた。
 それでも、そこまで世間が何も言わないのは、
「事件が起こっているといっても、一部だけのことで、実際には、表に出ていない犯罪というのが、実は山ほどあるというのが、やつらの特徴だ」
 ということであった。
 しかもである。
 これは、実しやかに囁かれているということだと言えばいいのか、実は、
「K市には、外人集団による、犯罪組織が暗躍している」
 という話が、水面下ではあるというのだ。
 まるで、ドラマのような話しなので、信憑性の有無については、なかなか難しいところではあるが、実際に、K市において、外人によるあらゆる事件が多発していることから、
「あいつらは、このK市を、モデルとして、犯罪計画を練っていたり、下手をすれば、国家転覆を狙っているのかも知れない」
 ともいわれた。
 だが、実際に笑い話にはできない。その証拠に、今から四半世紀前に起こった、ある宗教による、
「国家転覆計画」
 のようなものがあり、あたかも、テロ組織顔負けの犯罪があったではないか、
 宗教団体というと、
「得体の知れない」
 ということを言われながらも、
「まさか、宗教に関わる人たちが、凶悪な犯罪をするなどとは考えられない」
 と言われていたのに、あの事件である。
 外人であれば、もっと恐ろしいのではないだろうか。何かの組織が暗躍していて、その部隊として、
「外人部隊が組織されている」
 といっても過言ではないだろう。
 実際にK警察署内部で、
「外人部隊撲滅隊」
 と仮称で呼ばれている団体があるが、実際には、警察内部でも、一部でしか知られていないものだった。
 さすがに刑事課は、犯罪捜査の関係上、K署では皆に知られているが、それ以外の警察署でも、いろいろと騒がれているようだった。
 さすがに、街が凶悪化していることで、他の署でも、
「K警察では、やつらに対しての本格的な捜査機関を設置しないと、下手をすれば、世間から叩かれることになるかも知れない」
 という話も出ている。
 というのも、マジな話で、最近では、県警の方でも、真面目に、
「マルボウ」
 ならぬ、
「マルガイ」
 のようなものをつくろうという話も出ているのだ。
 ただ、これに関しては、外人の一部からも、警察に対して、
「設立をお願いします」
 という話も出ている。
 というのは、それらの要望を出している人たちというのは、
「真面目に暮らしている外人」
 という意味で、彼らは、キチンと日本の風土や習慣、風俗までも、勉強して、真剣に学びに来ている人で会ったり、仕事をしに来ている人である。
 日本で爆買いしたり、金があるからといって軽い気持ちで遊びにきたり、日本で金儲けできるからというだけの理由できている連中とは違うのだ。
 警察といっても、さすがに、細かいところの、
「外人連中の性格であったり、生態的なことが分かるわけではない」
 ということで、なかなか難しいところもあるが、
「真面目に日本に来ている連中」「
 というのは、分かっているつもりである。
 そういう連中からすれば、
「一部の不真面目な連中のために、俺たちのように、真面目にやっている人間まで、白い目で見られる」
 ということを真剣に憂いていて、
「それを何とかはねのけよう」
 としている人たちが、
「本当に真面目に考えている」
 という人たちであろう、
 考えているだけで、何もしない連中は、正直、あくどいことをして、
「人の迷惑を考えない連中と同類だ」
 といっても過言ではないだろう。
 それを考えると、K警察も、最初は、
「そんな組織を作って、何になるというんだ?」
 ということであったが、
「真面目な外人連中の気持ちを考えると」
 ということであるが、ただ、その後ろに、
「外務省であったり、各国の大使館などの影響が絡んでいるのではないか?」
 ということも、ありえないとはいえない。
 それでも、誰かが、どこかで必ずやらなければいけないことだということは、誰もが心の中で思っていることであり、それが、あたかも、
「今でしょ」
 とばかりに、K署で結成されたというのは、自然な流れだといえるのだろうか、
作品名:痛み分けの犯罪 作家名:森本晃次