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悪党選手権

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「人を脅迫する」
 という行動は、
「どこまで人の心理というものを模索することができるのか?」
 と考えてしまうのだった。
 羽黒元店長の、
「付き合っていたかも知れない」
 という女は複数出てきた。
 それぞれに当たってみると、なんと、ほとんどの女が、
「関係があった」
 と証言した。
 ただ、皆、
「一回こっきりだった」
 と証言したのである。
 たぶん、
「もし、ごまかしても、後ですぐにバレるだろう」
 ということは想像がつくので、
「それくらいなら、最初から明かしておく方がいい」
 と考える。
 別にずっと交際を続けていたわけではないし、何か言われても、正直に、
「関係が一度キリだ」
 といえばいいだけだったからだ。
 彼女たちには、
「元店長が殺された」
 とは、わざと言っていない。
 もし、ハッキリと言ってしまっていれば、それなりに隠そうとするだろう。本当に隠されてしまうと分からなくなるので、
「ああ、ちょっとした参考人を探しているんだけどね」
 ということで、言葉を濁していたのだ。
 実際に、彼女たちに動揺はなかった。もし、羽黒元店長が死んだ。しかも、殺されたなどということが分かると、彼女たちは、
「自分が疑われている」
 ということで、身構えてしまい、何も話してくれないだろう。
 今はまだ、犯人選定の時期ではないので、そこまで突き詰める必要はないと思い、オープンにしていると、羽黒元店長の、聞きたくもない性癖まで聴かされる羽目になったりするのだ。
「羽黒店長ってね。SMプライが好きなのよ」
 と言い出す女もいたり、
「ロリコンなので、制服を持ってきて、これを来てくれとかいうのよ」
 というではないか。
 しかし、なるほど、SM系の女は、女王様風の女で、制服を着せようとした女は、
「なるほど、セーラー服など似合いそうだ」
 とばかりに、性癖に対しての、彼なりのこだわりが感じられた。
 そういう意味では、
「店長は変態であり、性癖にこだわりがあった」
 といってもいいだろう。
 それを分かっているだけに、羽黒店長という人を知るには、そういう、
「変態チックな考えを持たなければいけない」
 と考えるのだった。
 ということで、捜査は、SMクラブであったり、風俗の店にも飛び火した。
 すると、
「ああ、この人、うちの常連さんよ」
 と、出るわ出るわ、風俗や、フェチバーなどの店員から、どんどん新たな情報が出てくるのだった。
「この人、殺されたんだって? ええ、うちではいいお客さんだったわよ。女の子にも人気がある人で、遊び方はキレイな人だったわね」
 というではないか。
「クレイな遊び方?」
 と刑事が聴くと、
「ええ、お客さんの中には女の子を、マスターベーションの道具としてしか考えていないようなクズも結構いてね。うちだけに限らず、出禁になった人がたくさんいたりするのよ。それを思うと、このお客さんは、いつも女の子に気を遣ってくれていて、女の子も安心してお相手ができるということで、店側も、なるべくサービスしてあげたり、お得な情報は、率先してお教えするようにしているんですよ。だから、きっとよその店でも、キレイな遊び方をしているはずだと思うわ」
 と店長は言っていた。
「こういう業界は、お店同士で仲がよかったりするんですか?」
 と少しっ不思議に感じた刑事が聴いてみると、
「ええ、そうね、先ほどの出禁ではないけど、どうしても情報は共有しないといけない場合がありますからね。そういう意味で、仲良くして損のない店とは、自然と仲良くなるものなのよ」
 というのだ。
「だけど、こういうお店って、そうしょっちゅう出入りできるような店じゃないでしょう? それなりに値段もするし」
 と聞くと、
「それはそうよね、そんなに安いものじゃないわ。でもね、中には、食費を削ってでも遊びに来る人っているのよ。それはもちろん、性欲の発散が目的なんでしょうけど、でも、ここで疑似恋愛をすることで、自己満足をしたいと思っている人もいるんでしょうね」
 と店長は言った。
「お疲れ様でした」
 といって、一人の女の子が帰ろうとしたところを、
「ああ、ちょっと」
 といって、その女の子を呼び止めた店長だったが、
「あなた、店長さんから、よく指名されていたでしょう?」
 というと、
「はいはい、店長さんね。そういえば、最近来ていないわね」
 と彼女がいうと、店長が、
「それがね、あの人亡くなったんですって、しかも殺されたらしいのよ」
 というではないか。
 別に隠す必要もないので、止めることはしなかったが、その女の子の様子から、
「どうやら、羽黒店長は彼女の常連客でかなりの頻度で指名していた」
 ということが分かった。
「そうなの、ビックリだわ、店長さんに、今度デートコースをお願いする約束していたのい」
 と彼女はいう。
 デートコースとは、180分以上の貸し切りコースで、食事に行ったり、どこかに遊びに行ったりとかであった。
「ところで、店長さんが来なくなったというのは、いつ頃のことなんだい?」
 と坂崎刑事が聴くと、
「そうね。そろそろ一か月くらいになるかしら?」
 というのだった。
 刑事は少しビックリした。
「一か月で、最近見ていないとかいう感じなんですか?」
 と聞くと、
「ええ、そうね。前は週に2階は来てくれていましたからね。もちろん、月末などの忙しい時は別だったけど」
 というではないか。
「そんなに金廻がよかったんだ」
 と聞くと、
「ええ、何か、俺には金ずるがいるからって言っていたわ。もっとも、頻繁に来る人は、そういって自慢げにする人が結構いたりしたんだけどね」
 というではないか。
「金ずるについて、何か言わなかった?」
 と聞くと、
「いいえ、もし言ったとしても、私たちはいちいち本気にしないから、すぐに忘れちゃうけどね」
 といって笑っていた。
 が、すぐに、
「そういえば、仕事で弱みを握っているからなんて、物騒なこと言っていたけど、殺されたと聞くと、まんざら嘘ではなかったということのような気がするわね」
 という。
「彼は、ごまかそうということをしなかったんだね?」
 と刑事がいうと、
「はい。むしろ、言いたいんじゃなかったのかしら? 自分には奴隷のような女がいるということをね。彼はSMプレイもしたので、リアル羞恥プレイをしてみたいと前から言っていたくらいなので、ごまかすというよりも、正直にいう方が多いかしらね。でも、時々そんなおおっぴろげなところに、あざとさがあるようで、何とも言えないところがあったと思うのよ」
 というではないか。
「じゃあ、あなた一人に対して、いくつものプレイをしたことがあるということですか?」
 というので、
「ええ、私はいろいろできるから、彼の趣向にあったのかも知れないわね。彼も結構楽しんでいたから」
 という。
「お店での店長はどんな感じだったんだい? プレイ以外にでもいいけど」
 と聞くと、
作品名:悪党選手権 作家名:森本晃次