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抑止力のための循環犯罪

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 それだけバックにいる庄屋であったり、地主の力が強いということなのであろう。
 城の殿様でも、ここの庄屋あたりには、力が通用しなかったりするようで、
「とにかく、地主にお伺いをしないと、武器を手に入れることができない」
 ということだ。
 彼らはいくら、人民を抑える力を持っていても、その土地を抑えることはできない、だから、庄屋がこのあたりでは一番偉いということになる。
「戦国から江戸時代にかけての、いわゆる中世の後半、つまりは、封建制度の後半というのは、
「力の強いものが勝つ」
 というには、複雑な時代だった。
 でもあければ、
「群雄割拠の戦国時代」
 なるものができようはずがなかったからだ。
 そんなK市だったが、実際には、
「面積は広いが、人口はそこまではない」
 と言われていた。
 やはり最後に加盟したところが面積のわりに、人口が少ないからだった。
 しかし、それでも入れるということは、そのあたりは、実は、単独の市として経営するには、
「黒字」
 だったのだ。
 だから、赤字だけの市を合併しても、赤が膨らむだけだったので、
「少しでも、黒字のところがあった方がいい」
 という考えからだった。
 そういう意味では、最後まで加盟に反対していたのは分かるというもので、いまさら赤字を背負い込むことはできないと思ったのだろう。
 しかし、
「合併するなら今で、今合併しておけば、市議会などで、発言力が大きくなる」
 という話になったことで、市長も納得したということであろう。
 つまり、どちらにとっても、都合のいい合併だったはずだが、そうは都合よくいかないようで、最初に算出した赤字よりも、想定外の数字だったようだ。
 単純に、
「足し算引き算をして求めた答えが、いかにいい加減か?」
 ということであり、
「状況が変われば事情も変わるのだ」
 ということで、それを思えば、実に簡単な資産であった。
 しかし、逆に言えば、赤字の二つの市だけであれば、もっとひどかったということであろう。
 そういう意味でいけば、元々黒字の市だったところが、
「貧乏くじを引いてしまった」
 ということになるであろう。
 さて、K市が合併してから、赤を少しでも減らそうとして、
「郊外型のショッピングセンターに誘致したり」
「学校の統廃合」
「さらに、ムダと思えるような資産になるべく投資をしない」
 などと、いろいろな対策が取られたおかげで、何とか、赤字の累積を止めることができた。
 しかし、赤字であることは間違いないので、これからも気を付ける必要は十分にあるのだが、当然のことながら、そのために、市民も、
「血を流している」
 というのは当たり前のことで、
「今後は、これ以上、市民の血を流させないようにしないといけない」
 という話であった。
 というのも、さすがに合併してから、市民生活は少し厳しくなっていた。
 それでも、とてもじゃないが、賄えるわけもなく、そのしわ寄せは、
「市内に事業所や、拠点を持っている企業にいく」
 というのは当たり前のことであった。
 市長の考え方を、企業で作っている組合が聴いて、それを、各企業に説明してまわる。
 ということをしていたのだが、どこまで話が伝わっているのか、いろいろな問題が起こっているのだった。
 それでも、何かと20年くらいでここまで来たのだから、まあ、よかったというべきであろうか、
 何しろ、市町村合併が行われた時期は、バブルが弾けた時期、
「大手金融機関が、潰れないと言われた銀行までもが、どんどん破綻してしまう時代であった」
 といわれた頃である。
 市町村合併も、無理もないことで、相当なところが、大規模な、
「市町村合併」
 を行ったのだ。
 時代は流れて、平成から、例話に変わっていったのである。
 そんなK市の中で、ある個所が、警察でも意識しておかなければいけないと言われる場所になったのは、平成の市町村合併が行われて、5年後くらいのことからであっただろうか。
 田舎町が開拓されて、住宅街として整備され始めた頃であった。
 K市というところは、県庁所在地の隣に位置しているということもあって、ベッドタウンとして注目されていたのだが、住宅を建てるには、土地の問題でなかなか、難しかった。
 何と言っても、昔からの城下町であったり、空いている土地でも、遺跡発掘計画があったりということで、なかなか、住宅地としての開発は難しかったのだ。
 だから、半分、人口増加は諦めていたが、山間の地区が合併によって使えるようになったので、昔の単独の市では誘致も難しかったが、市の規模が大きくなったことで、駅までの交通も整備され、誘致が積極的に行われるようになったのだ。
 だから、マンションや、分譲住宅の計画が表に出てくると、今度は、大型商業施設などの会社が、進出してきて、大規模な、住宅地開発計画が具体化していったのだ。
 それによって、街も活性化していき、学校、郵便局、警察などもできてくる。完全に、
「新しい街が誕生する」
 という予感があったのだった。
 ただ、整備するといっても、一筋縄ではいかなかった。
 何と言っても山間の木が生えそろった場所をまず整備する必要がある。そこから、いよいよ区画整理が行われ、建物を建てられる状態にするということで、そこまでに数年を要すのだ。
 それでも、K市の中心駅から、バス路線なども充実させる計画もあり、学校などの進出も具体性を帯びてきた。
 それを思うと、
「県庁所在地も、相当な飽和状態になってきたということか?」
 と考えられた。
 実は、すでに、都心部から、企業は撤退し始めているところが多かった。
「郊外に、物流センターを造り、そこに拠点機能を移す」
 というところが多いのだという。
 要するに、都心部の家賃が高すぎるということなのだ。
「社員が、30人いる事務所でも、昼間に営業が出払ってしまうと、事務所は数人しかいなくなる」
 という状態である。
「そんなところに、何も高い家賃を払って、雑居ビルの一つを事務所として借りなければいけないのか?」
 ということになるわけで、
「それだったら、物流機能の最新化を目指して、郊外に物流起点を造り、そこから、インフラが整備されたことでの利点を生かし、いち早く配達できるということ。
 あるいは、県内の自社各店舗に納入業者が納入するよりも、物流センターに一括納入をすることで、
「問屋機能も自社で担うことができる」
 というやり方をするところもあった。
 そこに管理部も移転させれば、都心部の家賃が浮くというものであった。
「通勤が不便になるのでは?」
 という懸念があったが、却って、ベッドタウンに作るのだから、却って自宅から近くなる人が増えるといえるだろう。
 駅からバス路線も充実してくれば、バスでも通えるし、今まで車で通勤しようにも、都心部では、駐車場を確保するのも大変で、確保できても、駐車場代もバカにならない。
 しかも都心部は車が混むということもあり、通勤に車を使うのも大変だったことだろう。