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抑止力のための循環犯罪

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「裁判に持ち込んだとしても、切れ者の弁護士にかかれば、わざと自白しておいて、裁判の際に、
「警察に自白を休場された」
 と言われてしまうと、警察と検察の面目は丸つぶれだ。
 検察は今までに何度もその煮え湯を飲まされてきたので、起訴には、慎重になっているというのも当たり前のことだった。
 まだ、逮捕されていない犯人に対しての、裁判を考えるというのは、
「捕らぬ狸の皮算用」
 といってもいいのだろうが、
「痴漢」
 と、
「強制わいせつ」
 というものの間に、
「親告罪」
 というものが絡んできていることで、いろいろ問題は厄介である。
 特に被害者側にとっては、かなりデリケートな問題で、本人や家族からしてみれば、
「犯人が憎い」
 という気持ちが一番なのだろうが、被害者として考えられるいくつかのリスクを考えると大きな問題となるのだ。
 まずは、裁判を起こして、裁判で原告として、弁護士から、いろいろと、生々しいことを聞かれ、傍聴席に人がいるのに、まるでさらし者になっているということに耐えられるかということである。
 また、裁判を起こしたなどということや、そもそも痴漢犯罪に遭ったということで、下手をすれば、会社にいられなくなる。
 もちろん、解雇理由になるわけはないが、会社内で、変なウワサや誹謗中傷などがないとも限らない。
 何もなくとも、普通に誹謗中傷されるのであればまだしも、ウワサには尾ひれがつくもので、そうなると、あることないことを言われ、誹謗中傷がそれだけではすまなくなることだってあるだろう。
 しかも、もっとひどいのは、
「その人たちに、悪意という意識がまったくない」
 ということであろう、
 だから、反省をすることもないので、収まるとすれば、
「本人が苛めに飽きる」
 くらいしかないだろう。
 まったく相手に反応がないと、まるで、
「糠に釘」
 とでもいうように、味気ないものとして、誹謗中傷がなくなるという可能性くらいであろうか。
 また、もう一つの大きな問題としては、
「犯人から逆恨みを受ける可能性がある」
 ということである。
 犯人がもし有罪ということになれば、前科がつくことになり、その人の家族が崩壊することになるだろう。
 そうなると、犯人としては、
「俺の家族を崩壊させた女」
 ということで逆恨みを考えることだろう。
 それまでの痴漢は、
「衝動的な行動」
 といってもいいが、今度は、動機というものがあるもので、それが逆恨みという怨恨が動機となるのだった。
 下手をすると何をするか分からない。
「殺されてしまうかも知れない」
 と感じてしまう。
「この男が、どんなに深い罪、要するに強制わいせつという刑法犯になったとしても、結局、有罪で懲役を食らっても、長くて、数年で出所してくるのだ」
 ということである。
 もし、その間に恨みが消えなかったり、さらに燃え上がってしまうということであり、出所してきても、職がないとか、家族から縁を切られるようなことになり、
「帰るところがなくなった」
 などとなると、自分がやった犯罪を棚に上げて、恨みは、また彼女に向くことになる。
 もちろん、最悪のことを考えてのことであるが、
「社会に出ると、最悪のことを想定するということを覚えた」
 という人は結構いて、彼女もその通りだった。
 だとすると、
「本当に何をされるか分からない。殺されるかも知れない」
 ということをずっと考えながら暮らしていくのも、限界があるというものだ。
「これからの犯罪の抑止力になるという考えがあったとして、自分が、命の危険というリスクを犯してまで、自分一人が犠牲にならなければいけないか?」
 ということである。
 あまりにも、理不尽ではないか?
 もし、危害を加えられることはないとしても、それまで怯えながら暮らすというのは、いかにも理不尽で、
「明らかに自分が人身御供にされてしまった」
 ということを自覚しているのが、自分だけだと思ったのも、悲しいことであった。
 それを考えると、
「自分がここで訴えるというのは、リスクが多すぎる」
 というものであった。
 しかし、
「泣き寝入りというのは、溜まったものではない。まだまだ、警察や検察に、限界というものがあるのだ」
 ということを考えると、
「厄介なことだ」
 と言えるのではないだろうか?
 そういう意味で、この、
「人に危害を加える」
 という犯行が模倣犯なのか、同一犯によるものなのか、実に厄介なことである。

                 ターゲット

 被害に遭った女の子が、その場から消えたのだが、その女の子は、三村凛子といい、今年高校を卒業した。18歳の女の子だ、
 昨年から、成人年齢が引き下げられ、
「成人というのは、18歳から」
 ということになったので、
「彼女は、すでに成人ということになる」
 そうなると、法律上の契約や訴訟も、今までのように、法定代理人に頼ることなく、自分の意思で決めることができる。
 ただ、何と言っても、まだ、この間まで高校生だったという女の子なので、そういう経験をすれば、どうしていいののか分からないだろう。
 彼女とすれば、
「とっさにその場から立ち去ってしまったが、あの場合はそのまま刑事さんにすがった方がよかったのかも知れない」
 と思ったのは、後になって後悔したからであった。
「あのまま、警察に任せていた方が、後になって、悔しさがこみあげてくることもなかっただろうと思ったが、彼女は刑法は少し知っているようで、先ほどの自分の後悔と、訴える訴えないを別にして、相談ということでもしておくと、安心ということもあるだろう:
 と思った。
 時間が経てば経つほど、捜査をするにしても、難しくなってくる、
「思い立ったが吉日」
 とよく言われるが、まさにその通りだろう。
 凛子は高校を卒業して、今年から大学生になった。
 刑法をよく知っているとはいえ、別に法学部に入学したわけではない、入学したのは、文学部で、シナリオライターに興味があったのだ。
 高校生の頃から、法律にも興味があり、シナリオにも興味があったので、どっちに進もうか考えていた。
 どちらも、かなりハードルが高いことは自分でも分かっていた市、
「何かを新しく作り上げることに興味がある:
 ということで、
「シナリオライターを目指したい」
 と思ったことで、文学部に入学した。
「刑事ドラマ系を書くときに役立つだろうな」
 と思い、シナリオを描く時も、
「法律関係の本を書いてみたい」
 と感じたのだった。
 最初は、
「小説家」
 と普通に考えていたのだが、最近は、紙媒体の本がなくなりつつあることで、
「それならシナリオ」
 と思った。
 確かに、最近は、テレビ離れも多く、テレビドラマといっても、マンガが原作のものが多かった。
 人によっては、
「原作がある方が、原作に忠実に書かないといけないので、結構大変だ」
 ということであろうが、実際には、あまり好きではない。
「原作がある方が楽だ」
 という人がいるが、それは素人考えであり、シナリオのように、
「分業制」
 の一部のようなものは、
「原作がある方が、結構難しい」