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同一異常性癖の思考

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 ということで、2番目に指定されたところが、発掘対象になったのだった。
 発掘における、
「何か遺構がある」
 するならば、大体このあたりということが、教授くらいになると分かるようで、そのあたりを探ってみる限り、
「何も発見されない」
 ということであった。
「それじゃあ、念には念を入れて、注意して作業に入ってくださいね」
 という釘を刺しておいて、この小学校は、解体作業に入ったのだ。
 しかし、
「歴史的な大発見はなかった」
 が、
「センシティブで衝撃的なものが見つかった」
 ということだったのだ。
 それが、今回の、
「白骨発見」
 という通報だったのだ。
 桜井刑事を始め、迫田刑事も一緒に、鑑識を連れて発見現場にやってきた。
 さすがに白骨死体ということで、殺害現場の生々しさはなかったが、さすがに、現場作業員は、相当ビックリしたことだろう。
「一体どうしたんだ?」
 と現場監督が発見者の近くに近寄ると、ブルブルと震えているではないか。
 少なくとも、作業員というと、
「少々のことでは驚かない。それこそ、死体を発見したりしたら驚くだろうけど」
 ということだったが、まさか、それが死体というか、白骨だということであれば、頭の中が混乱するというのも分からなくもない。
「白骨死体を発見するなど、人生のうちであるかないかではないか?」
 ということであり、きっと、腰を抜かす寸前だったことは想像がつく。
 しかし、これが生々しい、例えば、ナイフが突き刺さっているような死体であれば、
「気を失っていてもおかしくない」
 と言えるかも知れないが、それは、想定外ということであるならば、
「生々しい死体であっても、白骨であっても、レベルとしては、最高レベルをぶち抜けているわけなので、ほとんど変わらない」
 といってもいいのではないだろうか?
 そんなことを考えていると、白骨が出てきた時の緊張は、かなりのものだっただろう。
「皆で一緒に発見したのだから、衝撃は人数分で割ることになるので、そんなにはないだろう」
 と思うかも知れないが、そんな単純なものではない。
 実際に発見した皆が、腰を抜かしていたようで、ある意味、
「皆で発見した方が衝撃が大きい」
 といってもいいだろう。
 なぜなら、
「感じる衝撃に対しても、人に気を遣っている」
 と言えるからなのかも知れない。
 彼らのような、現場の人間というと、おおざっぱな性格だと思われるかも知れないが、
確かに、
「自分の世界を持っている」
 ということでは、ありなのだろうが、
「寂しさや孤独」
 というものを兼ね備えているという意味では、ある意味繊細なのかも知れない。
「寂しさや孤独」
 というものに対しての意識が他の人とは違っていて、その感覚を、いかに自分で納得できるかということではないだろうか?
 だから、人には人一倍気を遣うのだ。
「自分がこういうことをされると嫌だ」
 ということを、普通の人は、普通に考えるのが当たり前だと思っているが、それも、最終的には、
「自分が一番だと思い、自分ファーストという考えに至るのが一般人であろう」
 しかし、
「彼らは、その繊細な意識で、最後にも、相手のことを考えている」
 という発想があるのであった。
 なぜなら、
「繊細な意識が、相手のことを考えることで、自分のことを顧みることができる」
 ということを認識しているので、自然と、相手のことを考えることができるからなのであろう。
 今回のように、まわりも一緒に驚いている時は、
「皆、同じレベルでの驚き」
 をいう感覚になるのだ。
 一人でも、ショックが大きかったりすると、その人が今度は目立ってしまい、下手をすると、
「仲間内からはみ出してしまう」
 ということになりかねないといえるのではないだろうか?
 とにかく、普段は、豪傑そうに見える人であっても、話をしてみたりすると、実際に、
「繊細であり、まわりに必要以上に気を遣っている人たちだ」
 と言えるのではないだろうか。
 だから、今回は、皆で、助け合うようにして、
「警察に連絡」
 ということになったので、混乱などはまったく起こることはなかった。
 一人一人のショックなことは分からなくもないが、警察への連絡であったり、親請けの会社に連絡を取るなど、現場監督がてきぱきとできたのは、
「ショックの割には、皆がしっかりしていたからだ」
 と言えるのではないだろうか?
 白骨死体発見の情報が、110番に寄せられ、まず考えるのは、
「何かの事件だろうか?」
 ということであった。
 白骨死体というと、その正体は、相当幅が広いといってもいいだろう。
 それこそ、歴史上の人物の骨だって、ちゃんと残っている場合もあるわけなので、まだ見てはいないが、その白骨の完成度が、どの程度かということで、その想像もできるということであろう。
 実際に行ってみると、きれいな頭蓋骨であった。いわゆる、
「しゃれこうべ」
 と言われるもので、その付近を掘っていると、どの部分かはハッキリとはしない骨がいくつも出土していた。
「警察です」
 といって、敬礼しながら現場に行くと、作業員は、一様に心細そうな顔をしていた。
「ご苦労様です」
 と代表していう人がいたので、
「この人が現場監督なんだろうな?」
 と感じた。
 なるほど、まわりを監督するにふさわしい顔つきをしている。
「やはり、警察であろうがなかろうが、中心に立つ人というのは、それなりの貫禄を持った人でなければ、できないということか?」
 と感じたのであった。
 鑑識の人もつれてきているので、それなりの人数が固まっていることになるのであったが、警察としては、まず発見した時のことを聞いておく必要があったのだ。
 この街のショッピングセンター開発のあたりからの説明が行われ、
「マンモス小学校建設と、廃校になる3つの小学校」
 という話がまず最初にあった。
 警察関係の人で、半分くらいの人は、分かっているようであり、
「なるほど、分かりました」
 と、事情は最初から分かっていたという桜井刑事が、この場を仕切るというのは、ある意味当たり前のことだったようだ。
「じゃあ、2番目として、ここを解体しようとしているところで白骨が見つかったというわけですね?」
 ということであった。
「そうなんですよ、でも、ここは最初に、大学の、偉い先生が、発掘作業ができるかどうかということで、見ていたところではあったはずなんですけどね」
 というのであった。
 このことは、迫田刑事と、桜井刑事の二人には、
「気になることとして意識される」
 ということであったが、他の人たちは、あまり意識して聴いていたわけではないようだった。
 まず、桜井刑事から、
「いつから、ここで作業を始めたんですか?」
 と聞かれた監督さんは、
「3日前くらいですね」
 というと、今度は迫田刑事が追い打ちをかけるようにして、
「じゃあ、大学の先生たちの下調べが終わったのは?」
 と聞いたので、
「そうですね、我々は詳しいことは知りませんけど、たぶん、二週間くらい前だったあと思います」
 という。
「じゃあ、その間というのは、ここは?」
作品名:同一異常性癖の思考 作家名:森本晃次