小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

同一異常性癖の思考

INDEX|12ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

 と聞かれることもある。
「未解決事件」
 ということであっても、それこそ、
「時効を迎えた」
 というわけではない。
「容疑者を見つけたり、何か証拠が出てくれば、そこから、また新たに事件の捜査が始まる」
 ということだってあるのだ。
 捜査本部が解散したというだけのことであって、未解決事件を専門に扱う部署があるというようなドラマを見たことがあるので、実際に、そんなところがある警察署があってもいいのではないだろうか?
 だから、今回の事件でも、
「ガセネタっぽい、目撃証言があった」
 ということで、解散の決まった捜査本部が、延長されるということはないだろう。ただ、未解決事件としてファイルに閉じられ、警察署の書庫のようなところに眠らされているということであった。
 迫田刑事は、この事件で何か、胸騒ぎのようなものがあった。
 というのは、やはり、
「捜査本部が解散する」
 という話が出たそのタイミングで、ガセネタタレコミがあったというのは、あまりにもタイミングがよすぎるというものだ。
 それを考えると、突飛な発想ではあるが、
「何かの暗躍が感じられる」
 というものであった。
 しかも、その暗躍というのが、
「警察内部ではないか?」
 ということが引っかかっていて、迫田刑事がこの事件を気にしている理由には、もちろん、自分が刑事になってから、比較的早い時期の未解決事件ということもあったからではあるが、それ以上に、
「暗躍」
 という言葉と、
「警察内部」
 という言葉が引っかかっていて、どうしても、このまま、
「お宮入り」
 にしたくはないということであった。

                 白骨死体

 迫田刑事が、何度目になるのか、例の、
「老夫婦強盗殺人事件」
 という未解決事件を気にしていた時のことだった。
 県警本部から、
「白骨死体発見」
 という通報が入ってきて、ちょうど、K警察署管轄だったこともあって、鑑識とともに、発見現場に向かった。
 そこは、元々小学校があったところで、近くに大きなショッピングセンターができ、そこに大きな小学校ができるということで、いわゆる、
「合併」
 ということになったのだ。
 近くの3つくらいの学校が廃校になり、今度できるマンモス小学校に吸収されることになった。
 実際に、
「少子高齢化」
 ということもあって、小学生になる数を考えると、
「一つくらい、廃校にしないと」
 という話は実際にあったのだ。
 そんなところに持ってきて、
「大型ショッピングセンターができる」
 という話が巻き起こった。
 そこには、
「市役所、消防署、警察署、学校」
 などというものを併設する。
 ということだったのだ。
 それを聞いた市の教育委員会が、
「だったら、その小学校を大きくしてもらって、三つの過疎化が予想される学校を一つにすればいいのではないか?」
 ということになったのだ。
 実際に、試算してみると、
「一学年、250人くらい」
 という、そんなにマンモスでもない学校ができるということで、それぞれの学校は廃校という風に決まったのは、今から5年前くらいであった。
 その跡地をどうするか?
 ということは、正直決まっていなかったが、そのうちの一つの学校から、歴史的な史跡が出てきたということであった。
 というのも、
「南北朝時代から、戦国時代にかけての間、交通の要衝として栄えた近くの町の支城が形成されていて、歴史書に書かれていた、
「古戦場」
 というものを証明する貴重な発見だということになったのだ。
 だから、ここは市の環境課が文化財として、まずは接収し、近くの大学の発掘チームの人たちに、発掘を任せるということになったのだ。
 ただ、この遺跡は、想像以上に重要文化財としても重要で、
「下手をすると、歴史の通説をひっくり返すくらいの大発見があるかも知れない」
 と言われるようになったのだった。
「そんなに、すごい発見なんですか?」
 と言われ、
「ええ、歴史を知らない人であっても、本能寺の変であったり、坂本龍馬暗殺事件というのが、歴史のミステリーと言われているのは、大体知っていると思うのですが、ただ、歴史を知っている人の間でも、学校では習わないような、歴史のミステリーがあるというもので、その数は果てしないと思うんですよ。ここの発掘はその一つであって、歴史ファンには、大注目のことなんですよ」
 ということであった。
 これは、地元民放のインタビューに答えた、地元国立大学の歴史教授の話であったが、
「中世のこの時代の発見は、考古学と違って、武将個人のことがある程度分かっている今であるから、ちょっとした発見であっても、通説をひっくり返すだけの発見ということに繋がるんです」
 ということであった。
 そんな状態において、見つかった遺跡を調べていた大学教授は、次第に興奮するようになって、
「大学の仕事よりも、発掘の方に集中し始めた」
 ということであった。
 だが、大学の方としても、すでに、
「名誉教授」
 といってもいいくらいの実績があるので、大学の方でも、
「ええ、教授が好きなようにしてください。我々も、できる限り応援させていただきます」
 ということであった。
 そもそも、
「この教授がいる」
 というだけで、大学の日本史科では、応募学生が多いのだ。
 正直、それだけでも大学に貢献している。
 さらに、この教授は、いろいろなテレビにも引っ張りだこで、歴史に造詣の深い人で、
「この教授を知らなければモグリだ」
 と言われるほどであった。
 そもそも、これだけの大きなショッピングセンターを作るだけの土地があるわけだから、「掘っているうちに、何か出てきても、別に驚かない」
 といってもいいだろう。
 特に城址というのは、ちょっとでも掘れば出てくるというもので、
「何しろ、昔の城の数というもので、一番多かった時期というのは、全国で、三万はあったと言われている」
 ということであった。
 その数は、コンビニの数よりも、数倍多いという。
 何社のしのぎを削っているコンビニのその数よりもかなりあるというのだから、相当なものだろう。
 一つの小学校では、完全に発掘場所として、今では、県の指定の発掘場所ということになっている。
 教授の話では、
「もし、文献にあるようなことが事実であれば、この発掘で、国宝級のものが出てくるかも知れない」
 と言っている。
 これが、普通の大学教授であれば、あまり気になることではないが、言っているのが、第一人者の教授ということで、その注目度は大きかったのだ。
 そんな小学校が3つのうちの一つにあったわけなので、他の小学校も、
「もしかして」
 ということで、まずは、この発掘を先行させて、
「他の二つは、様子見で掘り起こしていこう」
 という風に決まったようだ。
「下手に重機などを使って、せっかくの遺跡を壊すようなことをしてはいけない」
 というのが、教授の意見であった。
 だから、しばらくは、何もしなかった小学校の解体であったが、
「向こうも一段落ついたので、こっちの小学校に取り掛かろう」
作品名:同一異常性癖の思考 作家名:森本晃次