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同一異常性癖の思考

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 ただ、ウソが繰り返されると、信じられなくなるという考えも無理もないことで、それこそ、人間の本能のようなものだといってもいい。それだけ、学習能力があるということなのであろう。
 しかし、人間はそのことを無意識に感じている場合がある。それだけ、
「ウソに塗れた世の中に行きている」
 ということになるのであろうか。
 そして、もう一つは、
「木を隠すなら森の中」
 ということわざがある。
 保護色のようなもので、
「真実を隠そうとする場合も、たくさんのウソの中に混ぜてしまうといい」
 ともいわれる。
 この考え方は、
「真実とウソは紙一重、裏返しである」
 ともいえるだろう。
 しかし、この考え方は。
「長所と短所」
 というものに似ている。
 つまり、
「正反対に見えるが、見方によっては、紙一重でもある」
 ということで、よく野球などで言われることとして、
「苦手なコースは、得意なコースのすぐ横にある」
 などというのを、プロ野球の解説者から聞くことがあるだろう。
 何と言っても、解説者は、元選手である。実体験からの言葉なのだ。
 もちろん、現役時代には、誰にも言ってはいけない情報で、それこそ、自滅を招くことになるといっても過言ではないだろう。
 引退してから解説者になったのだから、自分が損をすることはない、しかも、実体験からの話は、視聴者にとってもありがたいことだし、放送局側も、そういう体験談はありがたいので、
「どんどん話してもらいたい」
 と思っているに違いない。
 そんな、
「オオカミ少年」
 の話というのは、警察の捜査で考えると、
「何度も無駄足を踏まされているのに、それでも、いつ何時本当のことがあるか分からないから、ちゃんと捜査をする」
 という、大峡少年の教訓にもよるのだろう。
 そして、もう一つは、
「警察への信用問題」
 ということである。
 せっかく善良な市民からの貴重な情報提供をむげにしてしまうと、警察を市民が信用してくれなくなる。
 つまり、市民の協力は、ネタ提供というだけではなく、普通の目撃証言などにおいても言えることだ。
 第一発見者になった人間が、警察を嫌いで、見たものを、
「見ていない」
 といってみたり、逆に、見ていないものを、
「見た」
 といってみたりするのも、同じことではないだろうか。
 そうなってくると、警察の捜査は混乱し、犯人でもない人を逮捕してしまい、冤罪を作り出してしまうかも知れない。
 もちろん、警察が嫌いな人でも、
「冤罪を作り出す」
 ということには、賛成できるわけはないだろう。
 だが、警察への、
「非協力的な態度」
 というのは、結果、
「冤罪を引き起こしかねない」
 ということになるのだ。
 そのことが分かっているのか、第一発見者は、あまりウソは言わない。
 ただ、推理小説などでは、
「第一発見者を疑え」
 という言葉があったりする。
 それを思えば、いくら警察を憎んでいると言っても、下手なことを言えば、自分が犯人にされてしまうという懸念があることから、余計なことはできないのである。
 そんな中において、証言者の、
「オオカミ少年」
 というのは、なかなかいないというのも、法律を知っているからであろう。
「偽証罪」
 つまり、明らかなウソを行って、誰かを陥れたり、事件を混乱せしめたりした場合などは、
「偽証罪」
 ということで罪に問われるのだ。
 特に、誰かを陥れる行為は、それだけでも、大いに犯罪として形成されるものだ。
 人の命を直接奪うわけではなくとも、その人の、
「ウソの証言」
 のせいで、人生が狂ってしまい、そこで、
「人生が終わった」
 ということになる人もいるだろう。
 特に偽証罪となるわけではなく、一種の人助けをしたはずのものが、実際には、
「人の罪を確定させることになってしまう」
 ということは往々にしてあるというものだ。
 特に、痴漢の目撃者などは、そうではないだろうか。
「この人痴漢です」
 といって、手を掴んで、そのまま警察に突き出す場合など、たまにあるというではないか。
 現行犯であれば、一般市民も、その人の身柄を確保することはできるというもので、そのまま警察に突き出せば、
「現行犯ということで、動かぬ証拠だ」
 ということになるだろう。
 しかも。他の乗客皆が証人ということになる。気が弱い人は、つい、やってもいないことを認めてしまうという人もいるだろう。
 だが、そうなると人生が終わってしまう可能性だってある。
 会社あ首、家族にもバレてしまって、奥さんからは離婚され、人生がメチャクチャになるだろう。
 しかも、犯罪者として裁判を受け、たぶん、県の条例違反程度なので、罰金系ということになるだろう。
 しかし、前科がついてしまうのは否めない。何もやっていないのに、そうなるのだ。
 せめて、裁判というものが法廷で行われないというだけが、救いということか、
「いや、そんな問題ではない。前科がついて、生活が崩壊してしまった自分は、自白した時点で、終わってしまった」
 といってもいいだろう。
 また、さらにひどいこととして、目撃者のふりをして、男を脅かす連中もいる。
「警察に突き出されたくなかったら、金を出せ」
 というやつである。
 もちろん、女もグルであり、一種の、
「美人局」
 というものであろう。
 やつらは、定期券や免許証などを接収し、それで脅してくる。個人情報などないに等しいので、逆らえば、会社や家族に知られることになるに違いない。
 そうなると従わなければならなくなるのだが、やつらが一度で終わると思うと大間違いというものだ。
「やつらは、死ぬまで、骨の髄までしゃぶってくる」
 ということになる。
 そうなると、
「このままいけば、あいつらを殺さない限り、俺が自由になれることはないんだ」
 ということで、新たな殺意が生まれかねないということである。
 これこそ、
「過ぎたるは及ばざるがごとし」
 ということで、犯人グループにとって、自分たちの身が危ないということなど思ってもいないだろう。
 完全に、自分たちに相手は逆らえないと思い込んでいるわけで、それこそ、
「油断大敵」
 であり、
「やる方はやられることを考えない」
 と言えるであろう。
 そんな捜査をやっている中で。やはり気になったのが、
「なぜ、今なのか?」
 ということであった。
 確かに、まもなく、
「お宮入り」
 となるはずの事件ではあるが、
「なぜ、このタイミングで?」
 と思ったのは、迫田刑事だけだっただろうか?
 しかし、結局、
「お宮入り」
 ということになったが、
「この事件のことを、迫田刑事が気にしている」
 ということは、関係者であれば、分かっていることであった。
 これが若手の刑事とかであれば、
「今起こっている事件に集中しろ」
 とか言って怒られるのが関の山なのだろうが、迫田刑事というと、そろそろベテランとなりかかっていることもあって、上からも下からも、
「一目置かれている」
 ということで、誰からも何も言われることはなかった。
 時々、桜井刑事からは、
「どうだい? 何か気になることでもあったかい?」
作品名:同一異常性癖の思考 作家名:森本晃次