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完全犯罪の限界

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 と一定数の人が納得してくれるということを表に出してくれるから。集団意識のある人が味方になってくれると、かなりの味方になることだろう。
 しかし、それが時間が経ってくると、必ず。
「待てよ。なんか、理屈が違うんじゃないか?」
 ということになると、
「そんなの言い訳であって、そんなことを理由付けているだけじゃあ、しょうがないんじゃないか?」
 と言われるのではないだろうか?
 それを思うと、
「やっぱり、郵便物を捨てるようなやつに同情なんかできない」
 という人が出てくる。
 それが、今度は、
「勧善懲悪」
 というモットーがハッキリした人の登場で、最初の、ただの同意だけの人が、
「勢いだけだった」
 ということに気づいてしまうと、一定数の勧善懲悪の人間が強くなるに違いない。
 それを考えると、勧善懲悪の人間が、強くなってくると、逆らえなくなる。すると、
「悪いのは、捨てた人間」
 ということで凝り固まってくるのだ。
 しかし。今度は逆に、そういう個人情報が悪いという発想も、
「勧善懲悪から来ている」
 と言えるのではないだろうか。
 そもそも、詐欺であったり、情報を不正に使うという犯罪者と言ってもいいような人間がいるから、こんなことになるのではないか。
 それを思うと、
「やつらは撲滅しないとダメだ」
 という勧善懲悪から、個人情報保護を名目に、自分たちを過剰防衛しようとしていて、それをしかも、自分の隠れ蓑として利用しようという輩がいるということを考えると、
「そもそもの、この体制を根本的に変えなければいけない」
 という風に考えている人が出てくることは当たり前のことではないだろうか?
 そう考えると、今度は、
「どっちに転ぶか分からない」
 という意味での、まるで、
「諸刃の剣」
 といってもいいのではないだろうか?
 ただ、そうなった時、どちらにも動けるようにしておくべきで、できていないのであれば、動くべきではない。
 と言えるのではないだろうか?
 だから、この時の実際にこの少年がどのような判決になったのか、想像がつかない。
「有罪のはずだが、無罪であってほしいと思う自分が、本当に勧善懲悪なのか?」
 と思うのは、いかなるものかと思うのだった。
 そんなことを冠が敢えていたが、
「脇坂さん、とりあえず、警察まで御同行願いましょうか?」
 と言われ、
「ここでじたばたしても仕方がない」
 ということで、
「御同行しますが、一度部屋まで行ってきていいですか?」
 といって、警察を伴う形で、自分の部屋の305室まで、刑事を伴って帰ることになった。
「まさかこんなことになるとは」
 と思いながら、脇坂は、部屋に帰っていったことだろう。
 エレベーターで3階までやってくると、もう、完全に真っ暗になっていた。先ほどまでは、夕方だと思っていたのに、日が暮れて真っ暗になっていたのだった。
 エレベーターが開くと、ちょうど、正面からが、通路になっていて、脇坂の部屋まで、4部屋。もちろん、マンションなので、304号室というのはなく、303号室の次が305号室になっていた。目指すその部屋は、この通路の広さから言って、
「ちょうど半分くらいなんだろうな」
 とついてきた刑事は分かっているようで、それこそ。
「刑事の勘」
 ということであろうか。
 急いでいるわけではない。ただ、刑事の方も、この事件を自分なりに考えていたのだった。
「これは不思議な事件だよな」
 というのが、まず第一印象であった。
「普通であれば、何か死体であったり、重症の人間が見つかって、そこで、これは事件だということになるのだろうが、まず、凶器と思しきものが見つかるという事件。今までにまったくなかったわけではないが、何か、こうなってしまったのが、偶然なのか、犯人の意図したことなのかということが問題だよな」
 ということを考えた。
 しかし、一番最初にしなければいけないのは、
「この凶器についている血糊が、どこの誰を殺傷させたものなのか、そして、その被害者と思しき人物画どこにいるというのか?」
 ということが先決である。
 何といっても、
「死体や被害者が見つからなければ、警察は動きようがない。確かに血糊のナイフが見つかったということだけでも、由々しきことなのだろうが、それだけでは、事件とも事故とも判断できず、捜査本部も、どうすればいいのか分からない」
 ということになるような気がしていた。
 前にも、同じような事件があった時は、
「たまたま、先に死体が見つかった」
 というだけで、死体発見が遅れたことに、犯人の意図するものはなかったようだ。担当刑事は、
「今回もそうなのかも知れないな」
 と思った、
 というのも、今回の血染めのナイフが見つかったという、脇坂という男が、警察に電話をしてくるタイミングも、話をしていての挙動であったり、受け答えも、ソワソワしている様子はなく、怪しいと思うところはなかった。
 当然のことながら、刑事という職業は、どうしても、
「相手を疑う」
 という職業だ。
 まだ事件なのか事故なのかが分からないという状態であるが、それでも、刑事は絶えず、最悪のことを考えて見ているからである。
 今回のこの状態を、
「事件」
 だと思うかどうか、
 これを、
「事件とは言いにくいかな?」
 と刑事は、そちらの方に気持ちが傾いているのは、この脇坂という男の様子が落ち着いているからであった。
 ただ、
「血染めのナイフ」
 が自分の集合ポストから見つかったということで、警察に通報してきた相手とすれば、
「落ち着きすぎている」
 というのも、言えることであった。
 本来なら、もう少し慌てていてもいいのに、この落ち着きは、
「まるで最初から、血染めのナイフが見つかることが分かっていたかのようだ」
 という思いがあるはずだ。
 そうなると、こんなにも落ち着いているというのもおかしいというもので、疑おうと思えば、十分に疑うことができる。
 しかし、人によっては、驚きは一瞬だけのもので、後は落ち着いているという人だっているだろう。だから、一概に態度だけで判断するのは難しいというものだ。
 刑事というものは、とにかく人を疑って、新犯人を見つけ出そうとするはずである。だから、当然、
「すべての人間を疑ってみる」
 ということにだってなるはずである。
 しかし、そこまで考えないのは、普段から、自分の、
「刑事としての目を、養っているからであろう」
 ということであった。
 いくら、
「すべての人間を疑え」
 と言って、疑っていたとしても、必ず、どこかで、犯人を絞り出し、一人に定めて、そこから、真相を掴むということをしなければいけないわけだ。
「刑事という仕事は、犯人を裁くという仕事ではない。それは、検事に任せるものであり、我々は、真実を見つけ出すのが、商売なんだ」
 と日ごろから思っていることであった。
 そのためには、
作品名:完全犯罪の限界 作家名:森本晃次