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完全犯罪の限界

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「変なやつと思われる」
 ということで、相手にされず、
「村八分」
 にされてしまうことは、分かり切ったことであろう。
 それを考えると、
「過去に戻るということは、まわりの環境だけでなく、考え方まで変えないといけないということであり、過去と言える世界ではありえない」
 ということになるのではないだろうか?
 だから、逆に言えば、
「今というのが、過去からの積み重ねだということの証明なのではないだろうか?」
 ということになる。
「今の意識を持っていれば、過去に戻って、もう一度やり直せば、うまくいく」
 という人がいる。
 本当にそうなのであろうか?
 過去というものが、積み重なって未来ができているということを分かっていないと、
「過去をやり直すということは、どの時代に戻るのかは分からないが、その時代から、今まで生きてきた人生をすべて分かっていてこその今だという理解がいるのではないだろうか?」
 ということが分かっているとして、
「じゃあ、過去に戻って、今まで生きてきた人生の、数十年を、ちゃんと把握して理解できているのか?」
 ということになるのだ。
 というのも、
「ここまで生きてきた人生で、本当に失敗ばかりで、いいことが一つもなかった」
 というのであれば、
「これ以上、落ちることはない」
 というわけなので、先だけを見ていればいいのだが、今までに、自分の選択が正しかったりしたことが、無数にあったはずだ。
 本人が理解していないのだとすれば、過去に戻るなど論外であり、もし理解していたとして。もし、もう一度過去からやり直した場合、正しい判断をもう一度できるだろうか?
 というのも、それ以前の問題だからである。
 過去に戻って、やり直すということは、
「今までと違った正しい人生をやり直す」
 というつもりでいくわけで、少なくとも、
「違う人生」
 を歩むのだ。
 まったく違う人生では何が起こるか分からない。だとすると、これまでの、
「正しかった選択」
 というのは、御破算であり、まったく未知の人生を再度歩むことにある。
 知っているはずの人生が、まったく知らない世界になるのだ。
 ということになると、やり直しという意味では、まったく意味をなさないことになる。
 それでも、やり直したいのか?
 ということになるのだった。
 ほとんどの人が、そういうことを考えずに、ただ単に、
「あの時に戻ってやり直したい」
 というのを平気で口にしているが、それが夢の世界であり、あり得ないことだということを理解し、さらに、
「どうしてあり得ないことなのか?」
 ということを、どこまで真剣に考えることができるか?
 それが大いなる問題なのかも知れない。
 そんな未来を知ることのできないマンションにおいて、
「嫌だったら、引っ越せばいい」
 というのは、本当に無責任な言い方で、
「自分が引っ越した時に、隣も引っ越しをするかも知れない」
 さらに、
「引っ越した先で、もし誰も隣人がおらず、よかったよかったと思っていると、すぐに隣に誰か引っ越してきて、その人の騒音がさらにうるさいかも知れない」
 ということは、今のところに住んでいて、
「隣人が引っ越した後も、誰かが引っ越してくる可能性があり、うるさくしないとはいえない」
 ということも十分考えられるということで、そうなると、まったく予想がつかないということになるのである。
 だから、そう簡単に身動きはできないということだ。
 となると、
「隣人だけのことを考えると、賃貸も分譲も関係ない」
 ということだ。
 しかし、
「家賃を払う」
 ということであればどうだろう?
 こちらもいろいろと考えられる。
 分譲に住んでいると、大体が、
「30年ローン
 などと言って、
「サラリーマン生活をしていると、そのほとんどを払い続けなければいけない」
 ということになる。
 しかし、逆を考えると、
「賃貸の家賃だって、毎月払うことになるではないか?」
 ともいえる。
 だとすれば、どっちが高いのか?
 ということであり、一概には言えないだろうが、
「ローンを払っている方が安い」
 ということになる。
 もちろん、ローンの組み方になるのだろうが、例えば、ボーナス時期というのは、少し高いなどということになれば、当然値段が違うということになるのも、当然のことである。
 確かにそうなのだが、
「分譲というのは、最初に入った時から、基本的に老朽化していき、ローンを払い終わった瞬間、気が付けば、築30年というのは、当然のこと」
 ということである。
 もちろん、途中で、
「老朽化に伴う改修」
 ということはあるだろうが、部屋の内部を改修するわけではないので、基本的には、部屋内部は、築年数とイコールになるだろう。
 しかし、賃貸は自由であり、
「古くなってきたから、新築マンションに移りたい」
 と思えば、それほど難しいことではない。
 ローンの場合は、基本的に、すべて払い終わらないと退去もできないということで、
「ローンを払うために、ローンを作る」
 という、本末転倒なことになってしまうだろう。
 だから、金銭的なことで考えれば、分譲の方がいいのかも知れないが、フットワークということで考えれば、賃貸の方がいいということになる。
 好き嫌いの問題などもあるだろうが、基本的には、
「賃貸の方がいいかな?」
 と総合的に考えて賃貸を選ぶ人が多いような気がする。
 それだけ、
「世の中、何が起こるか分からない」
 ということになるのであろう。
 実際に、今回の事件が発生したマンションも、賃貸マンションで、立地条件もかなりよく、しかも、新築マンションということで、家賃もそれなりであった。
 しいて言えば、マンションの前に線路があったり、ちょっといけば、高速道路が通っていたりと、
「ちょっとした騒音は、目をつぶるしかないか?」
 というところであった。
 これもその人の性格によるのだろうが、
「どうしてもやむを得ない騒音に関しては許せるが、人が騒いだりするようなモラル違反に繋がるものは、絶対に許せない」
 と思っている人がいるだろう。
 いわゆる、
「勧善懲悪」
 という考えからくるもので、
「人のことを考えず、自分の勝手な都合で騒音を出すというやつは、
「完全な悪である」
 と決めつけるということである。
「善意の人間が、どうして、一部の悪人から、迫害を受けなければいけないのか?」
 という一種の図式である。
 もちろん、
「悪」
 というものが、すべて騒音に凝縮されるものではないが、
「そもそも、騒音すら自分で制御できなくて、しかもそのことを自覚もできていない人間に、善悪の判断などということができるのだろうか?」
 ということであり、やつらの頭の中にある優先順位は、
「善悪の見極め」
 というよりも、
「いかに楽に自分の都合のいい生き方ができるか?」
 ということが最優先だとするならば、判断どころの問題ではないということになるのだろう。
 だから、やつらに、
「善悪の判断などできるはずなどない」
 ということである、
作品名:完全犯罪の限界 作家名:森本晃次