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損得の犯罪

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 というものが、まだまだ猛威をふるっていたころで、口では、
「経済を活性化させないといけない」
 と言いながら、国内に金を使わず、本来であれば、中立でなければいけないはずの、日本が、片方の国に加担して、しかも、もう一方に経済制裁とかをするのだ。
 その国に宣戦布告しているようなものではないか。
「まあ、日本は、アメリカの植民地なんだから、しょうがないか」
 と言っている人もいたが、こうなってしまうと、その言葉もまんざらでもないということになるだろう。
「我が国日本は、一体どこへ行くんだ?」
 と言っていると、そんな時に起こったのが、この、
「元ソーリ暗殺事件」
 であった。
 結果死んでしまったわけだが、一部の人間の中には、
「可愛そうだ」
 などと言っている政治を知らない人が言っているが、それこそ、かつてのプロ野球で、「一番人気のあったチームのファンのほとんどは、女子供だ」
 と皮肉られていたのと同じではないか。
 昔のプロ野球ファンというと、ほとんどが、サラリーマンか、子供会に入っているような少年くらいだった。
 テレビのゴールデンタイムでは、一部の人気球団しか放送しない。
「視聴率が取れないチームを放送してどうなるのだ」
 ということであったが、今では、女子供も、
「地元チーム」
 ということで応援するようになってから、それまでとは、見方が一変してきたのだ。
 そのせいもあって、民放のゴールデンタイムで一部の人気チームを見る人が減った。
 そのかわり、地元球団の人気が上がってきたのだが、さすがに放送局もどこまで視聴率が稼げるか分からない放送をゴールデンに持ってくるわけにはいかない。
 ということで、出てきたのが、
「有料放送」
 というものだ。
「月額数百円で、人気チームの試合を、試合開始前から、終了後のイベントまですべて見せます」
 ということにすれば、契約者がどんどん増える。
 他のドラマ、バラエティ、映画などの専門チャンネルもできてくると、もう、テレビを見なくなってくるというわけだ。
 そうなると、民放側が思っていたものは、すべて失敗ということになるだろう。
 結局、専門チャンネルに奪われて、視聴率は、一桁でも普通になってきた。ゴールデンは昔の深夜番組のようになってしまって、もう、今では、
「家にテレビなんかない」
 という人も多いことだろう。
「テレビなんか見るより、ユーチューブでも見ている方がよっぽどいい」
 と思っている人が多いということだ。
「時代の流れ」
 といってしまえばそれまでなのだろうが、テレビ業界は、自爆したようなものであり、そういう意味では、
「同情の余地はない」
 といってもいいかも知れない。
 実際には、ドラマや情報番組でもいいのもあるのに、昼の情報番組などでは、ほとんどが芸人連中ということで、信憑性も何も感じられなくなってくる。
 芸人が悪いというわけではないが、バラエティや芸人だけを使っているようなテレビ界というもの全体が、信憑性のないものに思えてならないのだ。
「視聴率が落ちまくるのも、無理もない」
 と言われても当然であり、それが、何を意味するのかということを考えざるを得ないのだった。
 余談となったが、このソーリが死んだことを悲しんでいるのは、ほとんどが、女子供、有識者は、そんなことはなかった。
 もっとも、その事後処理に追われて、それどころではないのだろうが、捕まった犯人から、出てきた証言が衝撃的で、
「それどころではなかった」
 というのが、本音であろう。
 狙撃犯がいうには、
「自分は、宗教被害者二世で、暗殺した元ソーリは、その団体と関わっていた」
 ということでの、半分、八つ当たりのようなものであったが。そのおかげで、出るわ出るわ。
「国会議員の半分」
 さらには、
「現職大臣の半分以上」
 が、その団体と関係があったというのだ。
 それはそうだろう。その団体に言及すれば、自分の身が危ないのだから、なるべく触れないようにしようとするはずだ。
 国会議員を巻き込んだ宗教団体、どんなことが起こっているのか、たぶん、下々の我々が分かることはないだろう。当然、
「ヤバイ」
 と思っている上の連中が、必死になって、
「もみ消しに走るだろう」
 からである。
 ただ、問題は、その程度で収まるものではなかった。世間、特にマスゴミの力は大きなもので、やつらが騒ぎ出すと、政治家もさすがに、
「知らぬ存ぜぬ」
 というわけにもいかない。
 何とか適当に、
「調査した」
 とでもいって、煙に巻こうとしたのだろうが、
「そうは問屋が卸さない」
 というところであった。
 そういう意味で、
「元ソーリ暗殺事件」
 は、殺されてもしょうがない暗殺だったのだが、ひょんなところから、政府の膿が出るということでは、
「あいつも、死んだことで役に立つだから、よかったじゃないか」
 と言っている口の悪いやつもいることだろう。

                 エレベータの悪夢

 世間では、そんな問題を抱えている状態であったが、問題のマンションで、その翌日、一人の他殺死体が発見された。
 発見したのは、新聞配達員で、早朝4時頃には、このあたりの配達をしていたのだ。
 自転車を表に置いて、そのままいつものように、オートロックの前のエントランスから、集合ポストに回り込もうとした時、ちょうど、奥のエレベーターが見えたのだ。
 どうやら、エレベーターは開いているようで、さらにその向こうの昇降ランプが、点滅しているように見えた。
「何かおかしい」
 ということで、よく見ていると、エレベーターが、途中まで閉まったかと思うと、すぐに何かにぶつかり、また開いてしまう。
 少しして、また閉じようとするが、結果は同じこと。つまり、
「ただ、開閉を繰り返している」
 というだけのことだった。
 ただ、何かがおかしいと分かってはいたが、
「何がおかしいのか?」
 ということは、すぐに気づきはしなかった。
 そのことに気づいたのは、
「おかしい」
 ということが分かって、何かに引っかかっているそれが何かということが分かってのことであった。
 そこには、誰かが倒れていて、そこに引っかかって閉まろうとしているのを、妨害していることであった。
「誰かが倒れている」
 と思ってから、少しして、
「何かがおかしい」
 という、その、
「何か」
 という正体が分かった気がした。
 というのは、エレベーターというものの、そもそもの構造を考えたからだった。
「エレベーターは、ある一定の時間開いているか、閉まるというボタンを押すことでも、閉まるのだ」
 という基本的な構造に気づいたからだ。
 というのは、そのエレベータは、転がっている人に当たって、一旦開いた。普通であれば、誰も閉まると押しているわけではないので、一旦全開になると、そこからは、しばらく開いているはずであった。
 しかし、このエレベーターは、すぐに閉まってしまい、また、物体に接触して、すぐに開くのである。
 つまりは、
「開くと閉じるというのを、同じタイミングで繰り返している」
 ということであり、それが、最初は、
「何か違和感を感じる」
作品名:損得の犯罪 作家名:森本晃次