小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

怪しい色彩

INDEX|4ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

 ということであった。
 それを考えると、
「どこで誰が殺されても、驚きもしない。それだけ、伝染病で毎日のように人が死んだというのを聞かされ、最初の頃などは、芸能人が、バタバタと亡くなっていったではないのか」
 というものである。
 伝染病も、最初は、
「風邪の一種だ」
 という話もあり、あまり実感が湧かなかった人も、芸能人が次々に犠牲になっているのを見て、ほとんどの人間が、やっとその恐ろしさに気づき、国が出す、
「緊急事態宣言」
 というのも、それほど大きな混乱もなく、国民が従ったのも、その恐ろしさを感じたからだったのだ。

                 殺人事件

 そんな街で起こっているという、
「現在進行形」
 ともいうべき、
「空き巣」
 と言われるような事件の中で、最近、
「いよいよ、こんなことに」
 と、誰もが予想してはいたが、口でいうのは、怖いとでもいう事件が、起こったのだった。
 というのは、殺人事件であった。
 今までは確かに夜になっても、営業しているのだから、
「空き巣」
 ということは考えにくい。
 店にいない時間は、真昼間なのだから、まさか、空き巣がそんな時間から入るわけもないだろうということで、ほとんど警戒もしていなかった。
 そんなこともあって、前述のように、警備会社と連結しているような警備も掛けていなかったので、ビル全体がそこまで考えているところでなければ、個人でそこまでする人はいないだろう。
 今は、正直、
「盗人にでもならないと、明日も暮らしていけない」
 という人が溢れているので、空き巣が多いのも仕方がない。
 今までになかった凶悪な空き巣が出てくるということは、それだけ、
「背に腹は代えられない」
 ということだろう。
 それなのに、政府は、
「補助金を出したくない」
 さらには、日本には関係のない国で起こっている戦争を、本当は、
「中立の立場にならなければいけない」
 というはずなのに、
「日本が」
 ではなく、
「私個人が、世界で名前を売りたい」
 というあからさまな意思を持って、国民の血税を湯水のように海外にやるのだから、国民としてはやってられないというものだ。
 確かに、
「道義的に、攻められた国が可愛そうだ」
 というのは、個人的な感情としては悪くはないだろうが、国の税金を、
「はい、どうぞ」
 とばかりに、やるというのは信じられない。
 富んでいる国で、金が余っているのであれば分からなくもないが、
「国の借金が膨らみすぎて、後は増税するしかない」
 などといって、防衛予算の拡大を、増税で補おうというのだから、言っていることと、やっていることが、まったく辻褄が合っておらず、さらには、理不尽な理由だということなのである。
 それが、今の日本であり、今のソーリが、
「亡国の悪魔」
 と言われるのも、時間の問題ではないだろうか。
 そんなことを考えていて、今の時代を冷静に考えると、
「日本のソーリ、どんどん悪い方になって行ってるので、本当に、誰が亡国のソーリと言われるようになるかというだけのことではないだろうか?」
 と言えるのだ。
 ここまで続いてきた日本も、
「滅亡の危機」
 と呼ばれたこともあったが、何度となく不死鳥のようによみがえってきたではないか。
 戦争に負けて、占領されても、国家がなくなることもなく、存続している。それが、今度は内部から腐ってきて、亡国への扉である、
「パンドラの匣」
 を誰が開けることになるのか?
 今以上のソーリの想像がつかない。そもそも、亡国の何たるかを、考えさせられるソーリが今のソーリなのだろう。
 そんな空き巣が増える中、ついに殺人事件が起こったのだが、それは、やはり、
「最近騒がれている、空き巣によるものだろうか?」
 と言われていた。
 そもそも、こんな
「警備としては最悪」
 というビルを守るには、有志が集まって、
「警備団を形成するしかない」
 というわけである。
 なぜなら、一番の問題としては、
「警備の人間を雇うだけの金もなければ、ビルが、そもそも雑居ビルであるので、管理人がいるといっても、会社としての体裁は整っているが、あくまでも名前だけであり、警備概査とすぐに契約というのも、難しかった」
 ということである。
 そうなると、
「実際に自分たちで警備するしかない」
 ということで、時間帯によって、交替で、警備を行うしかなかったのだ。
 それでも、誰かを中心に話をしないと成り立たないということもあり、2階にある、
バー「フェルマー」
 を経営している、酒田という人が中心となることになった。
 酒田氏は、こういうことは、学生時代から得意で、何かイベとをする時には、いつも中心にいて、逆に目立たなければ嫌だと思うタイプだったのだ。
 実際に、他の警備に当たっている人たちにとって、こういう人が一人いれば、気が楽だった。
 本当は彼らだって、こんなことはしたくなかった。ただでさえ、警備したって、その金が入ってくるわけではない。
「これ以上被害がないようにするため」
 という、後ろ向きの政策だ。
 いくら、パンデミックの中での対策だといっても、これほどテンションの上がらないことはない。
 できるなら、本当は形式的に終わらせたいと、誰もが思っているはずである。
「そんな俺たちが、警備しても、泥棒が来るという保証があるわけでもないし、第一、泥棒に遭遇したら、どうだというのだ?」
 マニュアルめいたものは、確かに、酒田氏が作ってはくれているが、あまりにも単純で、
「どこにでもあるようなものではなく、もっと具体的にどうすればいいのか?」
 ということを書かれたマニュアルでなければ、意味がないだろう。
 たとえば、
「危険だと思えば、すぐに逃げ出す」
 と、当たり前のことが書かれているだけで、
「そりゃあ、誰だって命あってのものだねなわけだから、相手が襲ってきたりすれば、何を置いても逃げるさ。具体的にどういう時にどうすればいいのかということが書かれていないと、どうすることもできない」
 と言った人がいたが、
「正直言って、泥棒と遭遇した時、どういう場合にどうすればいいなどということ、分かると思いますか? 私とすれば、だったら、どういう可能性があるか出してくださいとしか言えませんよ。可能性を出してくれれば、この場合は、こうすると、ここに書きますよ。思いつくことが少ししかなく、それだったら、却って中途半端なので、ここに書いておくこととしては、当たり前のことを、当たり前に書くしかないんですよね」
 というのだった。
 これも当然のことであり、酒田氏が、
「そのすべての可能性というのを示してくださいよ」
 と言いたくなるのも分からなくもないというものだった。
 そんなことが分かるくらいであれば、もっと、そのことについて、つまり、マニュアル作成から、議論の対象になるはずだ。
「マニュアルというのは、分からない人が見ても分かるように作るものなので、分からないなら分かるまで話し合ってでも作るのが、当然だといえないだろうか?」
 というのが、当然の理屈なのだろう。
作品名:怪しい色彩 作家名:森本晃次