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 ということを誰も言わない。
 それも、本当はいいことではないのだが、それ以上に、
「やらなきゃいけないことはできないくせに、やらなくてもいいことだけではなく、こともあろうに、やってはいけないことを、自分でさっさとやってしまうという、このソーリは、無能という言葉では片付けられないのではないか?」
 という人が多かった。
 つまり、
「亡国のソーリ」
 といってもいいだろう。
 もし、数年後、あるいは、数十年後に、国が滅びたとして、滅んだ国には、幾度かのターニングポイントがあるに違いない。
 その中で必ず上がってくるのが、今のソーリの名前ではないだろうか?
 無能や、破廉恥ソーリという程度なら、そこまではないだろうが、
「国を滅ぼした」
 ということであれば、その罪の深さは計り知れない。
「答えは歴史が出してくれる」
 というセリフがあるが、まさしく、このソーリが、その答えを出すことになるのだろう。
 そんな時代が、訪れないということを願うしかないのだろうが、今の世情を見ていると、
「このソーリでなくとも、結果は亡国になってしまう」
 というシナリオを描いているようなので、要するに、
「それが早いか遅いかという違いだけなのかも知れない」
 そういう意味では、今までのソーリがどれほど無能だったのかということであろうが、少なくとも、
「失われた30年」
 という言葉が、それを証明しているかも知れない。
 もし、今のソーリを含めない。つまり、前のソーリまでで、
「三悪人」
 のソーリをきめるとすれば、誰になるだろうか?
 まず考えられるのが、
「与党である自党とぶっ潰す」
 といって、国の滅びに基礎を築いたあの男ではないだろうか。
 確か、
「何とかの構造改革」
 などと、勝手にネーミングをしていたっけ。あの男が、まず弾を作って、仕込んだという戦犯であろう。
 次というと、
「史上最長の政権」
 というものを欲しいがために、政権にしがみつき、ほとんど成果らしいものが何もなかったあの男だ。
「おお、そうだ、今のソーリの最悪である、国葬問題も、こいつではなかったか」
 ということだ。
 この男も経済政策といって、自分の名前をもじった政策を打ち出したくせに、しかも、それだけ長くソーリをやっていたくせに、まったく成果が出なくて、名前だけが、選考したというあのソーリではないか。
 しかも、あいつは、都合が悪くなると、
「病気だと称し、病院に逃げ込む」
 くせがついていたのか、同じことを二度やったのだから、どう見ても確信犯であろう。
 そして、もう一人は、この男、下手をすれば一番の戦犯かも知れない。
「同じ地元出身とは、実に恥ずかしい」
 といってもいいだろう。
 この男は、一番印象に深いのは、
「失言大魔王」
 といってもいいだろう。
 いつも余計なことを言って、マスゴミに叩かれる。
 マスゴミも切り取り取材が多いので、人のことはいえないが、このソーリに関しては、どうしようもないといってもいいだろう。
 何と言っても、この男がソーリをしている時に、
「消えた年金問題」
 が発覚した。
 もちろん、前からずっと続いてきたことなので、このソーリの責任ではないだろうが、こいつの時に発覚するというのは、何かの意思が働いているといってもいいのかも知れない。
 そんな時代を経ての、
「失われた30年」
 なのである。
 それを思うと、今の世の中が、どういう時代なのかということを、国民が自覚していないというのも大きな問題であろう。
 そんな、時代を最近気にするようになった橋爪は、この日、一人で私鉄の駅に向かった。
「こっちの私鉄は、本当に採集が早いよな」
 と思っていた。
「JRが最近、一時間近く終電を早めるという、あからさまな嫌がらせに見えることをやっているのに、ここの私鉄はさすが、殿様商売。こちらはさすがに、それほど終電を減らさなくても、JRとそんなに変わらない」
 ということであった。
 ただ、これは裏を返せば、
「これ以上、終電を減らせば、乗客や、周辺の店から大いに批判を浴び、全国ニュースにもなりかねない」
 ということになるというほどの、
「今までがひどかった」
 ということであろう。
 それを考えると、
「少し早く帰らないといけないな」
 ということであった。
「最終は、11時を過ぎて一つしかないくらいだよな」
 ということだったので、9時過ぎには帰ろうと思っていたのだ。
 最終が少ないということは、それだけ、最終に近づくにつれて、乗客が増えるということであり、気が付けば、
「9時台のに乗らないと、満員電車に乗ることになるかも知れない」
 ということであった。
 いくら、少しパンデミックが収まったっといっても、
「満員電車に乗るリスクは避けたい」
 と思うのだ。
 そもそも、なぜ、終電を早める必要がある? 電車が多ければ、それだけ客が分散するからいいはずなのに、要するに、パンデミックの流行を言い訳にして、
「自分の会社が儲からないことはしない」
 というだけのことなのだ。
 それだけ、やることがあざといということなのであろう。
 そんな、
「終電も近いが、それほど遅くはない」
 という電車に乗って帰っている途中のことである。
「誰かに尾行されているような気がする」
 と思ったのだった。

                 大団円

 その道は普段から通っている道ではあったが、いつもは、JRということもあり、久しぶりに夜にこの道を通るのは、ちょっと違和感があった。
 さらに、普段は飲むことのあまりない酒を煽っているということもあって、最初は暖かかったものが、駅を降りると、今度はほろ酔い気分が冷めてくるのだった。寒気も若干してくるようで、歩いている人の背中を見続けていると、
「寒いから、急いで歩いているつもりなのに」
 と思いながらも、まったく、急いでいるわけでもないかのようなのが、
「酔っているからなのか?」
 と思うのだった。
 相手の背中が遠ざかっているようにしか見えないのが、その証拠で、そう思って、全体を見渡すと、
「なるほど、どう見ても、急いでいるようには見えないな」
 と思えたのだった。
 だが、こちらの様子を見ている人がいることに、その時はまったく気づかず、
「夢にも思わなかった」
 というのが、本音だったのだ。
 前を向いて歩きながら、全体を見渡す気分になった時、思い出したのが、
「つり橋の途中で、急な風が吹いてきて、進むか戻るかの選択に、迫られてしまった時、どうすればいいか?」
 ということであった。
「行けばいいのか、戻ればいいのか、答えは最初から自分の中で決まっているはずだった」
 というのも、
「ちょっと冷静に考えれば、答えは一つしかない」
 はずのことであり、
「分かっているのに、どうして、再度考える必要があるというのか?」
 ということなのだった。
 そんなことを考えていると、
「まるで、背中に目がついているかのように見える」
 という感覚に包まれて、後ろを振り向くことなく、
「つり橋の向こうからこっちを覗いている姿が見える」
 と感じたのだ。
 こっちは、まっすぐに、
作品名:平均的な優先順位 作家名:森本晃次