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元ソーリ暗殺未遂

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「保母さんの資質ということ」
 を考えると、この投書も、まんざらウソだといって片付けるわけにもいかないと思ったのだ。
 しかし、それだけに、
「何かこの保母さんに、個人的な恨みのある人がいて、弁護士のところに投げ込んだのではないか?」
 と思ったが、少し怪しい気もした。
「なぜ、警察にいきなり投書しないのか?」
 ということであった。
 警察であれば、何もこんなまどろっこしいことをしなくてもいいのだが、ただ、この弁護士事務所に投書したということは、少なくとも、
「津山が、自分が犯人だ」
 といって、自首したことを知っていなければいけないだろう。
 マスゴミにまだ発表もしていない。あくまでもマスゴミには、
「初期捜査中」
 という程度の漠然とした話しかしていないのだ。
 それを考えると、
「この投書の出どころはどこだったのだろう?」
 という疑念が浮かんではきたが、指摘されたところを捜査するのは、警察としては当たり前のことであり、そこに変わりはなかったのだ。
 さっそく翌日に桜井刑事が問題の保育所に赴いた。そして、まずは、直接聞くよりも、まわりのウワサから聞いた方が早いと思ったのだ。
 というのも、最近は、
「保育園や、保母に対しての問題が、毎日のように起きている」
 ということであった。
「保育士と呼ばれる人たちが、教育と称して、拷問のようなことを子供にしていたというのだ」
 というのは、
「子供は自分で判断もできないし、言葉がまだ喋れないこともある」
 というのを分かっての、完全な確信犯で、
「保育士の免許をよく得ることができたな」
 ともいえる。
 もっとも、保育園であったり、昔、不良と呼ばれているような子供を、
「教育と称して、親がそこを信じて、子供を預けるということもあったが、
 かつての、どこかのヨットスクールのように、
「教育」
 という言葉をあくまでの建前として、実際には、何ともひどい行動を取っていたのであった。
 しかし、今回は、
「保育所」
 である。
 まだ、幼稚園に通うどころか、言葉もおぼつかないことで、意思表示をまともにできない幼児に対しての暴行なのだから、
「これ以上タチの悪いということはない」
 と言われることであった。
 そんな世の中に、ついに入ってきたのだった。
 実際に保育所というところ、どうしても、以前から慢性的な問題としての、
「少子高齢化」
 の問題とも絡んでいるので、本当はさらなる充実が望まれるところであった。
 これだけ、
「少子高齢化で、数十年後には、若者一人が高齢者を支えるような時代がやってくる」
 と言われているだけあって、
「子供を安心して作ることができるような世の中」
 を作る必要がある。
 政府は、そういう機関も作っているにも関わらず、実際に何をやっているのか、以前から、まるで当たり前のように、
「待機児童」
 などといって、まったく保育園としての機能がなされていない状況である。
 そんな状態で、認可保育園だけではなく、
「認可もされていない、モグリの保育園」
 というのも多く、さらに、ここ最近では、
「信じられない事故」
 あるいは、
「信じられない事件」
 が多発している。
 特にここ数年はひどいもので、社会問題というか、まるで、時代が逆行しているといってもいいだろう。
 今年に入ってから、本当に信じられないことばかり起こっているので、今年のトレンドが、
「保育園」
 ではないか?
 というくらいであった。
 今年は、特に春くらいから、秋口にかけてひどかったのが、
「園児の、保育園バス、置き去り事件」
 であった。
 ちなみに、ここでいう、
「保育園」
 というのは、幼稚園を含んでいるということも承知願いたい。
 幼稚園や保育園というのは、園児を送り迎えをするために、園児用のバス、つまり、マイクロバスで送り迎えをしていることが多かった。
 普通のバスと違って、そんなに大きなバスではない。普通、ちゃんと点呼さえしておけば、園児を下ろす時、バスの中に誰も残っていないかということくらい分かるはずである。
 そもそも、保母さんたちが、先生として、子供を見ているのだから、いないということが分かれば、おかしいと思うはずだ。
 何しろ、
「今日は、お休みします」
 という連絡がないのに、園児がいなければ、
「どうしたんだろう?」
 となっても、しかるべきではないだろうか?
 要するに、園児一人一人を自分が見ているという意識がないのだろう。
 それを思うと、置き去りにした人だけではなく、保母さんも、
「同罪」
 ということになる。
 そこまでいくと、
「バスの置き去りに関しては、連帯責任だ」
 と言われても仕方がないだろう。
 バスの中に置き去りにされた生徒は、夕方まで発見されることはなく、一日中監禁されたも同然のバスの車内で、脱水症状を起こして、ぐったりしているわけである。
 当然そのまま死んでしまったということだ。
「こんな信じられない事件があるんですかね?」
 というような雰囲気が漂っている中、半年もしないうちに、今度は他の保育園でも、
「生徒の置き去りによる、脱水症状での死亡事故」
 が起こった。
 もうこうなると、事故ではない。
「殺人事件だ」
 といってもいいのではないだろうか?
 謝罪会見でも、
「普段の人が休みだったので」
 とかいう言い訳を園長が吐いていたが、そもそも、それくらいの簡単なことをできない人間が、園長であったり、副園長である保育園というのは、一体どういうことなのか?
 言い訳記者会見をしている園長が、その日は、
「普段の人が休みだったので、自分が運転して」
 などといっているのだ。
 しかし、他に先生だって、同乗していただろうに、その人は一切出てこない。
「いいわけ記者会見を聞かされる身にもなってみろ」
 といってもいいだろう。
「どうして、謝罪会見というと、こんなにも醜いものを見せられることが多いんだ?」
 ということである。
 特に今年は、結構ひどい事件が多かった。確か、遊覧船が、沈没した事件もあり、いまだに、遺体も上がらない人がたくさんいるというではないか。
 確か、あれは、春頃だったので、すでに、半年以上が経過している。一時期、毎日のようにニュースでやっていたが、今ではほどんど誰もが忘れてしまっているようで、保育園バスの問題にしても、
「ああ、そういえば、今年のことだったか」
 という程度のものだっただろう。
 そんな、
「事故なのか、事件なのか分からない」
 という、言葉の上に、
「驚愕」
 であったり、
「信じられない」
 という言葉がつくような事件が多かったのだ。
 さらに、保育園や幼稚園、下手をすると、養護老人ホームなどと言われるところで、これは、突発的に起こったことではないが、
「いつものあれか」
 というように、頻繁に起こっていることであるが、最近は、特に、
「黙って見過ごすわけにはいかない」
 と言われるほどの状態が、頻繁に起こっていた。
 前述の、
「幼児虐待」
 という事件である。
 殴ったり、逆さづりにしたり、
 そんな事件である。
作品名:元ソーリ暗殺未遂 作家名:森本晃次