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元ソーリ暗殺未遂

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 最近では、ほぼ、一週間に数件のそういう事件が、全国で発生している。
 今までもあったのだろうが、一つ出てくると、どんどん出てくるという、まるで、
「ゴキブリ」
 のような状態は、きっと、今までなら、
「どうせ騒いだとしても、どうにもなるものでもない」
 ということで、誰も大きな声を上げなかったのだろう。
 しかし、一つが、
「大きな問題だ」
 ということになると、他の地域でも出てくるというのは、普通なら、
「ありえないことだ」
 と言えるだろう。
 下手をすると、
「下から話が上がっていく間、どこかでもみ消されてしまったのではないか?」
 という疑惑が出てきても無理もないだろう。
 いや、その説が一番大きいのではないかと思えてならなかった。
 それを考えると、保育園にしても、幼稚園にしても、擁護老人ホームにしても、今の時代では、絶対に必要不可欠なもので、下手をすれば、
「少ない」
「保母さんになり手がいない」
 という問題を孕んでいることから、問題のあるところを、
「潰せばいい」
 というわけにはいかない。
 もし、問題があったところに子供や老人を預けている人にとっては、
「他のところに預ければいいから、そんなところ、辞めてしまえばいいんだ」
 というわけにはいかない。
 辞めてしまうと、今度は、
「待機児童」
 にされてしまい、下手をすると、
「前のところ、どうして辞めたんですか?」
 と聞かれて、この保育園が、社会問題にまで発展していないところであれば、辞めた理由を、
「言い訳」
 としてしか、聞かれないことにあるだろう。
 しかし、そんな状態の保育園と、今回の政治家の暗殺未遂事件とどのように関係があるというのだろう?
 何しろ、容疑者は自首してきているわけだし、弁護士が持ってきた、投書なるものを、そのまま信じるとすれば、どこか、辻褄の合わないことくらいはあるだろう。
 それを思うと、今回の事件自体が、どこか、すべてにおいて中途半端な気がする。
 襲撃事件で、犯人は、襲い掛かったうえで、殺害未遂。それなのに、逃げおおせたというのは、どういうことなのか?
 あるいは、逃げおおせたにも関わらず、わざわざ自首してくる。
 さらに、自首してきたくせに、黙秘権で何もしゃべろうとしない。弁護士が来たから何かを話すかも知れないとも思ったが、どうも、そんな雰囲気でもなさそうだ。
 さらに、弁護士が謎の、投書を持ってくる。そこには、最近何かと物議をかもしている保育園の保母さんのことが書かれている。今度の事件に、何か関係があるということなのだろうか?
 そして、その投書の中には、ひとこと、不思議なまじないのような言葉が書かれていた。
「解けない雪というのは、あるのだろうか?」
 ということであった。
 単純に考えると、今の社会のことを、
「解けない雪」
 と表現しているのではないか?
 特に、
「本当に解けない雪があるわけはない」
 というリアルな思いと、
「実際の世の中を雪に例えると、今度は、解かせる雪があるのなら、教えてほしい」
 と思うくらいであった。
 桜井刑事は、今回の事件を、少し冷静になって、後ろから見てみることにした。
 すると一番に感じたことが、
「なぜ、未遂だったのだろう?」
 ということであった。
 まるで、最初から逃げることに全集中していたかのようで、それを思うと、殺害自体が目的ではなかったと思える。そうなると、逆に、
「殺害未遂が本当の目的ではなかったか?」
 と考えるようになったのだった。

                 大団円

 そういえば、昔からの推理小説、探偵小説の類で、特に、連続殺人事件などの場合は、その中で、
「一人殺されない人がいれば、その人が犯人ではないか?」
 というような、法則のようなものがあったではないか。
 殺されなくとも、襲われれば、
「犯人から除外」
 ということである。
 少し違うたとえであるが、
「犯人が、証拠になるものを隠すとすれば、どこがいいか?」
 と聞かれた時、
「一度警察が探したところが一番安全だ」
 とこたえるだろう。
 最初こそ、別のところに隠しておいて、警察が捜索を始めてから、その日の捜索を打ち切った時、こっそり、夜にでも隠していたところから持ち出して、一度警察が探したところに隠してしまえば、警察は、二度と同じところを探さないだろうから、一番安全な隠し場所だというのだ。
 つまり、警察というところは、
「一度探したところ、あるいは一度容疑者から外した相手というのは、よほどのことでも出てこない限り、頭の中から外すことになるだろう」
 それだけ、
「いかにも公務員」
 というような頭の固さと、それでいて、
「自分たちは間違えていない」
 という思い込みからくるものがあるということになるのであろう。
 保育園で、問題の保母さんを調べてみると、
「一児の母である」
 ということが分かった。
 シングルマザーということであり、
「その子の父親が誰なのか?」
 ということが、事件に関係あるのではないか?
 とも思えたのだった。
 その子供というのは、現在、23歳で、高校を卒業してから、家の近くのガソリンスタンドで働いているという。
 勤務状況は真面目で、人当たりもいいので、先輩からも上司からも、彼を悪くいう人はいなかった。
 そんなことを考えていると、
「この事件には、子供の問題が絡んでいる」
 ということであった。
 事件がある程度急転直下したのは、山根元ソーリが、ある程度の意識を取り戻した時のことだった。
「まだ少し意識が曖昧で、余計なことを口走るかも知れませんが」
 と医者は、一応注意をしたが、マスゴミには、そんなことは関係ない。
 やつらは、本当にハイエナで、
「死にさえしなければ、いくら病み上がりでも、インタビューくらいできるだろう」
 ということで、病人だろうがお構いなく、取り囲むのであった。
 医者も、さすがに、
「いい加減にしてください」
 といって怒り出すのだが、肝心の元ソーリは、自分のまわりで何が起こっているのか分からないといった状態で、
「ポカーン」
 とした状態だったのだ。
「本当にいい加減にしてくれないなら、インタビューはここで打ち切ります」
 と医者は強めにいうのだが、
「元ソーリの方は、そんな感じではないようですが?」
 と女性記者がいうと、
「そんなことはありません、まだ病み上がりなので、意識が朦朧としているだけです。本当にいい加減にしてください」
 と、医者の方も切れかかっているのだった、。
 そんな状態の中で、
「皆さん、どうされたんですか?」
 と、自分が囲まれているのを分かっているのかいないのか、肝心の元ソーリは、まわりで何が起こっているのか分かっていない様子だ。
「どうされたって、山根さんにインタビューに来たんですよ」
 と、一人の記者がそういうと、
「インタビュー私に?」
 というではないか。
「この間の事件の話を少し聞かせていただきたいと思いまして」
 と一人がいうと、元ソーリは黙ってしまい、
「皆さん、すみませんが、患者さんは、今突発的で一時的な記憶障害に陥っているんですよ」
作品名:元ソーリ暗殺未遂 作家名:森本晃次