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タイトルの「悪魔」

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 昔だったらありえないことを、最初は数人だったはずのものが、ここまで増えて、ブームになったということは、成田離婚の発想は今に始まったというわけではなく、昔から新婚旅行から帰ってきたタイミングでの離婚が頭にちらついた人は、一定数いたのではないかと思うのだった。
 あくまでも、昔は、体面というものを重んじていた時代なので、
「外見を重視」
 という考えがあったのも事実だろう。
 大谷は、子供お頃から両親から、
「身だしなみをキチンとしなさい」
 ということばかりを言われてきた。
 どうやら、
「身だしなみをキチンとしないと、人から舐められる」
 という発想だったようだが、大谷は逆を考えていた。
「身だしなみばかりを気にしていても、中身の人間がしっかりしていないと、却って舐められるんじゃないか?」
 と思ったからだ。
 ただ、両親の考えは、実は祖父祖母の考え方を完全に踏襲しているからであった。
 昭和の時代というと、
「ものがない時代」
 だったわけで、そんな時代で、しかも、金がなくて、高校にも通えなかったという祖父の時代であったのだが、
「恰好だけでも、表に出していれば。まわりは、尊敬してくれる」
 とでもいうような、明らかな時代錯誤の考えを、なぜか踏襲したのだった。
 そんな父親に反発するということからなのか、
「身だしなみ」
 というものに、まったく無頓着になってしまった。
「身だしなみを整えたって、中身がついてこなかったら、却ってバカにされるだけじゃないか?」
 と思うのだった。
「ボロは着てても、心は錦」
 などという流行歌が、昭和の時代にも流行ったというであないか?
 つまり、
「外見ばかりを見繕ったとしても、中身が伴っていないと、却ってバカにされる」
 というものだった。
 ただ実際には、
「身だしなみで身体を引き締めると、気持ちも引き締まって、服装にふさわしい男になろうと努力をする」
 というところであれば分かるのだ。
 しかし、あくまでも、身だしなみということを、説教するように、頭ごなしにいわれては、反発するしかないではないか。あまり頭を抑えつけるようにすると、子供が反発するということを、大人は気づかないのであろうか?
 そんなことを考えると、
「父親と、俺の考えを平均すれば、ちょうどいいところに落ち着くんだろうな?」
 と思うのだった。
 自分が大人になって子供に対して、どっちを望むだろう?
 結局、父親のような教育方針になるかも知れない。
 ただ、それも、
「自分が結婚して、子供が生まれて」
 というのが前提である。
 本当に結婚するかどうか、まったくの未知数であった。
 処女というものは、
「女性の節目」
 と考えるのは、今も昔も変わらないだろうが、結局、大切かどうか、いつ失うかどうかという感覚は、疑問とともに、次第に揺らいでいるものなのかも知れない。
 大谷という男は、今でいう、
「草食系男子」
 だった。
 平成の頃は、
「結婚しない男」
 というのが増えてきた時代であったが、最近になると、
「草食系男子」
 ということで、
「性欲のない男性」
 というのが増えてきたようだ。
 昭和や平成の頃にも、
「性欲よりも、女の子と一緒にいるだけでいい」
 という男性もいたし、年齢を重ねて次第に、性欲が少なくなってくる男性も少なくはなかった。
「紳士的」
 とも言われていた時代だっただろうが、今になると、それは、却って、
「気持ち悪い」
 と言われるようになってきていた。
 特に、性風俗のお店などでは、
「そういう人が増えると、お客が減る」
 と思っているスタッフもいたりして、切実な問題なのかも知れない。
 性風俗のお店というと、昔であれば、
「借金があるから、イヤイヤ働いている」
 という、まるで昔の、
「口減らし」
 のようなイメージが強かったが、
 今では、
「性欲が強いから」
 という女の子も増えてきた。
 普段は、
「昼職」
 をこなし、
「開いた時間で、風俗嬢になる」
 という女の子も少なくない。
 いや、今は、そっちの方が主流ではないかと思えてきた。
 SNSなども発達し、昔であれば、ネットのない頃などは、来店してから、受付で、パネルを見せられて、女の子を選しかなかったが、今ではネットのおかげで、
「ネット予約」
 もできたりする。
 しかも、女の子が、写メ日記なるもので、自分のことをアピールしたり、ツイッターに登録しておけば、双方からの会話も可能になったりする。それだけ、双方向側からの、アプローチが可能になったりするのだった。
 だが、
「メリットもあれば、デメリットもある」
 というのは、ネットで情報を発信することができるかわりに、匿名でいろいろな情報も流せる。
 その中には誹謗中傷の含まれていて、それによって、社会問題に発展したり、下手をすれば、病んでしまって、重度の躁鬱症になったり、自殺まで試みる人もいたりする。メリットとデメリット、このバランスが多いに問題なのである。

                 大団円

 大谷は、ネットに嵌るのが遅かった。パソコンも、昨年までは、仕事で使うくらいで、それ以外のSNSもゲームもしていなかった。
 ゲームに関しては今でもしていないが、SNSに関しては、ツイッターをやるようになった。
 そのきっかけは、スマホデビューをしたからであって、昨年までは、
「いつ、どこから掛かってくるか分からない」
 というだけで、持っていた、ガラケーが主だったのだ。
 電話もメールも使わないので、ただ、基本料金が引き落とされるだけ、ただ、それでいいと思っていた。
「スマホに変えても。別に何かをするというわけでもないしな」
 というのが、その理由だった。
 だが、実際に変えて、ツイッターに、近所の神社仏閣や、きれいな植物などが眼に着けば、シャッターを切って、それを上げていただけだった。それでも、フォロワーというのは着くもので、ただ、写真だけを撮っているだけなのに、あれよあれよと、フォロワーが増えていった。
「友達がいっぱいできた」
 ということで、自分の中で、有頂天になっていたのだった。
 ただ、リアルな友達が増えただけではないので、この有頂天が、幻の類ではないかと思ったのだが、
「リアルな友達ができたとして、そこに何があるというのか?」
 とも思うので、結果、何が楽しいということもなかったのだ。
 そんな中で、最近、性風俗をしている女の子とツイッターの中で仲良くなった。
「一度、近いうちに遊びに行ってもいいな」
 という軽い気持ちがあった。
 性風俗の店に行くことに関しては、別に違和感などなかった。自分から行きたいという気持ちはないが、
「隠れて行かないと人にバレたくない」
 というような思いもなかった。
 ツイッターで話をしている分には、別に普通の女の子だし、変にこだわりを持たないから、彼女も自分の相手をしてくれていると思っていた。
 どちらかというと、遠慮気味ではあったが、会話にそんなものはなかった。
「分からないことは何でも聞いて」
 といってくれることで、普通に質問できるようになった。
作品名:タイトルの「悪魔」 作家名:森本晃次