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死体発見の曖昧な犯罪

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 下手をすれば、このまま何もなければ完全犯罪なのに、それを遂行しようとして、
「まったく計画にない殺人を犯さなければならない」
 などということになれば、いくら完璧な計画であっても、いや、むしろ完璧すぎると、一か所に穴が開いてしまうと、どんどん水が漏れてくるということになるに違いない。
 それを考えると、
「事件は、根本から狂ってくる」
 ということになる。
 特に前は、15年でよかったが、今は時効がないのだから、一生秘密を持ったまま生きなければならない。そんなことが可能だというのだろうか?
 これが、
「交換殺人」
 というものを、
「リアルではありえない犯罪」
 ということになるということの証明であろう。
 これも、
「交換殺人ということがバレてしまうと成り立たない」
 ということの裏返しであり、
「そもそも、犯行計画時代に無理がある」
 ということなのだ。
 実際に、リアルの犯罪で、交換殺人などというのを聞いたことがない。もしあったとすれば、
「探偵小説ではあるまいし」
 ということになるのだ。
「密室殺人にしても、交換殺人にしても、物理的に、精神的にありえないという意味では同じなのではないだろうか?」
 ということであった。
 そんな探偵小説において、
「確かに、交換殺人というと、探偵小説でしかないな」
 ということになるのだ。
 今回の事件で、もう一つ分かったことが、被害者についてであった。
 被害者の、身元は、宮武という人物であり、彼が、地元大手の、丸和百貨店と呼ばれるところの、
「婦人服売り場主任」
 であるということが分かった。
 丸和百貨店というと、老舗百貨店で、最近、やっと老朽化していた建物を建て替えるということで、本店としては、
「休業状態」
 となった。
 駅ビルの中にあったのだが、駅ビル自体を立て直して、新しい駅にする時、再度、丸和百貨店が入るということが早々に決まったようで、ただ、一つ言えることは、大体の都会の駅を建て替える時、そこに入っていたメインの百貨店は、入れ替わることが多いという。
 実際に近くの県でも、元々は言っていた百貨店は別の場所に移ったということだったが、どこまで信憑性のある話なのか分からないが、駅が立て替える時、当然鉄道会社のお金になるので、そこにテナントとして入るところには、かなりの家賃を吹っ掛けるようだ。
 半世紀位前からあった老舗百貨店が、駅ビルに入った時は、まだ、昭和の頃だったので、その頃というと、
「国営鉄道」
 だったはずだ。
 国からお金が出ていたこともあり、それほど、高額な家賃ではなかったであろう。
 ちなみに、そういう甘い考えが経営を圧迫し、結果、借金が膨れ上がり、
「民営化」
 の魁になる羽目になったのであろう。
 何しろ、昔の国鉄は、
「従業員全員に、国鉄利用の無料パス」
 というものを配布していたくらいだ。
 そんなことをしていれば、借金が膨れ上がるのも当たり前というもので、それから平成に入り、民営化され、地域ごとに、新しい民営会社でやっていたのだが、
「考え方は昔の国鉄のまま」
 しかも、そこに持ってきて、利益優先主義となったため、本来の鉄道会社の理念を忘れ、さらに、
「表には厳しくて身内には甘い」
 という体制に持ってきて、もっとひどいことに、
「サービスは減らすが、客のために何もしない」
 という、とんでもない会社になってしまったのだ。
 だから、人身事故などが起きても、
「人身事故だからしょうがないですよね。ははは……」
 などというバカな駅員がいたり、電車がなかなか来ないと思って駅の改札口奥の事務所に事情を聴きに、
「電車来ないんですが、どうしたんですか?」
 と聞いてみて、
「ああ、気が付きませんでした」
 というのであれば、まだしも、何と、遅れていることを知っていたのだ。
「ああ、遅れているようですね。でも事情が分からないから」
 というではないか。
 それを聞いて、キレていた客がいたが、当たり前のことだと思った。
「お前らバカか、何で構内放送をしない?」
 と聞くと、
「遅れている事情が分からないので」
 と平気で答える。
 客はさらにキレて、
「アホ、お前たちの事情は知らんわい。こっちは遅れているのが分かれば、いくらでも手の打ちようがあるんだ。こっちは、20分近くも、おかしいと思って待ってんだぞ。それを無視していいと思っているのか?」
 というと、さすがに駅員も、何も言い返せないようだったが、それを聞いて、
「本当に当たり前のことだ」
 と言えたのだ。
 もう30数年も経っているのに、考え方は、昔の国鉄同様の、
「親方日の丸体制」
 ではないか?
 そんなことを思うと、鉄道会社というものが、どれほどいい加減なものか分からない。
 しかも、この土地には、もう一つ、私鉄があった。
 ここは、昔から、
「N鉄」
 というのが走っていて、ここも、国鉄と変わらずの、
「殿様商売」
 を行っていた。
 ここは、昔、そう、今から40年くらい前まで、市電ということで、路面電車が通っていた。
 それが、他の大都市にあやかってなのか、地下鉄を新設するということで、
「路面電車の廃止」
 が決まったのだ。
 その路面電車の敷地の権利を持っていたのが、
「N鉄」
 だったようで、ここから、F市がその跡地を、いわゆる、
「二束三文」
 で買い取ったという。
 それも一つの理由ということで、昔から、
「F市は、N鉄に頭が上がらない」
 と言われていたようだ。
 だから、まだ、昭和だった頃から、
「都心部から、10キロ圏内くらいをすべて高架にする」
 という計画があった。
 車の量が増えてきたことから、
「開かずの踏切」
 と呼ばれる場所が、この計画内に、6つくらいはあったようだ。
 それこそ、1、2駅の間に一つは必ずあり、朝の通勤ラッシュの時など、ひどい時は、踏切が閉まってから、10分以上開かないなどということがあり、
「開いたとしても、数台しか先に進めないので、一度踏切に引っかかってしまうと、本当に混む時間帯に差し掛かると、30分くらい、踏切を渡るために時間を要する」
 などということは当たり前にあるのだった。
 そんな踏切を解消するのに、30年以上も前から立ち退きなどを行い、工事も進めてきたのに、やっとすべてが高架になり、当初の計画が達成されるまで、40年近く掛かったことになる。
 つまり、当時40歳だった人は、80歳で、小学生だった子供が、もう50歳くらいの初老だというわけだ。
 普通なら、こんなに遅くなることなどありえないが、
 聞いた話によると、
「E鉄が金を出したくなくて、F市に金を出させようとするので、自治体というと決定までにいくつもの難関があることで、こんなに時間が掛かった」
 ということであった。
 そもそも、こんなひどい状態になってしまったのは、
「元々、路面電車の土地を、タダ同然でもらい受けたことから来ている」
 という話も聞くので、
「一体、どうなってるんだ?」
 と思えてくるのだ。
「贈収賄などというのが、蔓延っているんだろうか?」
 とも思えるし、そんなに簡単に、いくわけもない。
作品名:死体発見の曖昧な犯罪 作家名:森本晃次