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遺伝ではない遺伝子

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 そんなことを考えていると、夢が、本当に幻なんだと感じるのも、無理もないことのように思えるのだった。
 目が覚めるまでというのは、
「夢って結構長かったよな」
 と感じているようだ。
 まだまだ夢の世界の記憶が残っているのだろう。
 しかし、夢から覚めてしまって、
「夢があっという間のことだったんだ」
 ということに気づくと、その夢の内容をほとんど忘れてしまっている。
 しいていえば、
「忘れていない夢があるのだ」
 とすれば、それは、
「怖いと思うような夢を見た」
 という時だ。
 その怖さというのは、オカルトのような、
「サイコパスな夢」
 であったり、幽霊や妖怪などが出てくる、
「ホラーと呼ばれるもの」
 であったりと、様々だといえるのではないだろうか?
「恐怖」
 というのを一言でいうと、
「ホラー」、
「オカルト」
 に別れるだろう。
 ホラーというと、以前から、幽霊や妖怪のような、
「実態はないが、そこには存在している何かを感じる」
 というようなもので、ある意味、形のようなものがあるものであって。
 オカルトというと、ホラーとは違い、
「都市伝説であったり、人間の心理に、グイグイ食い込んでくるというような気持ち悪さ、あるいは、昔からの言い伝えと言った、何となく漠然としたもの」
 というイメージがあったのだ。
 だから、
「ホラーとオカルトのどちらが怖いのか?」
 と聞かれると、一概には言えるものではないが、
「ハッキリとしていない分、オカルトの方が怖い」
 と、鍋島は思っていた。
 確かに、妖怪や幽霊が怖くないというとウソになるが、しょせんは、
「この世に存在していないだけの、自分たちと違う世界で、普通に生きている生物のようなものではないのだろうか?」
 と考えていた。
 ただ、あくまでも、そう思うということは、実際には、
「信じていない」
 ということの裏返しなのかも知れない。
 そういうことを自分から考えるということはあまりしなかったように思えることから、今回、この占いに、興味が湧いたということかも知れない。
 占い師の顔が見えないことが、この場で、
「何が恐ろしい」
 と言われて、ハッキリと答えられることであろう。
 そう思うと、何が怖いのか、自分でもよく分からない状態になっているということが分かった気がした。
 鍋島は、占い師の前に出ると、一瞬、夢の中に入った感覚と、夢から抜けた感覚を、同時に感じた気がしたのだ。その感覚は、不思議と初めてではないように思えたのだが、どこで感じたのか、正直思い出せないが、先ほど、
「夢のようだ」
 と感じた思いに似ているような気がする。
 占い師は、今鍋島が感じたことを看破したのか、ニコッと笑った気がした。
「この人、分かっているんだ」
 と思うと、急に怖くなった。
「逆らわない方がいいかも知れない」
 と感じた。
 何に逆らわない方がいいのかというのは、ハッキリとしないのだが、明らかに、
「この占い師の目」
 には、逆らってはいけない」
 ということが分かったのだ。
「そもそも、占いなどというのは、新興宗教と同じで、まやかしでしかない」
 と思っていた。
 まやかしというものは、
「信憑性のないもの」
 と、漠然と考えていたのだが、最近では、
「そんな信憑性のないものには、説得力などあるはずもなく、宗教団体として、布教活動など、明らかに、欺いているとしか見えない」
 としか思っていない。
 新興宗教においては、自分だけが言っているわけではなく、実際の被害者がたくさんいて、
「霊感商法」
 であったり、
「強制的に入会させたり」
 と、その威圧は、
「知る人ぞ知る」
 という状態であった。
 被害者たちが名乗りを挙げても、なかなか政府も動いてくれない。よほどのことでもなければ、話が一歩でも前に進むことはない。
 その、
「一歩」
 というものが見えてきているにも関わらず、政府が動き出してから、国会にいろいろな法案が上がり、さらに審議から、発令されるまで、どれだけの時間が掛かるというのか。
 もちろ、他の案件に比べると、かなり早いのだろうが、刻一刻と被害者が増え続けている中で、どれだけ、時間との対決だということを分かっているのか、実に疑問だったりするのだ。
 特に、今回は、
「元ソーリの銃撃事件」
 というのが起こったことで、浮かび上がってきた
「2世信者による教団への復讐銃撃事件」
 だった。
 元ソーリがどこまでその教団と関わっていたのかまでは、本人が死んでしまった以上、
「死人に口なし」
 であるが、そもそもこの銃撃事件というのは、
「参議院選挙」
 での遊説席で起こった事件だったのだ。
 最初は、
「政治への不満などによるテロ行為」
 かと思ったが、実は、犯人が宗教団体の二世であり、
「親が、宗教にのめりこみすぎて。自分が不幸になった」
 ということで、半分は、
「逆恨み的な犯行だ」
 と言われた。
 もちろん、元ソーリがどこまで教団に関わっていたのかということが分かっているわけではないので、ソーリが死んでしまったことで、今のところ闇の中であるが、逮捕された男の供述や、教団への捜査から明らかになってくるであろう。
 ただ、相手が宗教団体だということで、簡単にはいかないだろう。
 そのことは、政府の方も分かっていることで、今まで棚に上げてきた。
「教団に対しての捜査」
 を真剣にやることになるだろう。
 しかし、たちが悪いのが、その教団から、政府与党の政治家や、政府内の大臣たちが、かなり政治献金を貰ったり、団体の活動に関与したりと、捜査へのネックがかなり深いところにあるようだった。
 元々その、
「教団に倒れたソーリというのは、賛否両論ある人」
 ということであった。
 そのソーリというのは、一度、十数年前にもソーリとして君臨して、その頃は、まだ、
「首相」
 という言葉を賜ってもいいくらいの政治をしていたのだが、
「都合が悪くなると、病気を理由に、病院に逃げ込んだ」
 という前科があり、その時に、ソーリも辞任したのだ。
 その間に、(というか、十分にその後のことに関しての罪は深いのだが)政権交代が起こった。
 それはそうだろう。
「デストロイヤーとでもいうべき2代巨頭が、1人のつなぎ首相を挟んで君臨した」
 のだから、瀕死の人間に、とどめを刺したようなものである。
 結局、政権交代が起こったのだが、せっかく政権についた連中が、これも絵に描いたようなポンコツで、普通なら、
「いきなりやったことのない政権を任されたのだから、もう少し様子をみよう」
 といってもしかるべきなのだろうが、ほとんどの国民が、
「それどころではない。こんなやつらに政治を任せておくと、亡国へまっしぐらになってしまう」
 ということで、
「一刻を争う」
 というほどの自体になり、またしても、
「年金を消したあの政党」
 に仕方がないから、戻すしかなかった。
「じゃあ、首相は誰が?」
 ということになると、結局、
「一度病院に逃げ込んだあいつしかいないんだ」
 ということで、あの男が復活することになる。
 しかも、
「学園関係の問題」
作品名:遺伝ではない遺伝子 作家名:森本晃次