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マルチリベンジ

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「有名選手は、逆指名をすることにより、意中の球団に入団しやすくなった」
 というのも事実だろう。
 ただ、それから紆余曲折があり、今は逆指名というのはやっていないようだ。
 そもそも、ドラフト会議というのは、以前は、シーズン終了後のポストシーズンと呼ばれる時期に行われていたが、今は、
「日本シリーズ前」
 という中途半端な時期に行っている。
 なぜそんなことになったのかはよく分からないが、ファンとすれば、
「ドラフト会議があると、日本シリーズが、まるでエキティビジョンマッチにしか見えない」
 といってもいいだろう。
 さらに、ドラフトというと、枠が増えたのも、特徴だった。
 いわゆる、
「育成枠」
 というものが増えたのだ。
 これからの選手を、チームで育成するという意味で、支配下選手ではないが、有望選手は試合化選手になれるという意味で、チームによっては、
「三軍」
 という位置づけで、実践としては、学生野球のチームであったり、社会人クラブチーム、さらには、各地の独立リーグと呼ばれるクラブチームとの対戦などである。
 もちろん、彼らの中には、支配下選手になってすぐに、
「エースの階段を昇った選手」
「ホームラン王になった選手」
「首位打者を獲得した選手」
 などと、かなりの活躍をした選手もいた。
 そういう意味で、
「ドラフトにおける育成指名の制度は、大成功ではないだろうか?」
 と言われている。
 逆にいえば、
「ドラフトでの改革の中で、成功したといえるのは、この育成制度しかないのではないだろうか?」
 ともいえるだろう。
 また、プロ野球を取り巻く環境として、前述の、
「独立リーグ」
 というものができたのも大きかっただろう。
 位置づけとしては、アマチュア野球の中で、
「プロ選手を目指す選手を育成する」
 という目的を持ったという意味で、出現は大きなセンセーショナルを呼んだものだった。
 学生野球などから、ドラフトにかからなかった選手が、プロを目指して、そのワンクッションとして所属していたり、逆にプロ球団に所属していたが、球団側から、
「来年の契約は行わない」
 という最後通牒を言い渡され、中には、転職を考える選手もいるだろうが、
「現役続行」
 というものを強く望む選手もいる。
「いや、現役続行を望む選手の方が、圧倒的に多いのではないだろうか?」
 と言われている。
 まずは、他球団から声がかかるのを待って掛からなければ、シーズン終了後に、同じように、球団側から、
「最後通牒」
 を言い渡され、現役続行に未練のある選手は、そこで、
「トライアウト」
 というものを受けることになる。
 そこで契約をしていいという球団があればいいのだが、そこで落ちた選手は、外国、特に、韓国、台湾のプロ野球を目指すという選手もいるが、独立リーグで実績をあげ、またプロと、契約を結べるような努力するという選手も多いだろう。
 そういう意味で、プロ野球を中心とした野球というものが、膨らんできたといってもいいだろう。
 昔は、トライアウトなどというのもなく、各球団に自分を売り込んだりして、一般的には、自費でそのチームのキャンプに参加し、指揮官たちがその合否を決めるということが、自由契約となった選手の唯一といってもいい、プロでの現役続行だった。
 昔は、アマチュア野球と、プロ野球との間での確執がかなりあり、その溝は深かったことで、
「プロ球界に関わった選手、監督スタッフは、すぐに、アマチュア野球をするということはできない」
 というのが通説だったが、今では、独立リーグなどというクラブチームがあることで、選手が、プロ野球復帰に向けて、
「浪人する」
 ということはなくなったのだ。
 独立リーグ制というのは、結構いいものなのかも知れない。
 特にチームとしては、下からと上から同時に入団してくるのだから、その強みはあるというものだろう。しかも目的が、
「プロ選手の養成」
 ということなのだから、選手層が厚いということは、それだけ選手も切磋琢磨するということで、育成という意味では、いいことなのだろう。

                 浦島伝説とSF

 学生野球や、社会人で、
「実力は認められているが、ドラフトにかからなかった選手などが、所属するチーム」
 ということ、さらに、
「プロ球界を一度、解雇という形になったが、カムバックを求めて、浪人期間中の選手」
 ということで、それぞれに、同じものを目指す同志として、刺激し合っていることだろう。
 プロからきた選手は、アマチュアを見て、プロ入団当初の新鮮な気持ちを思い出したり、逆に鳴り物入りで入った選手は、その新鮮さがなかったことで、いまさらその思いを抱けたというのは、精神的にも楽になったかも知れない。
 アマチュアから来た選手は、
「ドラフトから漏れた」
 ということはショックだったかも知れないが、それでも、浪人のような形で受け入れてくれる独立リーグがあるのはありがたかった。
 実績を上げて、再度ドラフトにかかるかも知れない、
 また、プロのスカウトの目に留まることで、自由契約ができる可能性だってあるわけである。
 さらには、
「解雇されたとはいえ、元々プロの選手を目の当たりにすることで、プロ選手としての考え方であったり、練習方法など、盗むいいところはたくさんあるだろうから、この機会にそこに触れられるというのは、将来において、財産となることだろう」
 といえるのではないだろうか。
 選手として活躍できず、結局、野球界から退いてしまったとしても、ここで培った。社会人としての考え方は、次の道でも生かされるだろう。
 チームによっては、社会人としての常識などを教え込むところもあるようで、クラブしーむでありあがら、プロになれなかった人のために、社会人としての、最低限のマナーやモラルくらいは教えているに違いない。
 今まで、プロ野球の世界であまり活躍できなかった人であったり、活躍はしたが、途中、ケガなどがあって、それ以上の道を模索することができなくなったことで、野球界を去ることになった人が、
「何かの犯罪を犯す」
 ということは、ちょくちょく耳にしたものだ。
 そのたびに、言われてきたことは、
「プロ野球選手は、学生時代から、野球しかしていなかったので、一般常識的なことには、とにかく疎い」
 と言われるのだった。
 確かにこの問題は昔からあった。
 前述の、高校生などが野球留学で、特待生として入ってきたはいいが、結果として、ケガなどをして、学校側から、
「ボロ雑巾のようにされて、やめなければいけなくなった」
 などという話が、絶えず発生していて、非行問題なあどに発展するというのも同じようなもので、
「野球留学というのは、野球ができてなんぼ」
 ということだったのだ。
 つまり、
「野球留学なんて、羨ましいだけで、俺たちには関係のないことだ」
 と、普通に入学し、普通に学業に専念している生徒は、やっかみすら感じていただろう。
 しかし、実際にケガをしたりして、いきなり、特待生制度を外された生徒はたまらないだろう、
 だが、そんな生徒を、
「可哀そうだ」
作品名:マルチリベンジ 作家名:森本晃次