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マルチリベンジ

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 ただ、これは一歩間違うと、痺れを切らして攻撃をしてしまうと、相手も報復してくる。つまりは、
「核ミサイルの撃ち合い」
 ということになり、結果は言わずと知れているだろう。
 実際にそんな映画はいくつもつくられたし、マンガにも小説にもなったことであろう。
 核兵器に限らないが、ほぼ拮抗した力を、お互いの抑止力に使うということは、理屈ではわるいことではないのだろうが、実際の緊張状態というのは、なってみなければ分からない。
 そんな時というのは、えてして、想定外のことが起こるというもので、緊張に耐えられなかった隊員が、核の発射ボタンを押すということもないとは言えない。
 だから、二重三重の防護柵は取っているだろう。
 一つのボタンだけでは発射は不可能で、3つくらいのボタンを押さないと、発射できないという状態だ。
 もし、例外的にできるとすれば、
「敵対国がミサイルを発射した時の、報復だけであろう」
 つまりは、こちらから、セキュリティを無視しての発射というのは、
「自国の滅亡」
 を意味しているということであろう。
 だからこそ、
「血を吐きながら続けるマラソン」
 なのだ。
 緊張がいつ、暴発するか分からない。そんな緊張も長くは続くはずもない。
 第二次大戦から、ソ連の崩壊までの、約半世紀近くも、よく緊張に耐えてきたものだ。
 それまでの間に、
「朝鮮戦争」
「キューバ危機」
「ベトナム戦争」
 と、幾多の危機的なことはあったが、直接対戦はなく、あくまでも、
「代理戦争」
 ということだったではないか。
 それを思うと、
「血を吐きながら続けるマラソン」
 で、一体、両国はどれほどの血を吐いて、さらに、他の国が置いていかれたかのように感じたのかということであった。
 核戦争というものが、
「抑止につながる」
 という神話が崩れたのが、キューバ危機だっただろう。
 アメリカを始め、ほとんどの人が、
「全面核戦争」
 という危機を見ることになったのだった。
 そんな時代から今で、約60年、世界は本当に成長したといえるのだろうか?
 核開発のためか、対話を狙ってか、ミサイルを撃ち続けているところもあるのだが、実際の目的はどこにあるというのか、実によくわからないところであった。
 話が逸れてしまったが、高校野球で、評判になった投手がいて、その投手が、実は、
「両手利き」
 ということで、右投げも左投げも可能な投手で、しかも、
「高校野球選手権大会」
 で、全国優勝を成し遂げたのだった。
 元々、
「高校球界トップの剛速球投手」
 という触れ込みがあった。
 そういう意味では、
「両手投げ」
 というところは、それほど有名ではなかったが、実際に、全国大会で、両手投げをやってのけると、翌日のスポーツ新聞ではトップであった。
「戸次投手。変幻自在の投法。剛速球だけではない天才投手」
 などと新聞には書かれて、大きな話題を呼んだ。
 しかも、全国大会の中で、球速も、160キロ代のボールをボンボン投げ込んでいた。
 元々は右投げで、左は、
「相手が左バッターの時に、たまに使うくらい」
 ということであったが、左の威力もなかなかなもので、左でも、150キロ級のボールをどんどん投げこめるようであった。
 もちろん、そんなものを見せられれば、プロのスカウトも、大変なものだった。
 彼がそれまで左投を披露しなかったのは、
「地区予選のようなところであれば、右だけで充分に通用する。秘密兵器になるようなことを、何もそんな地区予選で、曝け出すことはないだろう」
 ということであった。
 実際に、右投げだけで、しかも、ほとんどストレートばかりで、予選大会では、ノーヒットノーランを2回達成していた。
 地区予選の7試合をほとんど一人で投げぬき、そのうち2試合がノーヒットノーランというのは、すごいものだ。
 バッティングの方も結構いいようで、地区予選でも、全国大会でも、合わせて、3本のホームランを打っていた。
 スカウトの中には、
「打者としての彼もいいな」
 ということで、打者としてしかみていない球団もあったようだが、本人は、
「あくまでもピッチャー」
 ということで、そこだけは譲れないと思っていた。
 高校卒業してからの進路に関しては、本人の意志として、
「とにかくプロ」
 ということであった。
 しかも、入団するのに、どの球団がいいという意識はなかった。
「指名してくれるのであれば、喜んでいきます」
 と口では言っているが、本当は好きな球団がないわけではなかった。
 実際に、ドラフト一位で、案の定、12球団のうち、8球団までが競合するという、かなりの倍率だったが、彼を指名した球団は、地味な球団で、どちらかというと任期はなかた。
 しかも、優勝からはかなり遠ざかっていて、戸次が見ていても、
「ああ、これは、負け癖がついてるな」
 という思いはあったのだ。
 だから、正直迷ったが、入団をきめた。
「公約だったからな」
 と、どこにでも行くと言った手前もあったが、それよりも、
「優勝させれば、俺が目立つことができる」
 と思ったのだ。
 実は彼の目標はそこにあったわけではなく、まだ先にあった。だから、目立つということは願ってもないことであり、
「目立たなければ、逆に意味がない」
 といってもいいくらいではないだろうか?
 高校野球というと、彼の友達に、真剣、
「高校野球が嫌いだ」
 というやつがいた。
 その理由として、いろいろ言っていた。
「金にものを言わせて、いろいろなところからスカウトしてくる」
 というやり方が気に入らない。
 といっていたし、
 さらに、逆の意味になるのだろうが、
「野球留学と称して、特待生扱いにし、学費はただ、学生寮もただ。そんな状態で入学させるのだが、辞めることは許さない」
 というよりも、
「辞めた場合は、学費免除も、学生寮費免除も、すべてがなくなるので、他の学生と一緒なのだが、今まで野球しかやってこなかったので、勉強ができるはずもなく、結果、最終的には退学していくしかない」
 ということになるのだった。
 確かにその状態になると、勉強にはついていけない。そうなると、学校を辞めることになる。家には、
「自慢げな状態で出てきている」
 ということで、いまさら帰るわけにもいかない。
 そうなると、大体、悪い先輩がやってくるのだ。
 その先輩も、野球を何らかの原因で辞めなければならなくなり、今のような状態になっている。
「仲間がいっぱいいるぞ」
 という甘い言葉に載せられて行ってみると、
「そこでは、何やら怪しい事務所だったりして、次第に、悪い組織から抜けられなくなった」
 というような話を聴かされるのだった。
 それを考えると、
「高校野球なんか、甘い言葉に載せられて行っても、結局は、面倒なんか見てくれるわけもない」
 というのだった。
 実際にドラマなどでよくあるのは、
「大学や高校に、スポーツ推薦とかいう名目で、中学か、高校から一定数の、スポーツ推薦の生徒を入学させることで、行った先は、
「いい人材を得ることができ」、
作品名:マルチリベンジ 作家名:森本晃次