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一蓮托生の息子

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 というものだった。
 だから、天皇の軍隊を勝手に動かした青年将校たちは、
「憲法違反」
 ということになるのだ。
 特に天皇がハッキリと、
「反乱軍」
 といい、奉直命令を出したのだから、もう青年将校たちに道はなかったのだ。
 ほとんど皆原隊に帰り、青年将校はその場で自決するか、投降し、最終的に、弁護人なし、非公開において、全員銃殺刑ということになったのだ。
 その時、当然発令されたのが、
「戒厳令」
 であり、結果、大日本帝国がなくなり、新憲法の中に、戒厳令が削除されたことで、
「日本に有事という考えは存在しない」
 ということで、戒厳令というものは、なくなってしまったのだった。
 そんな時代において、いきなり襲ってきた、
「世界的なパンデミック」
 というものは、
「第二次世界大戦後、最大級の世界を襲う災害だ」
 とまで言われるようになった。
 日本という国は、完全に、
「平和ボケ」
 をしているので、そんなことを言われてもピンとこないという発想と、逆に、慣れていないだけに、無性に不安を掻き立てられ、何をどうしていいのかが分からずに困っている人が多いだろう。
 そんな時に、一番、気を付ければいけないのは、
「デマ」
 と、
「詐欺」
 ではないだろうか?
 クーデターや、災害時などの緊急事態においては、情報が遮断されたり、操作されたりするので、デマが横行したり、詐欺まがいのことが多くなったりする。
 特に緊急時にデマなどが飛ぶと、精神状態が攻撃的になっていたりするので、デマを信じて、集団意識からか、
「虐殺行為」
 などが、あちこちで起こったりする。
 かつての、関東大震災では、
「地震に乗じて、朝鮮人が、日本人を虐殺する」
 あるおは、
「日本を蹂躙しようとする」
 などという、根も葉もないうわさが広がり、狂暴化した一部の暴徒が、
「朝鮮人を虐殺する」
 などということが、平気で起こったりしていたのだ。
「まったくのデマかどうか」
 というのは分からないが、パニックになると、どうしても集団意識からか、狂暴性が出てくるのが、人間というものである。
 しかも当時は、世界大戦などがあった時代でもあり、ひょっとすると、庶民も、そんな潜んでいた、誰にでもある残虐性が、集団意識とともに、顔を出したのかも知れない。
 そんなデマをどのように信じるかということは、その時の精神状態にならないと分からない。ただ、不安が集団心理を掻き立てるということにもなるであろうから、デマにしても、詐欺にしても、気を付けなければいけないことには、変わりないだろう。
 そんなデマにしても詐欺にしても、今の時代は、昔よりも、もっと陥りやすい立場にいることは、明白である。
 特に今の時代、
「平和ボケ」
 ということで、パニックに対しては、免疫ができていないことから、何かあれば、疑心暗鬼が激しくなり、
「他人は、誰も信用できない」
 という精神的なシックに陥っても、無理もないころだ。
 さらには、今の時代は、
「何でも揃う」
 という時代で、
「スマホ一台で何でもできる」
 という便利さがあるわけだが、しかし、インフラがマヒし、
「電気が来ていない」
 ということになればどうなるだろう?
 あっという間に充電が切れてしまい、情報はどこからも入ってこない。人と連絡が取れなくなった。待ち合わせをしようにも、どこにいけばいいかが分からない。下手をすると、避難所にいる場合に、自分がその場所を離れた瞬間、自分の居場所がなくなってしまうということだってないとは限らない。
 それを思うと、
「充電が切れたことで、電気もつかない。連絡も取れない。情報も入ってこないと、今までは、普通に手に入ったものが、まったくなのだ」
 ということになる。
「便利だと思っていたものでも、何か一つが欠けてしまうと、まったく機能しないことになってしまう」
 ということを、その時になって、分かってはいたはずなのに、何をいまさらと、思い知らされるに違いない。
 ただ、今回のパンデミックは、
「形に現れたものではない」
 といえるだろう。
「世界的に、正体不明であるが、伝染病が流行ってきている」
 という漠然としたものから、
「○○国で、感染急拡大によって、入国制限を行い、都市封鎖といわれる、ロックダウンを○○国政府は模索している」
 などというニュースが入ってくると、いよいよ政府も考えるようになった。
 そもそも、その伝染病が起こった国からの入国を制限することもなく、その国の国家元首を、
「特別招待」
 などと計画していたのだ。
 もっとも。特別招待というのは、
「世界的なパンデミックが起こる前に計画されたものであるから、パンデミックが言われるようになってから、国賓としての招待どころか、入国制限を、その国からのすべてを遮断してしかるべきだった」
 しかし、実際に入国制限をした時は、
「全国学校閉鎖」
 という、いきなりの措置を行った後だったのだ。
 確かに学校閉鎖も重要だっただろうが、何よりも、
「ウイルスの侵入を水際で防ぐ」
 という水際対策が一番の急務なのに、それをせずに、学校閉鎖を先にするというのは、普通に誰が考えても、
「本末転倒」
 だといえるのではないだろうか?
 そんな状態において、
「何を国賓というのか?」
 ということで、
「まさか、国のトップの連中は、国賓として招くまでに、パンデミックが収まるとでも思っていたのだろうか?」
 ということである。
 こんなことは、子供だって分かることで、
「伝染病が流行るということは、波があるのは必定だ」
 ということであった。
「第一波、第二波」
 などと、ある程度までは、
「どんどんひどくなることは覚悟しなければいけない」
 ということである。
 少なくとも最低でも一年くらいは、用心が必要なのに、国賓をして招くまで、実際に、パンデミックと言われ始めてから、まだ半年も経っていない時だった。
 だから、国民は、とっくにパンデミック体制に入っているのに、政府だけは、トンチンカンにも、
「国賓としての招待」
 を棚上げしなかったのだ。
 そもそもが、この事態を引き起こした国の国家元首である。ただでさえ招待などということが、国民に真意が得られるわけはないだろう。
 案の定、マスゴミや世論から袋叩きのような目に遭っていた。それを思えば、
「政府は何にこだわっていたというのだろう?」
 と思うのであった。
 もし、これが、本当に、
「バイオテロ」
 であったら、どうするというのか?
 国賓として招いたとして、それが、国家を緊急事態に招いたとなれば、政府要人、さらには、ソーリの責任は、相当なものである。
「対応が後手後手に回っている」
 などというだけで、済まされる問題なのだろうか?
 それが、本当にこの地獄を見ることになるのだとすれば、その責任というのは、誰にあるというのだろう?
 そんな時に、政府は、
「学校閉鎖」
 というものの次に、
「緊急事態宣言」
 というものを打ち出した。
 その時は、各都道府県において、
「感染者が急増したことで、国に緊急事態宣言の発令を要請」
 という報道が結構多かったのだ。
作品名:一蓮托生の息子 作家名:森本晃次