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一蓮托生の息子

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 円の価値が下がるということは、同時に日本の価値が下がるということで、日本の価値を、そんなバカなソーリ一人のために、操作されてしまっては、どうなるものでもない。
 かといって、
「他に誰が首相にふさわしいというのか?」
 ということになれば、見当たらない。
 与党であれば、今のところ、あのソーリしかいない。
 かといって、野党はさらに輪をかけて、情けない集団の集まりだった。
 今だったら、簡単に政権奪取できるのだろうが、野党というと、与党の批判ばかりするが、肝心の政策が見えてこない。
 しょせん、野党は野党。批判も確かに野党の存在価値ではあるが、それでは、永遠に野党のままである。
 まさかその地位に甘んじているのであろうか?
 野党であっても、政党助成金というのはもらえる。いきり立って、攻撃を受ける与党になって、政権奪取などしようとは思っていないのかも知れない。
 十年ちょっと前、与党が、
「消えた年金問題」
 として、我々の年金を消してしまったことで、国民から愛想を尽かされて、当時勢いだけはあった野党第一党が政権の座についたが、結果は、悲惨なものだった。
 それだけに、今回は、
「政権奪取を目指す」
 というのは、あくまでもポーズで、本当は、
「批判だけをしていれば金がもらえる」
 という、ぬるま湯にどっぷり浸かろうという意識で、最初から、政権につこうなどと、思わない、
「腰抜け政党」
 なのかも知れない。
 そんな連中に政権がいけば、今のソーリも最悪だが、それ以上の、想像を絶する国家となり、それこそ、
「国の破滅がハッキリと見えてくるのではないだろうか?」
 ということになるであろう。
 今の国家は、政治的に、ひょっとすると、
「国の滅亡」
 が見えてきていて、その階段に、一歩ずつ足を踏み入れている状態なのかも知れない。
 それを思うと、今の日本国家というのは、
「どうあがいても、破滅から逃れることはできない。あとは時間の問題なのではないだろうか?」
 といえるのだろう。

                 博士の新発見

 そんな日本国家で、今、一つの病気が蔓延しようとしている。
 この病気の存在は、一部医療関係者か、国家の第三者委員会で、その存在が確認されるようになっていた。
 しかし、時代は、
「世界的なパンデミック」
 が襲い掛かってきた時で、
「未知のウイルス」
 が、世界を震撼させているということが、大きな問題となっていた。
 未知のウイルスは、世界で流行し始めたのだが、元々は、某国のある都市からの流行であった。
 いろいろなきな臭いウワサがあったが、今のところ、その発生鯨飲は特定されていない。
 最悪、
「バイオテロの可能性」
 も捨てきれないが、それを証明するものは、何もなかった。
 そんなこともあって、その正体が分からないまま、世界で大流行し、ほとんどの国が鎖国状態となり、国によっては、
「ロックダウン」
 という、わが国でいえば、大日本帝国における、
「戒厳令」
 と同じものだった。
 戒厳令というのは、
「有事において、治安維持を目的に、市民の行動や権利を極度に制限し、設立された、戒厳司令部が、全権を握り、制限に違反した者への罰則を実行する」
 なとというものであった。
 ここでいう、
「有事」
 というのは、
「戦時下」
「行政がマヒするほどの大災害」
「軍事クーデター」
 などがアリエルことであった。
 かつて日本も大日本帝国下において、憲法に明記された条文によって、戒厳令が施行されたことが、過去に3度あったのだ。
 一度目は、日露戦争に勝利した際の、講和条約であった、
「ポーツマス条約」
 において、日本が賠償金を得られなかった時、市民が起こって、日比谷公会堂を焼き討ちしたという、
「日比谷公会堂焼き討ち事件」
 の時だったのだ。
 戦争に勝ったといっても、どちらの国も瀕死の重傷で、これ以上の戦争継続がどちらの国も難しく、第三国であるアメリカに和平交渉をお願いしたことで実現した休戦と、和平交渉の場だったのだ。
「今であれば、ロシア陸軍も、海軍も打ち負かしたという最高の講和の席だ」
 と日本は考え、満州鉄道の権益や、旅順、大連などの遼東半島の割譲を認めさせただけでも、よかったのだが、賠償金の問題となると、ロシアが拒んだのだ。
「だったら、戦争継続」
 などということはできるはずもなく、渋々合意したのだが、そんな政府や軍の事情を知らない国民は、交渉団を、
「腰抜け」
 として批判し、その腹の虫を、
「日比谷公会堂焼き討ち」
 という形で、晴らしたのだった。
 その時に発令されたのが、一回目の戒厳令であり、第二回目は、未曽有の大災害であった。
 大正12年9月1日に帝都を襲った、

「関東大震災:
 がそれであった。
 インフラは壊滅し、一面が焼け野原になった帝都において、情報も皆無、どうしていいか分からない状態で、帝都は、法令にしたがって、
「戒厳令の発令」
 を行うしかなかったのだ。
 そして、3回目としては、今度は、軍事クーデターであった。
 昭和9年の2月26日、陸軍の青年将校が、部隊を率いて、政府高官を次々に暗殺、そして、新政府樹立をもくろむという、
「226事件」
 が勃発したのだった。
 彼らは、
「天皇中心の国家に戻す」
 というのがスローガンであった。
 ちょうど、経済的に壊滅していた日本で、
「特権階級の一部の人間だけが、得をして、一般市民は、娘を売らないと生活ができないほどに困窮していた」
 という状況に、青年将校たちが立ち上がったという構図であったが、冷静に見ると、
「陸軍内部の派閥争い」
 というのが真相だった。
 皇道派と呼ばれる連中と、統制派という連中がいたのだが、当時は、統制派が優勢で、皇道派は、迫害されていたことで、軍事クーデターを起こすことで、また皇道派を軍の中心に据えようとしたもので、政府要人、特に首相を暗殺することで、すみやかに、皇道派の人間を、総理に据えようということだったのだ。
 しかし、天皇にはその思惑は分かっていたようで、本来であれば、
「天皇のためのクーデターだったはずなのに、天皇は、派閥争いであるということを分かったうえで、しかも、暗殺された面々は、天皇が信頼を寄せる人物だったことで、決起軍に対して、すぐに鎮圧を命じた」
 ということであった。
 さすがに、専念将校たちに対して同情的だった軍も、天皇がここまで怒っているのを見ると、反乱軍として、鎮圧しないといけない。
 躊躇っていると、
「私が無図から軍を率いて、反乱を鎮圧する」
 とまで言い出したのだから、さしがに軍も鎮圧に動くしかない。
 そして、反乱軍ということで、
「クーデターを辞めて、原隊に服する」
 ということを、
「奉直命令」
 として出したのだった。
 要するに当たり前のことを言っているのであって、明治憲法には、天皇大権というものがあり、その中に、
「統帥権」
 というものがある。
「天皇は、陸海軍を統帥す」
 ということである。
 つまり、陸海軍は、天皇直轄であり、
「天皇の命令なくして、何人とも軍を動かすことはできない」
作品名:一蓮托生の息子 作家名:森本晃次