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平和な復讐

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 しかも、勉強についていけなかった連中は。
「落ちこぼれ」
 と言われ、当時は、そんな言葉も選ぶという時代ではなかったので、
「あの子は落ちこぼれだから」
 などと、名指して平気で人の悪口になるようなことを言って、親が、
「あんな落ちこぼれの子と、仲良くなんかしちゃダメですよ」
 と子供に言い聞かせていた時代だった。
 だから、子供の世界でも、差別が当たり前ということになり、大人からだけではなく、子供の間でも宙に浮く形になった落ちこぼれたちは、
「どこにも逃げ場がない」
 ということになったのだ。
 そこで育ってきたのが、
「不良」
 というものだ。
 ストレスの持っていき先が分からずに、学校で暴れたりする。
 登校拒否の生徒がいたり、校内暴力といって、学校の窓ガラスが全部割られているような光景は、当時は珍しくもなかった。
 学校の窓ガラスが割られていることにどんな意味があったのか分からないが、そんな学校が全国にどんどん広がっていったのだ。
 卒業式の時など、先生たちに、
「お礼参り」
 と称して、リンチにするということも結構あった。
 だから、学校によっては、卒業式には警官隊が配備した状態の、重々しい雰囲気で卒業式が行われるという時代があったのだった。
 そんな時代においては、生徒同士のトラブルは、なかったとは言えないが、大きな問題にはなっていなかった。
 昔からの、
「いじめっ子、いじめられっ子」
 というものは、次第に減っていった。
 しかし、時代が進み、いつの間にか、
「苛め」
 というものが起こってきた。
 苛めというものは、精神的なものから、肉体的な苛めなど様々であるが、下手をすると、取り返しのつかない、
「引きこもり」
 であったり、
「自殺」
 あるいは、
「苛めが行き過ぎての殺人」
 ということにありかねないのだ。
 実際に、苛めというものから、精神疾患を患ったり、そのトラウマから、人間恐怖症、異性恐怖症になったりする人も少なくない。
「一体どうしてそういう苛めが起こるのか?」
 というのは、さまざまな問題があるだろう。
 ただ、大人の世界の問題が、子供に対して、親などが自分のことしか考えず、子供を無視したり、子供に悪いことをさせてみたりすることで、まだ判断能力が身についていない頃から、精神的な感受性が欠如し、感覚がマヒするようになったことから、
「人を人とは思わない」
 という感覚になるということも少なくはなかったことだろう。
 それを思うと、
「そんな時代になるということを誰も想像できなかったのだろうか?」
 と考えるが、大人ですら、まわりに対してどう接していいのかということが分かっていないのだから、子供に判断させるのは難しいことだろう。
 そういう意味では、
「当時の社会情勢が悪い」
 ともいえるのだろうが、それで解決できることであるならば、何も、警察はいらないとでもいえばいいだろう。
 社会情勢というのは、
「大人だけの問題ではなく、子供世界にも大きな問題を孕んでいる」
 ということは、そのまま、
「日本の将来に直結している」
 といってもいいだろう。
「苛め問題をどうやって解決すればいいのか?」
 を考える人は考えていたのだろうが、結果、今のような時代になってきた。
 苛め問題や教育問題だけが原因ではないのだろうが、1990年代には、大きな問題として、
「ストーカー問題」
 というのが起こってきた。
 一人の人を、追いかけまわすというのがざっくりとした言い回しであるが、誰かに恋愛感情を抱いたが、告白もできず、昔であれば、
「いじらしい」
 という言葉で片付けられたものだが、その頃から、陰湿になり、
「尾行をしたり」
「無言電話を掛けてみたり」
 あるいは、
「脅迫まがいのことを、誰がしているか分からない形で行う」
 などということで、相手に精神的な苦痛やダメージを与えるのだ。
 本人は、そのつもりはないのだろうが、やられた方が溜まったものではない。ノイローゼになったり、対人恐怖症になったり、いわゆるトラウマが身体の中にしみこんでしまい、
「一生消えない傷」
 として、残ってしまうことになるのだ。
 一種の、
「苛め」
 の延長であろう。
 しかし、たちが悪いのは、ストーカー行為をしている人は、
「自分が悪いことをしているという意識がないことだ」
 ということであった。
 今のように、ストーカーというのは犯罪だとして認識されるようになると、少しは違うのだろうが、当初のストーカーというのは、
「僕がこれだけ、君のことが好きで、ここまでするだけたまらなく好きなのに」
 という感覚である。
 相手に対しての押しつけが、
「本当は愛情なんだ」
 と、自分が思い込んでいる。
 他の人は全員、
「これはストーカーだ」
 と思っていたとしても、本人が、
「愛情表現だ」
 と思っているのだから、始末に悪い・
 だから、警察も迂闊に入り込めないのだ。

                 コンプライアンス

 さらに、これらの問題に火をつけた。いや、相対的な問題として起こってきたのが、
「コンプライアンス違反」
 という問題だった。
 大きな意味では、ここに、
「プライバシーの保護」
 という問題も含まれてきたのだ。
 この時代における、一番の社会的な変化としては、
「IT革命」
 というものではないだろうか?
 電話も、ポケベルからケイタイへ、さらに、パソコンの爆発的な普及というものが大きかっただろう。
 携帯電話が爆発的に普及した理由の一つとして、ちょうどその頃に起こった、大災害が大きな影響を持っていたのだ。
 その災害というのは、
「阪神大震災」
 であった。
 大都会の神戸を中心に、大地震が起こり、インフラが壊滅したあの時、
「固定電話で連絡を取ろうとすると、まったく電話がつながらない」
 というのが普通だった。
 しかし、ケイタイ電話であれば、連絡が取れたのだ。
 そこで、一気に、携帯電話の普及が進んだという話を聴いたことがあったのだ。
 そして、パソコンも次第に普及していき、昔は、ワープロくらいしか機能がなかったパソコンに、マウスがついたりすることで、機能がいろいろ発揮できるようになった。
 さらに、一番大きなものは、
「ネットの普及」
 であろう、
 インターネットや、メールなどで、仕事の効率も上がる。連絡も取りやすくなるというものだ。
 しかし、弊害も起こってきた。
 コンピュータウイルスというものが現れ、
「個人情報を抜いていく」
 というものであったり、パソコンに悪戯をするものも出てきたりした。
 抜かれた個人情報を使っての詐欺事件なども起こってきたことから、次第に、
「個人情報の保護」
 というものが、叫ばれるようになってきたのだ。
 さらに、時をほぼ同じくして、
「男女平等」
 ということが叫ばれる時代になってきた。
 いわゆる、
「男女雇用均等法」
 というものに結びついてくるものだが、この観点は、そんなに簡単なものではないのだ。
 そのせいで、言い方もかなり変わってきた。
「神経質すぎはしないか?」
 と思う程、今まで平気で使ってきたことが、まるで、
作品名:平和な復讐 作家名:森本晃次