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辻褄合わせ

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「アメリカ軍と、その他の国」
 という形ではなく、あくまでも、国連決議で結成した、
「多国籍軍」
 であった。
 これを国連軍と正式にしなかったのは、国連決議で、満場一致ではなかったからだろう。
 反対、棄権があれば、正式な国連軍ではない。それが、正直なところなのであろう。
 ということは、アメリカ軍が表に出ているわけではなく、
「有志の国の軍の集まり」
 ということで、結成された軍であった。
 そういう意味での、
「多国籍軍」
 という言葉はこの時だけではない。
 過去にもあったのだが、国際連合が起こる前に結成された軍としての、
「多国籍軍」
 という意味である。
 日本も参加しているのが多かったが、日本が参加したもので、有名なものとしては、2つあり、一つは、
「シベリア出兵」
 であり、もう一つは、
「義和団の乱」
 の時に、清国の元首だった、西太后が、何をとち狂ったのか、北京に入っていた、世界の列強に対して、一気に宣戦布告した時のことだった。
「治安維持と、居留民保護」
 ということからの派兵に対しての宣戦布告であったが、当然のごとく、清国の首都である北京は簡単に占領され、義和団というものは、鎮圧され、西太后も、なすすべもなく、列強に降伏。おとなしくしておくしかなかったのだ。
 それを思うと、多国籍軍となると、弱体化した清国軍と、義和団が束になっても、あっという間に、ねじ伏せられるのがオチだったということであろう。
 その時にアメリカも入っていた。この時と同じように、
「多国籍軍」
 ということにしておけば、
「派兵もやむなし」
 ということになるだろうと。思ったのだろう。
 そんな多国籍軍を、結局はアメリカが率いることになるのだ。
「国民には、あたかも、国連軍のように思わせ、アメリカが始めたことではないというアピールをし、その中でアメリカが、
「先導に立つ」
 ということであれば、国民は嫌とは言わないだろう。
 それどころか、
「世界平和のためにアメリカが指揮を執る」
 という名目があれば、いいのだ。
 また国連に対しても、
「アメリカが主導でやってくれる多国籍軍」
 ということで、
「アメリカに任せておけばいい」
 ということになるだろう。
 要するにアメリカは、国民であったり国連に対して、
「アメリカが派兵すること」
 そして、
「アメリカが主導権を握る」
 ということへの、
「大義名分」
 がほしいのであった。
 しかも、このやり方は、イソップ寓話に出てくる、
「卑怯なコウモリ」
 というのと同じである。
 獣と鳥が戦争をしている時、コウモリは、獣に向かっては、
「私は身体中に毛が生えているから獣だ」
 といって、鳥に対しては、
「私は羽根が生えているから、鳥だ」
 といって、逃げ回り、都合のいい方についていたということをしていたのだ。
 しかし、闘いというのは、いつかは終わるもので、鳥と獣が和解をすれば、そこで、コウモリの話が出てくることになる。
 すると、都合よく振る舞っていたことが、それぞれの陣営にバレてしまい、コウモリは村八分の目に遭い、
「一生、明るい場所に出られないように、洞窟の中の、真っ暗で、陰湿な場所で暮らすようになった」
 というのだ。
 だからこそ、
「目が退化して、見えなくなってしまった」
 というのだ。
 そのため、耳だけはよくなり、超音波のようなものを出して、障害物からの反射で、まわりを知るという実に器用な、動物になったということであろう。
 そんなコウモリと同じようなことを、アメリカはやっていたのだろう。
 80年代からのアメリカはそうやって何とか今までやってきたといってもいい。
 少し話が飛んでしまったが、80年代というのは、そんなベトナム戦争が終わり、音楽では、プログレッシブな形式が増えてきた。
 一種の前衛音楽的なもので、
「融合」
 というのが、キーワードだったのかも知れない。
 そもそもは、ロックを基盤として、クラシックやジャズなどを織り込んだ音楽ということで、歌詞がないものも結構あり、当時のレコードで、
「A面一曲が、組曲になっている」
 というものも結構あったのだ。
 プログレッシブロックは、瞬く間に世界で流行し、ワールドミュージックの様相も呈してきたのだった。
 ただ、そんなプログレも、5年くらいで、全盛期を超えてしまった。
 いろいろな理由もあるだろうが、
「プログレッシブロックをやっているバンドが、次第に、ポップス化していったというのも理由の一つだろう」
 元々、プログレというのは、バンドであり、それぞれのパーツで個性を出すという雰囲気だったのだ。
 だから、個性がぶつかるのか、メンバーの入れ替わりが激しかった。
「プログレのバイブル」
 とまで言われたアルバムを発表したバンドが、翌年、次の作品のアルバムを発表したのだが、その時に、
「半分、メンバーが入れ替わっていた」
 などということが、普通にあったのだ。
 さらに、プログレから、派生する形で、いろいろなジャンルが生まれてくることになる。
 というか、系譜として、メンバーが、そっちに走ることになる。
 特に、ヘビーメタル、いわゆる、
「ヘビメタ」
 と言われるバンドは、プログレのバンドメンバーだった人が多かったりするのだ。

                 歴史というもの

 そんな風に、枝分かれするというのを考えると、思い出すのが、旧約聖書に出てきた、
「バベルの塔」
 である。
 バベルの塔のお話は、
「ニムロデ王というバビロニアの王が、自分の権勢を見せつけようと、天にも届くようなあ高層の建築物を塔にして建設していた。そこで、ある程度までできたところで、王が、天に向かって矢を射ったのだという。その時、神の怒りに触れたのだ」
 というのも、神からすれば、
「人間ごときが、神に近づこうなどと、思い上がりも甚だしい」
「ということで、塔を雷のようなもので壊し、さらに、地上で、塔の建設を行っていた人々の会話ができないように、言葉が通じなくして、人々は疑心暗鬼の中、世界中に散らばっていった」
 というものであった。
 バベルの塔の場合は、
「王が一人、暴君だったということで、人間が皆罰を受けるというような形で、どちらかというと、理不尽な気もするが、ある意味、王からの支配から逃れて、自分たちだけで生きていくということをしたのだ」
 ともいえるだろう。
 プログレのメンバーも、それぞれに、自分の意志で、
「相合わない相手と、一緒にすることはできない」
 と目覚めたのだろう。
 そもそも、人間の信頼であったり、協調性などというものは、この時のニムロデ王の行動に神が怒ったことで神によって、
「言葉が通じない」
 というだけのことをしただけで、大混乱が起きて、世界各国に飛び散り、言葉の通じない人たちが生まれたという発想を、
「後付け」
 という形で証明したに過ぎないかも知れない。
 聖書であったり、神話と呼ばれるものは、えてしてそういうものなのかも知れない。
 その時の世の中において、
「七不思議」
作品名:辻褄合わせ 作家名:森本晃次