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飛び降りの心境

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 ただ、アップする形式が、テキスト形式のような容量の小さなものであれば、そこまで問題になることはない。
 それを考えると、言い方は悪いが、
「猫も杓子も誰もが作家になれる」
 ということである。
 そんな中で、自分の作品を、
「これは素晴らしい」
 といって、探し当ててくれるというのは、
「砂漠で金を探す」
 というような確率と大差ないといってもいいだろう。
 やはり、どんな方法であったとしても、作家になるには、登竜門と呼ばれる難関を突破しなければいけないということだろう。
 そもそも、新人賞などというものを取ったとしても、次作品が問題であり、その壁を超えることができずに、鳴かず飛ばずの作家になれない人たちがどれほどいるというのだろう?
 一度は掴んだ新人賞。
「これからも作家として書き続けていいんだ」
 と思ったであろうが、今度はまわりの環境が変わってくる。
 出版社の担当がつき、
「先生」
 とおだてられるのはいいが、実際には、テレビでよくあるように、
「担当に監視されながら、締め切りに追われる」
 というのは、今も昔も変わりはない。
 発表する媒体が変わっていくというだけで、作家が書いた本を、出版社が本にするというやり方は、同じなのであった。
 結局、どんなにマイナーチェンジをしようとも、この根幹が変わらない限り、結局は原点に戻ってくるということであろう。
 WEBサイトにしてもそうだ。
 さすがに、自費出版社系のように、
「すい星のように現れて、ズタズタになって消えていった」
 ということで、数年の命ということはなく、地味ではあるが、何とか十数年生きてきたわけだから、その評価はできるだろう。
 ただ、最初ほど人がいるわけではない。自費出版が詐欺だと分かって、行き場のなくなった人が、
「避難場所を求める」
 という感じで、ネットに流れてきたといってもいいだろう。
「さすがに、このやり方だったら、詐欺もない」
 ということで、相手の口車に乗らなければいいだけだ。
 ただ、作家になるという夢は、どうしようもない。サイトの中には、作家デビューを目指している人ばかりで溢れていて、情報交換であったり、傾向と対策をネットの中で、会員であれば見ることができるというようなやり方をしているところもある。
 それはそれでいいのではないだろうか?
 少なくとも、お金が絡んでいないからであった。
 ただ、今までいろいろ作家になりたいと考えて模索はしてきたが、実際には、そこまで考えなくなったというのが本音だった。
「作家になると、自分の書きたいものが書けなくなる」
 とも言われている。
 どこかの出版社の専属になったりすると、相手はこちらをプロとして見てくるので、
「先生、先生」
 といって、おだててはくれるが、こちらの書きたいものというよりも、
「読者にウケるものを書け」
 ということになるのだ。
 確かに。編集の人も、売れるものを書いてくれないと、困るわけで、そうでなければ、編集も営業もいらないわけで、出版社の存在意義もなくなってくる。
 出版社だって、れっきとした、
「営利企業」
 であり、印刷会社などに製本を依頼したのだから、お金も払わなければいけない。そして、社員の給料、必要経費、作家に対しての原稿料など、その分を儲けるには、
「本を売らないといけない」
 ということになるのだ。
 実に当たり前のことだ。
「お金を出せば本を作ってくれる」
 という、自費出版社系の会社ではないのだ。
 そんなことを考えていると、
「プロの作家になるのが、怖い」
 と思うこともある。

                 プロになるということ

 もし、オーソドックスに、新人賞などに入選したとして、次回作を要望され、それも当たったとする。そこで作家デビューをセンセーショナルに上げたとして、数年後にはどうなっているのだろうか?
「最初の数作品は、人気があったが、後は鳴かず飛ばず」
 ということもある。
 また、中には、アニメ化やドラマ化されたとして、その作品は売れるかも知れない。
 中には、
「作者が誰だ?」
 ということを重要視して見ているかも知れないが、結果としては、
「作品が面白いから見ている」
 ということになる。
 アニメだって、自分が好きなシリーズのアニメがあったとして、作者のことを意識していれば、
「ああ、あの作品を書いた人だったら面白いだろう」
 ということで見てくれるだろうが、作者を意識していなければ、あくまでも作品だけしか興味のない人には、次作を見てもらえるという保証はまったくないのだ。
「何となく、似ている」
 というくらいでは、ピンとこないだろう。
 特に、若者の多くが書いていると言われる、
「異世界ファンタジーもの」
 ともなると、あれだけの作品が、投稿サイトにうようよしているのだから、似たような作品ばかりになっても、無理もないことだろう。
 だから、若者が乱立する、異世界ファンタジー系を多いサイトでは、自分の作品は埋もれてしまう。
「それでも、皆投稿するのはなぜなのか?」
 と思うのだ。
 まるで、ドン・キホーテが、風車に向かって突っ込んでいくような、
「特攻精神」
 に見えるのは、おかしなことなのだろうか?
 サイトの名前の一部と、
「系」
 という言葉をくっつけて、そういう異世界ファンタジーのような小説を書いている連中を、傍から見ていると、
「まったく想像のつかない世界だ」
 ということになるのだろう。
 自分もそんなに、素人とはいえ、作家の仲間からすれば、当時はまだ二十代だったこともあって、老け込む年ではないのだが、考え方は、かなり冷静だったと思う。
 やはり、その前の、
「自費出版社系」
 の会社の動向を、高校生の頃ではあったが見てきたことと、知り合いが言われたという、
「キレた編集者の話」
 を聞くと、どうしても冷静な目で見るようになるのも当たり前のことであろう。
 出版会社において、
「利益を優先する」
 というのは当たり前のこと、特に、有名出版社の担当もプロなのだ。
 お互いに、
「プロとプロの会話」
 ということである。
 つまりは、出版会社の担当にしか、プロ作家の相手はできないということである。
 一つ気になるのだが、
「自費出版社系の営業というのは、どういう立ち位置だったのだろう?」
 ということである。
 営業というか、作家担当ということになるのだろうが、一般の出版社であれば、
「作家に一人の担当」
 ということである。
 しかし、自費出版社系の会社は、正直、一冊を発行すれば、その作家が何冊も作るなど、ほぼ金銭的に無理であろう。
 よほど、億万長者の息子であったり、遺産相続で数億円の金を相続したり、そんなことでもなければ、
「売れる保証のない本」
 を、大枚をはたいて、何冊も発行するということもないだろう。
「1冊出した人は、次からは半額」
 というようなこともないだろうし、もしあったとしても、
「150万が、75万になるだけで、雲の上の金額であることは間違いない」
 と言えるだろう。
 そんな簡単に払える金ではない。そうなると、担当は、
「一人一回」
作品名:飛び降りの心境 作家名:森本晃次