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城好きのマスター

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 と考え、特に金融機関を中心に急速に進んでいくのだった。
 特に銀行などは、元の銀行はどこだったのか分からなくなるくらいに、たくさんの銀行が一緒になる。
 中には、それまでのベストファイブと呼ばれた金融機関が合併することも珍しくなく、それだけ、
「バブル崩壊は、深刻だった」
 ということであろう。
 一般企業も、
「収益が減るのだから、経費を節減するしかない」
 ということで、手広く広げたものを、手遅れになる前に、手放していき、会社では、
「残業をしてはいけない。経費を最大限に節約する」
 ということになり、当時から流行り始めた言葉として、
「リストラ」
 というものができてきたのだった。
 リストラというのは、本来の意味として、
「組織再編」
「再構築」
 という意味が示す通り、企業の合理化であったり、方針の再検討などということを指すものであったが、いつの間にか、
「人員整理」
 という言葉に変わってしまって、企業による、
「早期退職者」
 というものを募ってみたりして、
「経費の中で一番のネックが、人件費だ」
 ということを示し、露骨な方法として、
「社員の首を切る」
 ということを、
「リストラ」
 と呼ぶようになったのだった。
 だから、
「リストラ」
 という言葉には、悲惨な意味しか付きまとってこない。
 しかも、そのうちに、会社の方としても、リストラをやりすぎると、今度は肝心の業務を回す社員がいなくなってくる。
 そこで、新しい雇用方法として、
「非正規雇用」
 というものが導入されるようになった。
 つまりは、
「派遣社員やパート、アルバイト」
 などという、会社が社員という形で雇った人たちではない連中に、安い給料で、今まで社員が賄ってきた作業部分を任せようというものであった。
 ただ、社員ほど厳しくできるわけではない。
「残業はさせられない」
「今までの社員のように、無理はさせられない」
 と、単価が安いだけに、できる範囲も限られていく。
 そうなると、リストラが終わり最終的に残った社員に、そのツケが回ってきて、結局、残業申請ができない、
「サービス残業」
 というものが、社員に襲い掛かってくるのだった。
 元々、経費節減という観点から、
「残業はしてはいけない」
 ということが言われ、それによって、それまでのモーレツ社員に時間ができて、
「これからは、サブカルチャーや趣味の時間を作らなければいけない」
 などと言われていたのに、数年もしないうちに、残った会社で、自分にしわ寄せがくるようになるなど、思ってもみなかっただろう。
 バブル期であれば、実際に残業した分は、上司から小言は言われるかも知れないが、ちゃんとそれに見合う残業手当は出ていたのだ。しかし、非正規雇用者のツケで残業する分には、本当にサービスとして、残業手当が支給されるなどありえなかったのだ。
 それがいずれは、さらに景気が悪くなり、会社がさらに窮地に追い込まれると、今度は、それまで重宝できるとして雇っていた非正規雇用の、もう一つの側面としての、
「簡単に解雇できる」
 という奥の手を使って、簡単にクビを切っていく。
 派遣社員とは、基本的に3カ月単位の更新が多く、それまでは、自動更新に近かったものを、
「次回の更新では、継続を行わない」
 と、企業が一方的に切ったりすることが増えてきて、結果、失業が増えたことで、
「派遣村」
 などという、
「派遣社員のたまり場」
 として、公園などでの生活者がおおいおおいに増え、社会問題になったりしたのだ。
 そんな派遣村においては、炊き出しが行われたりと、それだけでも、世間の派遣社員は、ほとんどが、
「明日は我が身」
 とゾッとしたものがあったことだろう。
 そんな時代において、さらに追い打ちをかける事件が起こった。
 それを起こしたのは、国家であった。厚生労働省の社会保険庁が、昭和末期から、
「年金受給者、予定者に、番号をつけ、コンピュータ管理にした時、
「結婚したのに、旧姓のまま」
「ふりがなに不備があった」
「生年月日が間違っている」
「転記ミス」
 などという、考えられないようなミスがあり、それが、2007年に発覚し、
「何と、数千万件という年金記録が、誰のものか分からない」
 ということになり、結果、
「もらえるはずの年金がもらえない」
 ということになり、完全に政府は、国民の信頼を失った。
 そのことがきっかけになり、結局2年後の選挙で、それまでずっと与党だった政党が、
「野に下る」
 ということになった。
 そこで出てきた政党だったが、結局、ここもうまく政治を営んでいけず、次の総選挙では逆転されてしまう。
 公約では恰好のいいことを言っていたが、結局何もできず、しかも、大震災が起こった時には、その対応ができないばかりか、問題発言を繰り返し、被災者から、相当な恨みを買ったことで、完全に、政権を維持するなどできるわけもなかったのだ。
 といって、元に戻った与党政党だったが、今度は、疑惑にまみれた男がソーリになった。前にもソーリ経験があった男だが、
「都合が悪くなると、病気と称して病院に逃げ込み、ソーリの座を放棄した」
 という過去があった。
 結果、他に誰もいないという理由だけで、またしても、成果らしい成果もあげられないくせに、
「歴代在位期間最長」
 などという、不名誉に塗りつぶされた、汚名に満ちたといってもいい記録を打ち立てたのだが、またしても、お約束ともいうべき、
「「病院に逃げ込んで政権を放棄する」
 ということをしたのだった。
「世界的なパンデミック」
 をどうすることもできなかった。
 というのが理由だが、それもそうだろう。
 世界的な伝染病であるにも関わらず、すでに世界では鎖国状態のところが多い中、
「伝染病発症の国家元首を国賓として招く」
 などという、寝ぼけたことを言っていたのだ。
 鎖国どことではない、当然、水際対策など、ほとんどできておらず、気付けば国内でも患者が増えてきて。
「緊急事態宣言発令」
 の憂き目を見たのだ。
 確かに、水際対策の失敗が、招いたことではないかも知れない。相手が見えないことだからである。しかし、見えないのだから、余計に可能性だけでの話になる。そうなると、水際対策ができていなかったことでの蔓延というものが一番の問題だという世論の話に、
「それは違う」
 と言ったとしても、すべては言い訳にしかならない。
 立証責任がもしあるとすれば、それは政府にであろう。
 そうでなければ、責任の所在も分からず、ただ行動制限を強いられているのであれば、不満はその政策を取った政府に向けられる。
 それを思うと、
「国家はいうだけで、何もしてくれない」
 ということになる。
 しかもやったとしても、
「マスクを一家庭、二枚配布する」
 という、いかにも原始的な政策だった。
 その政策には、裏があった。
 マスクを配布するといってもそれは、国の税金からである。
 もっとも、そんな風になったのは、マスク不足というものが大きく、今は国産マスクよりも、海外からの輸入に頼っていたこともあり、入手に制限があった。
 さらに、
「転売屋」
作品名:城好きのマスター 作家名:森本晃次