小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

タバコと毒と記憶喪失

INDEX|5ページ/21ページ|

次のページ前のページ
 

 他の国では、
「何とか、落下時のパニックを逃れることができた」
 と安堵の空気がある中で、
「今後のための検証」
 は必要であって、しかし、その情報が日本側からもたらされるとは、到底思えなかったのだ。
 しかも、乗組員が、二人ともどうなったということも、今はまだオフレコだった。だから、国民も知るわけはない。そんな状態の中で、
「実は、裏でまったく違う状況が生まれている」
 ということを、まだ誰も知る由もなかったのだ。
 ここまでは、ドラマでも丁寧に描かれてきたが、実は本当の話しは、この後のことで、
「起承転結」
 と言われることとは別に、進行していることがあるということを、果たして誰が知っているというのだろう?
 ロケットが、どこにも被害を及ぼすこともなく、墜落した。
 もちろん、NASAであったり、国連の調査団などが、ロケット落下地点の探索を行った。
「何かの落下物がないか?」
 あるいは、
「放射性の危険な物質があたりに存在していないか?」
 などということであった。
 理由もなしに、一旦打ち上げには成功したロケットが、宇宙空間で、行方不明になるという事態なので、
「謎の生物がいないか?」
 あるいは、
「宇宙人が何かを仕込んでいないか?」
 などということである。
 実際にあたりの捜索を数日に渡って行われたが、
「別に問題はない」
 ということで、船の航行も飛行機も。問題なく航行できたのだった。
 しかし、何かが起こったのは、それから数日が経ってからで、もし、相手がいるとすれば、
「まるで図ったように姿を現す」
 とでもいうように、徐々に問題ができてきたのだ。
 ロケットが落下して数日後に何か、浮遊物体があり、その特性として、
「急に姿を消すのだが、それがいつなのか分からない」
 という、まるで、透明怪獣でもあるかのような様相を呈していた。
 だが、実際にその生物は、
「いや、これを生物として分類してもいいのだろうか?」
 と思えるようなもので、実際に生物かどうかも分からない。
 そもそも、
「地球外」
 というものに、
「地球上の常識を押し付けてもいいのだろうか?」
 と言えるだろう。
「宇宙ロケットに宇宙から飛来したのだから、地球外物体に違いない」
 ということは分かっている。
 問題は、その物体が、
「地球上で、どのような問題を引き起こすか?」
 ということである。
 その物体が見つかったのは、ある車のトランクからだった。
 一体いつ、どのように入り込んだのか分からないが、その物体はどんどん服出んでくる。
「膨らんできたから、その物体を意識するようになった」
 というべきであろうが、
「膨れ上がった車のトランクをぶち破り、次第に巨大化しながら、雲のように、空中に浮かんでいく」
 のであった。
 都心のど真ん中で、そんなことが起これば誰もが恐ろしいと思うのだろうが、一人の青年が、
「こいつは、生物で、エネルギーを食って、巨大化するんじゃないか?」
 と言い出した。
 なるほど、今の時代ならすぐに理解できるが、昔の、
「特に、昭和時代であれば、理解できない気がする」
 と言えるのだろうが、実際には、SFや映画などで、想像はつくのだろうが、
「実際にいる」
 ということになると、その信憑性は、明らかに薄いものでしかないだろう。
 当時は、公害問題などもあり、このような考え方は主流だっただろう。
 しかし、今は、
「何でも揃うという発想から、思い浮かばないのではないか?」
 と思うのだが、実際には、SDGSなどでの、
「地球温暖化問題」
 を筆頭に、生活と背中合わせになっているものが、存在するのであった。
「世の中というものが、意外と目の前のことは分からない、
「灯台下暗し」
 というものであるということは、ここまで長く言われても違和感がないものなど、特に色褪せたとは思えないだろう。
 風船のように膨れ上がり、上空に上がっていく物体を見ていると、誰かが、
「化け物だ。逃げろ」
 と言ったのを契機にして、それまで皆、バカみたいに、上だけを見ていたのだが、ハッと気づいたのか、
「ひーっ」
 という声を出して、一人女性がヒステリックになったかと思えば、一度凍り付いた時間が一気に動き出したのだ。
 それこそ、
「蜘蛛の子を散らす」
 とでもいうように、車の人は皆自分の車に載り、車ではない人は、建物の影に隠れるような感じでいるが、そのうちに、まわりからクラクションが鳴り出して、当たりは、クラクションによる、
「騒音の嵐」
 が吹き荒れたのだ。
 しかし、不思議なことに、一気にあふれ出した騒音が、今度は一気に消えていくのだった。
 かと思うと、今度は皆が車の中で必死に何かをやっていて、表にいれば、
「ガガッ、ガガッ」
 という、エンジンを掛けようとしても、ガス欠でかからないという時の音が至るところから聞こえてきたのだ。
 クラクションどころではなくなったのか、エンジンを掛けようとしても、それが失敗に終わると、もう誰もエンジンを掛けようとはしなくなり、またしても表に出てきて、先ほどの、
「風船の怪物」
 を見上げているのだった。
「あいつのせいだ」
 という声が聞こえる。
「そうだ、あいつが食っていやがるんだ」
 というのだった。
「食ってるってなんだよ」
 と車の外にいる人はそう思ったが、理由が分かるわけもなかったのだ。
 ただ、そのうちに一人が、空に浮かんだ風船の爆弾を見て、
「あいつが、エネルギーを食っていやがるんだ」
 と言った。
 冷静になって考えれば、その通りだった。
 最初は理屈が分からなくとも、考えてみれば、まさにそれ以外に考えられないのであった。
 つまり、
「あの化け物がエネルギーを食うから、エンジンがかからない。だから大きくなり、ガス状の空気化することで、空に浮かんでくるんだ」
 という理屈であった。
 理論的に考えると、それ以外に説明のしようはなく、この説明がすべてを理解させることになるのである。
 そのうちに警察がやってきて、拳銃を撃つのだが、当たっても、姦通するどころか、弾丸をもはじき返すという感じであった。
「なるほど、堅い膜のようなもので覆われているんだな」
 と思うと、そんなものでいうことの聴くわけでもない。
「エンジンがかからないのも、この怪物がエネルギーを吸っているからだ」
 ということで、ここでだけの問題ではなくなり、奇妙な怪物は空中に浮かんで、何ができるというものではなくなってしまったのだった。
 そのうちに、その怪物はあたりのエネルギーを吸い尽くして、どんどん大きくなる。
 都心部上空に、すでに直径50メートル以上に巨大化し、少々遠くても、その様子は、見ることができただろう。
 これはあくまでも、演出でも何でもない、
「種も仕掛けもない」
 と呼ばれる現象が、空に浮かんでいるのだった。雲のようになった物体は、内部から光を発しているようで、
「攻撃しても同じだ」
 ということで、
「これ以上、怪物に巨大化させないため」
 電気の送電を一定時間止めるという、暴挙に出たのだ。
作品名:タバコと毒と記憶喪失 作家名:森本晃次