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一毒二役

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「無差別大量虐殺事件」
 としての様相を呈してきたのだった。
 ただ、その事件は防ごうと思えば防げたのだ。
 というのも、毒を呑んだ人間は、自販機の横に、いかにもという形で、誰かが口をつけたのかどうか分からずに置いてあるものを、衝動的に呑むと、そこに毒が入っていたということである。
 今の世の中、人の飲みかけと分かると、絶対に口をつけないのが普通なのである。
 昔の人は、伝染病を恐れてはいただろうが、そこまで気にしていなかったのだろう。
「怪しい」
 とは思ったかも知れないが。それでも、口にする人は一定数はいるのだろう。
 だから、青酸
カリを飲んで染む人が後をたたなかったのだ。
 この、
「20年置き」
 で発生するという事件は、
「感覚的に、ほぼ同間隔であいている」
 ということで、
「等間隔というのが、何かを意味しているのではないか?」
 と思われるのは、偶然だと思っているわけではないのだろう。
 それにしても、人間というのは、模倣犯だとしても、こんなに期間が離れていることで、それは、模倣犯というよりも、大量虐殺という発想を、拭い去ることができないのは、
「人間の本性なのかも知れない」
 と言い切れることなのかも知れない。
「古今東西の脅迫、大量殺戮、テロ行為」
 それらは、どこか、共通性があり、それに導かれるかのような事件が、今日も起こっていることであろう。

                 脅迫相手

 今回の脅迫は、毒薬を限定しているわけではない。あくまでも、
「毒薬をぶちまける」
 というものであり、
「青酸カリ」
 と限定しているわけではないことを、見失わないようにしないといけない。
 そのことを、脅迫があったことで、どこまで警察が理解できていたのかが、分かりにくいところであった。
 毒物というものは、いろいろな種類がある。やはり、一番毒薬としての知名度が高いものは、
「青酸カリ」
「青酸ソーダ」
 などと言った、シアン化化合物である、青酸ではないだろうか。
 さらには、昔の探偵小説などで描かれているものとしては、
「トリカブト」
 あるいは、
「ストリキニーネ」
 などと言ったものも、毒薬としては、よく言われているものであった。
 最近の毒薬で、実しやかに叫ばれているのは、
「毒薬を毒薬として使用しない」
 というものであった。
 圧倒的な致死率があることで、持っているだけで危険と言われるものも、この世には存在する。
 たとえば、ニトログリセリンのように、毒薬というわけではないが、振動で爆発する危険のある劇薬だって存在するのだから、それを思えば、
「毒薬だって、毒殺するだけが目的ではない劇薬」
 というものがあってもいいのではないだろうか?」
 そんな劇薬を研究しているグループが、F大学の研究チームに存在する。
 元々は、
「解毒剤の研究」
 を主に行っていたグループなのだが、
「解毒剤の中からも、新たな毒薬や劇薬が発見される」
 と言ったものが、堂々巡りとして、現実のものとなってきていた。
 それを、一種の相乗効果と言えばいいのか、さらに、その毒薬が、
「毒を持って毒を制す」
 という言葉になりつつあるのが今であった。
 その過程において、伝染病を生み出すという問題も起こり、ひどい政府に当たれば、
「これで世界を征服できる」
 というような、
「悪の秘密結社」
 のような国家が、実際に存在していた。
 しかも、それが、
「超大国」
 と言われるようなところなのだから、始末に悪い。
 さらに、核兵器も持っていて、世界経済を今やリードする存在となっていれば、安心はできないであろう。
 今回の、
「世界的なパンデミック」
 も、その国が黒幕だというウワサもあったが、信憑性はなかった。
 ただ、
「疑わしきは罰せず」
 というだけで、グレーは、どこまでいっても、グレーであろう。
 それを考えると、
「パンデミックなどの、伝染病も、毒薬と関係があるかも?」
 と思えてくる。
 大日本帝国が、満州国に持っていた、関東軍所属の、
「731部隊」
 というものがあったという。
 ここは、基本的には、
「海外で活動するためには、新鮮な水の確保が大切である」
 つまりは、海外においての水というと、細菌だらけで、生水などもっての他で、伝染病にかかって、死ぬ人の方が、戦死する人よりもよほどたくさんいたというくらいの、
「本末転倒な事態に陥る」
 と言った状態であった。
 実際に、満州というと、当時は、
「満州帝国」
 が君臨していた。
 清朝最後の皇帝であった、愛新覚羅溥儀が当時の中華民国の革命軍から退位させられ、最初は、紫禁城での生活を保障されていたが、いつの間にか、紫禁城からも追われ、上海の租界地区にいたものを、関東軍の諜報部隊に、
「救出される」
 ということにて、満州に入った。
 最初は、満州国の、
「執政」
 ということで、国家元首への階段を昇り始め、翌年には、
「満州帝国皇帝」
 ということで、君臨することになった。
 しかし、あくまでも、彼は、
「傀儡」
 であり、満州帝国の総理大臣であっても、閣議で発言は基本的に禁じられていた。
 もし、関東軍に逆らえば、それこそ、
「闇に葬られる」
 といっていいだろう。
 そんな満州帝国ですら、
「大日本帝国の傀儡国家」
 の様相を呈していた。
 ただ、歴史に詳しい人は、
「大日本帝国の傀儡国家」
 という言い方をしない。
 するとすれば、
「関東軍の傀儡国家」
 というべきであろう、
 なぜなら、当時の関東軍は、日本政府、さらには、陸軍本部から独立した形で活動していたのだ。
「陸軍本部が統率できないものを、日本政府いできるわけがない」
 ということだったのだ。
「政府は、軍のやることに対して口出しできない」
 というどころか、
「軍の作戦を、知ることもできない」
 という力関係だったのだ。
 大日本帝国は、今の日本国と違って、一番大きい問題としては、
「主権が、国民ではなく、天皇にある」
 ということ、
「今は、戦争放棄の第9条があるが、昔は、陸海軍が存在した」 
 ということである。
 しかも、その軍部と、政府との関係が、微妙な関係になっていることで、天皇を中心ではあるが、歪な構造になっていたのだった。
 というのが、主権者である天皇には。
「統帥権」
 というものがあったのだ。
 つまり、
「陸海軍というのは、天皇直轄の組織であり、陸海軍のトップ、つまり統率者は、大元帥である天皇陛下だ」
 ということであった。
 これまで日本軍が存在した時代において、大元帥というのは、3人しかいない。
「明治天皇」
「大正天皇」
「昭和天皇」
 の3人ということになる。
 この3人が、それぞれに軍を掌握し、軍を動かしてきた。だから、天皇は、
「政治に対しては、あまり口出しはできないが、軍に対しては、厳しく対応することができる」
 というものである。
 その一番の例が、政府問題に関しては、
「満州某重大事件における、田中内閣総辞職問題」
 であり、軍に関しては、
「226事件」
 だといえるのではないだろうか?
「満州某重大事件」
作品名:一毒二役 作家名:森本晃次