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二人二役

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「ああ、やっぱり、あいつじゃだめだ」
 とばかりに、次の選挙では、当選を危ぶまれるほどの支持率になったのではないだろうか?
 支持率というのは、落ち始めると、歯止めが利かない。
 これまで市長選の時には、それなりに支持率も高く、ただ、それはハッキリとした対抗馬がいないことから起こることで、別に、本当に支持しているわけではないのかも知れない。
 それは、先々代のソーリと同じで、
「何も成果が上がっているわけではないのに、名前と他に対抗馬がいないというだけで、いたずらに、長期政権になった。あのソーリのようではないか」
 と言われていた。
 あのソーリを、
「最悪だ」
 と思っていたが、どうもそうでもないようだ。
 今のソーリは、もっと最悪で、その渦中のソーリが罪人風に行っていたとされる、
「疑惑を解明する」
 といって、総裁選を勝ち抜いたくせに、ソーリになってしまうと、
「先々代のいいなり」
 になってしまい、まさに、
「傀儡政権」
 とまで言われた。
 しかも、国内で、パンデミックや不況。さらには、自然災害などで、金が必要な人が相当数いるのに、そんな人間を放っておいて、海外に対して、戦争で攻められている国があるので、
「その人道支援だ」
 ということで、容赦なく、日本人の血税を、簡単にばら撒いている。
 要するに、このソーリは、
「日本は、金をどんどんくれる。そんな国のソーリの名は……」
 ということで、自分が世界から英雄のように思われたいがための、ただの。
「パフォーマンス」
 にすぎなかった。
 最初は人道支援ということで、それらの行動に支持率の低下は、そこまで顕著ではなく、高い水運を保ったままであった。
 しかし、ここにきて、ある宗教団体。いや、実態は詐欺集団と、政府の大臣を中心として、与党全体がその団体にまみれているという状況が浮き彫りになってくると、さすがに支持率は急落、しかも、
「私はちゃんと世間の意見の聞く耳を持っている」
 と言っていたくせに、説明責任を果たそうともせず、たまに表に出てきて、釈明するかと思えば、
「毎回同じことを繰り返し言っているだけ」
 ということで
「これだったら。何も出てきて言わない方がいいのではないか?」
 と、まるで、国民感情という火種に、火をつけて、そこに油を注いでいるのと同じではないのだろうか?
 しかも、その先々代の問題のソーリが、暗殺されたことで、そのソーリを支持する人たちの票を失いたくないということで、こともあろうに、
「国葬にする」
 などと言い出したのだ。
 国民もさすがに、先々代が、都合が悪くあると、一度ならずも二度までも、
「病気が悪化した」
 といって、病院に逃げ込んだ男の悪行を許しはしないだろう。
 あのソーリのせいで、自殺に追い込まれた人間が少なくとも一人はいるのだから、今回の暗殺も、
「天誅だった」
 といってもいいだろう。
 それを、まるで、
「国のために殉職した」
 とでもいうように、国葬とはどういうことなのだろう?
 自殺をした人は他にもいたかも知れないが、これは何も人数の問題ではない。一人であろうが、数億人であろうが、
「命が奪われた」
 ということに変わりはないのだ。
 その命というのを、そのソーリがどう考えたのだろうか? 国会で攻められても、
「それはすでに解決済み」
 と冷静にいうだけで、答えになどなっていない。
 それを思うと、
「政府って、何なのだろうか?」
 と思わざるをえないのだった。
 日本がどこに向かっているのか、考えれば考えるほど、
「ソーリが交替すればするほど、どんどんひどいやつになっていくではないか」
 としか思えないのだ。
 しかも、
「今度の首相は今までと違う」
 と思っていただけに、裏切られたと思うとその思いはひとしおだ。
 だからなのだろうか?
 なかなか国民は、ソーリのことを信じようとする。
「そうでもしないとやってられない」
 という思いがあるのも事実なのだろう。
 国民を裏切り続けてきた、歴代ソーリ、ここ何台者ソーリに共通して言えることは、
「国民の過半数以上が反対していることを、強引に推し進める」
 ということであった。
 先代のソーリだって、
「世界的なパンデミック」
 の中、いくら決まっていたからといって、オリンピックを強硬した。
 何が、
「安心安全」
 だというのか、たくさんの患者を出し、何よりも、開催前の、スキャンダルなどのドタバタ劇は、
「果たして、日本が開催国です」
 と言って、誇れるものだったのだろうか?
 出るわ出るわ、スキャンダルや解任事件。それを国民は冷めた目でみながら、
「それでもオリンピックをやるのか?」
 ということで、反対票が、アンケートでは、七割を超えていたはずだった。
 ちなみに、今回の国葬問題も、反対が七割を超えていて、実際に国葬の最中には、沿道でデモ隊による抗議運動が勧められていたくらいではないか。
 他の国の参列者たちは、どう思っただろう?
 そんなに反対者がたくさんいる国葬に出なければいけない自分たちのことを、
「可愛そうだ」
 と思っていたかも知れない。
 オリンピックの時だってそうではないか。
 国民の意見を無視してまで、世界オリンピック委員会の会長の、
「ご機嫌取り」
 のための開催。
 ここで辞めてしまうと、
「二度と日本が誘致を願い出ても、一度中止をした国ということで、開催に賛成する国など出てはこないだろう」
 という思惑もあったのだ。
 それを考えると、国民の反対意見など、
「どうせ、大会が終われば、国民は忘れてくれるさ」
 とばかりに思っていたのだろう。
 その証拠が、
「国民は、オリンピックが終われば、気持ちが、やってよかったと思うはずだ」
 というきれいごとを言っていたが、実際には。
「終わってしまえば、ウワサと一緒で、他のことに目が行くので。オリンピックを強硬したという意見は萎んでいくだろう。しかし、もしオリンピックをしなかったら、あの首相の時のオリンピックは中止になったという汚名ばかりが残ってしまって、何もいいことはないではないか?」
 とうことになるのを恐れ、天秤に架けた結果、
「オリンピック恐慌」
 という暴挙に出たのだ。
 結果このことが、国民の信頼を失い、次の総選挙前に、
「このソーリでは、議席数と一気に失うだろう。俺たちのような比例当選した崖っぷちの議員は、次にはもう生き残れない」
 ということで、今のソーリを次の総裁選では支持しないという人が増えてきたことで、党の重鎮である人から、ソーリに対して、
「ここは、身を引いてくれ。そうでもしないと収拾がつかない。我々も君を支持することはできないので、君は強引に出てくれば、我々は敵ということになる」
 という、一種の、
「脅し」」
 を仕掛けられた。
 それを思い、先代のソーリは出馬することなく、
「よかった」
 と思っていると、さらに最悪のソーリが出てきたということだ。
「これが日本なのか?」
 と思うと、情けなくて仕方がないというものだった。

                 再建計画
作品名:二人二役 作家名:森本晃次