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一人勝ち

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 だから、今度は孤独になってしまう。そうなると、よりどころはホストしかないのだ。ホスト委通い詰めると、キャストの方も枕営業を始める。そしていよいよホストの、
「おねだり」
 が始まるのだ。
 おねだりに答えないと、
「もう二人で会ったりはしない」
 ということになる、
 そもそも店外デートというのは、キャバクラの、
「同伴出勤」
 や、
「アフター」
 などと同じで、お金のかかるものである。
 そんな金を、一介のOL風情にできるはずもない。
 中には奥さんもいただろう。旦那や家族を裏切って、
「ママ友」
 に誘われるままに、ホストにのめりこんでいる。
 中には自分と同じような奥さんもいるだろうが、それをおくびにも出さない。それを認めてしまうと、家族にバレる可能性があるからだ。
 しかし、ホスト狂いなどをしていると、あっという間にバレるもので、それは、自分の金でどうにもならなくなると、サラ金に手を出してしまうからだった。
 自分の金なんて、あっという間になくなる。少々の貯金くらいなら、店に2,3ど顔を出しただけで、なくなってしまう。
 そんな情けない状態になるのだった。

                 成敗

 それを思うと、女は借金取りに追われる形で、家族にも借金がバレ、さらに、会社にまで押し掛けてこられると、会社にもいられなくなる。
 そうなると、進む道は二つに一つだった。
「この世を儚んで、自らの命を断つ」
 あるいは、
「風俗嬢となって、身体を売ることで、借金を返しながら、ホストにも通うことを続けるか?」
 という方法であった。
 自殺をする人も少なくはないだろうが、それよりも、風俗に入る方が多いかも知れない。
 風俗というのも、昔のように、重苦しい雰囲気でもなく、
「今は結構楽しんでやっている嬢もいる」
 という話を聞かされたことがあった。
「何が、どう楽しいのか?」
 というのは、やってみないと分からない。
 ただ、
「自分が身を売っている」
 という感情になると、どんどん深いところの沼に嵌っていくようで、気持ちは下降線を描きだけだった。
 しかし、最近では、お店の方も明るい雰囲気であったり、ネットやスマホの普及で、ホームページから、いろいろな情報を得ることもできるようになってきた。
「写メ日記」
 などというものがあり、そこで嬢が、その日にあったことを日記のように書いてみたり、来てくれた客に対して、
「お礼日記」
 を書くことによって、客の方も、
「お金を使って、ただ欲望を満たしただけではない」
 と思うことで、
「またこの子に通おう」
 と思うようになるのだろう。
 客の方が、疑似恋愛だといっても、
「また来てくださいね」
 などと書いてくれているのを見ると、嬉しくなるのも無理はない。
 男性は女性と違って、行為の絶頂に達すると、しばらくは、放心状態のようなことになったりする。一種の、
「賢者モード」
 と言われるものである。
 これは、昔から言われるように、
「果てた後、男が虚脱状態になり、女との接触すら気持ち悪い気分になることがある」
 というもので、一種の罪悪感のようなものに襲われるというものであった。
 つまり、
「お金で女を買う」
 という行為に虚脱感が伴ったことで、身体を動かすことができなくなるような感覚だといってもいいだろう。
 しかし、今はSNSの発達などで、写メ日記であったり、ツイッターなどがあることで、普段であれば、風俗嬢と、お金を払ってお店の中で二人きりにならなければ、
「接点はまったくない」
 というのが今までであった。
 しかし、ツイッターとなると、もちろん、会うわけではないが、話をすることで、
「繋がっている」
 という感情を持つことができる。
 それは、その思いが自分たちの間で、まるで、
「疑似恋愛だと分かっていても、繋がれている」
 ということに、喜びを感じていることだろう。
 その喜びを感じながら、男はまた本指名という形でのリピートを行う。それによって、嬢たちは、アイドルでいえば、自分のファンを獲得したという感覚になるのだろう。
 嬢によっては、本指名の客を、どのように感じているかさまざまではないだろうか?
「ただの、本指名の一人」
 ということで、いちいち、一人一人を考えない人、あるいは、
「職業や名前までしっかり覚えていて、少しでも、恋人気分を味わってもらいたい」
 と考える、献身的な女の子もいるだろう。
 それは、彼女たちが、
「どのようないきさつから、風俗嬢になった」
 ということとは関係はない。
 要するに、彼女たちの性格だというだけのことである。
 借金から風俗に来る女の子は、自分の借金はもちろんのこと、家族の借金で、仕方なく働く子もいるかも知れない。
「一番気の毒」
 といってもいいだろうが、彼女たちの方が、意外と客にちゃんと接しているのかも知れない。
 もちろん、個人差は様々なのだろうが、客とすれば、
「そうであってほしい」
 いや、
「そうでないと、間違いだ」
 と、風俗嬢を本当に自分のアイドルとして見ている男は特にそうだろう。
 一生懸命に働いた中で通ってくる男が多いだろうから、余計にそうなのかも知れない。
 ホストに狂った女のように、借金をしてまで、風俗に通う男の数は圧倒的に少ないだろう。
 男の場合は、借金をしてそれを払うために、風俗で働くなどということはできないからだ。
 男もそれを分かっているので、そこまではしない。
「オトコと女、果たしてどちらがマシなんだろうか?」
 と思わず考えてしまうことになるのだった。
 さて、借金を何とか返した女の子でも、そのまま風俗を続ける人もいる。
 中には、
「これは私の天職だ」
 と思う人もいるだろう。
 風俗で、男性と疑似恋愛をした後、ホストでお気に入りの男性に癒される。
 嫌な言い方をすれば、
「お金というのは、右から左だ」
 といってもいいだろう。
 それを思うと、
「風俗業界において、目的は金であるが、金だけを追いかけていては、病んでしまう」
 ということになるだろう。
「癒し」
 であったり、
「愛されているという証」
 のようなものがなければ、どうしようもない。
 漠然としてはいるが、その考えに間違いはなく、
「風俗業界がすたれずにもっているのは、そのような流れがお金にしても、人間にしてもあるからではないか?」
 と言っている人もいる。
 それこそ、生き物における。
「生態系」
 というものであり、それが一つの一角が崩れでもすると、一気に、屋台骨が崩れてしまう。
 それを思うと、
「余計なことをして、崩すことを思えば、伝統なるものを守っていくだけで、保たれる屋台骨もある」
 ということで、
「世の中の縮図が、ここにはあるんだ」
 ということになるのかも知れない。
 それを考えると、
「風俗というのは、よほど、深入りしないようにするか?」
 ということなのか、それとも、
「流れがあって、そこにうまく乗っていくことなのではないか?」
 と考えるが、その二つは、そもそも、
「風俗業界の内と外」
 という立場から見たものではないかと思うのだった。
作品名:一人勝ち 作家名:森本晃次